著者
趙 棟梁 鳥羽 良明
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, 2002-03-05

Phillipsの風波の平衡領域の概念と観測データを用いて,HasselmannのモデルとPhillipsのモデルからエネルギー散逸率を計算すると,二つのモデルの形は異なるにもかかわらず実質上一致することが分かった。どちらも空気の摩擦速度u_*の3乗に比例し,波齢に弱く依存することが分かる。白波面積率Wも砕波過程を表すので,エネルギー散逸率と同様と考えられ,従来のWの経験公式の多くはu_*^3に比例する形をとっている。今回,風波の情報を含む過去の種々の観測データを最小二乗法を用いて再検討した。Wは,波齢や波周期より,風速や風の摩擦速度との相関が高い。さらに,u_*^2と風波のピーク角周波数を含む無次元の「砕波パラメータ」R_Bを導入すると,データのばらつきが著しく下がることが分かった。ちなみにR_Bは,u_*^3と波齢の積で表される。現在のエネルギー散逸モデルは,上記の砕波の特性を表現すべく修正される必要がある。
著者
山元 龍三郎 住 明正 田中 正之 鳥羽 良明 武田 喬男 松野 太郎
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1.大気中の二酸化炭素などの温室効果気体の増加により,地球の気候が著しい影響を受けることが懸念されている。気候変動のメカニズムが充分に解明されていないので,国際学術連合会議(ICSU)と世界気象機関(WMO)が気候変動国際共同研究計画(WCRP)を提案した。わが国では,このWCRPに参加することが文部省測地学審議会から関係大臣に建議され,昭和62年度から大学・気象庁などの機物において4年計画の研究が進られてきた。この計画の調整は測地学審議会のWCRP特別委員会が行ってきたが,主な研究者をメンバ-とするWCRP研究協議会がその研究連絡に当たってきた。平成2年度は建議された計画の最終年度に当たる。2.3年計画のこの総合研究(A)では,昭和63年度以降WCRP研究協議会が中心となって,全国のWCRP参加の大学などの研究機関の連絡を密にしWCRPを円滑かつ効果的に実施するために,毎年WCRPニュ-スを刊行して,各研究の進捗状況などを広く関係者に衆知させた。また,毎年1回11月〜12月の3日間に約150名のWCRP参加研究者が出席するWCRPシンポジュ-ムを開催し,その内容を250〜380頁のプロシ-ディングスとして,その都度刊行してきた。平成2年度では11月26日〜28日に名古屋市において,第4回WCRPシンポジュ-ムを開催した。出席者は約150名にのぼり,53件の研究発表があった。最新の研究成果の発表や大規模観測計画の予備観測結果の報告があり,活発な討論がなされて,WCRPの4年計画の最終年度として予期以上の成果が挙がった。これらの内容は,約380頁のプロシ-ディングスとして印刷・刊行し関係方顔に配付したが,その内容はわが国のWCRPの著しい進展状況を示している。