- 著者
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髙橋 聡
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.107, no.5, pp.931-937, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
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梅毒の罹患率は増加しており,本疾患の疫学,診断及び治療の知識が必要となっている.梅毒の病変は,典型例から非典型例まで多彩であり,典型例ではない場合には,梅毒血清反応の検査が必要になる.また,無症候梅毒も梅毒血清反応の検査によって診断できる.治療は,ベンザチンペニシリンGが世界標準の推奨治療法であるが,我が国では使用できないため,アモキシシリンが投与される.治癒判定は,症例によって複雑な解釈になるが,カルジオリピンを抗原とする抗体検査法が治療経過を反映するので,こちらを追跡することになる.梅毒への対応としては,まずは疑い,検査を依頼することとなる.他の性感染症の罹患や性感染症の既往,不特定の性的パートナーの存在,HIV(human immunodeficiency virus)感染等の梅毒も含めた性感染症感染の危険因子を有する場合には検査が必要であることを伝える必要がある.梅毒を制圧するためには,特定の診療科のみではなく,多くの診療科が連携して立ち向かう必要があることを強調したい.