著者
齋藤 晃 島田 紀朋 新谷 稔 山根 建樹 藤瀬 清隆 小林 正之 戸田 剛太郎 鳥海 弥寿雄 柳沢 暁
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.605-611, 2005 (Released:2005-06-14)
参考文献数
12
被引用文献数
3

症例は30歳,女性.黄疸と右季肋部の腫瘤を自覚し当科受診.貧血および間接型優位の高ビリルビン血症と腹部USにて膵頭部に60 mm大の嚢胞性腫瘤を認め入院.腫瘤はCTにて隔壁が一部造影される低吸収を示したが,ERCPや血管造影の特異的所見や腫瘍マーカーの上昇はなく,確定診断に至らなかった.貧血,黄疸は遺伝性球状赤血球症によるものと診断されたが,腫瘤は幽門輪温存膵頭十二指腸切除にて膵神経鞘腫と診断された.
著者
佐野 芳史 鳥海 弥寿雄 池上 雅博 高山 澄夫 益子 博 矢永 勝彦
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.1348-1352, 2005-06-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

肺粟粒結核発症早期に多発性微小空腸潰瘍を呈した腸結核で,空腸から大量出血した1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.肺粟粒結核発症後約1カ月後に大量下血(タール便)が出現し,ショックとなり緊急手術となった.術中に腸管のsegmental clampingにより出血部位を空腸と診断し,小腸部分切除術を施行した.切除標本の肉眼所見では,空腸に多発性微小潰瘍が認められた.病理組織学的には潰瘍底部粘膜下層に類上皮性肉芽腫と,同部に抗酸菌の存在が認められ,うち3mm大の潰瘍底に破綻した露出血管が確認された.このため,粟粒結核に伴って多発性小腸潰瘍が形成され,一潰瘍底から動脈が破綻出血をきたしたと考えられた.術後第9病日より結核に対する化学療法を開始し,術後146病日に軽快退院となった.腸結核症より大量出血をきたした例は,極めて稀と考えられたため報告した.