著者
松野 太郎
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.25-43, 1966 (Released:2008-05-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1371 1997

コリオリの力が働かなくなる赤道近辺での大規模運動の特性を理論的に検討してみた。自由表面をもった単層の流体-いわゆる発散順圧モデル-について線型化された運動方程式を扱い東西方向に動く自由波動の解を求めると,一定のスケールに対して3つの解が得られた。これらは振動数解の形(圧力及び運動の場)から夫々東向きおよび西向きの慣性重力波およびロスビー波であることがわかる.但し南北スケール最小のものに関してはその区別は明瞭でなく一方の型から他方の型に連続的にかわる。ロスビー波に相当する解は風と圧力の関係が高緯度でほぼ地衡風的であるごと,および赤道近くで特異なふるまいをするのが特徴である。次に同じモデル熱冷源に相当するものとして東西に周期的なmass source,sinkを与え,定常解と求めた。熱源に相当する所は低圧になるが赤道で分断され,赤道のごく近くはやや逆センスになり,これに伴って高緯度と逆向きの強い流れが生ずることが分った。

1 0 0 0 OA 大気の大循環

著者
松野 太郎
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.199-207, 1986 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6
著者
松野 太郎
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.881-890, 1991-12-05 (Released:2009-11-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
松野 太郎 山岬 正紀 林 祥介
出版者
東京大学
雑誌
自然災害特別研究
巻号頁・発行日
1986

この研究の当初目的は、対流雲の2次元数値モデルを用いて数値シミュレーションを行い、集中豪雨をもたらすような中小規模気象システムの予測可能性を検討することであった。ところが、昨年度までの研究によって完成したつもりの対流雲モデルに、いくつかの欠点のあることがわかり、このまゝで実験を行っても所期の目的を達成し得るような実験を行い得るとは限らないことがわかり、計画を変更して今年度はモデルの改良に力を注ぐことにした。問題と、それについての研究実施経過は次の通りである。(1)原モデルでは、雲水量・雨水量の移流を計算するのに、2次の中央差分式を用いていた。この方式は、簡単で計算効率はよいのだが、差分式としての精度は余り良くない。これまでの結果を詳細に検討したところ、差分誤差のため、マイナスの雨が形成されることがあることがわかった。これは許容できない誤差なので、差分式をより良いものにする検討を行った。計算量の制約を考慮に入れて、種々の方式を検討し、実際にプログラムに組み入れてチェックを行った。その結果4次の差分式で保存則をみたす方式が適当であるとわかった。(2)原モデルでは、雲物理過程として氷晶を含まない「暖かい雨」の過程のみを取り扱っていた。このモデルでも集中豪雨の原因となる対流雲の組織化は一応再現されていた。しかし詳しい検討の結果、本当は上層の絹雲(氷晶雲)のかなとこ状のひろがり(アンビル)によって広域に降水がもたらされ、近接する対流雲セルの振舞いに影響を与える点が重要であり、この過程を含まいモデルでは現実の雲のモデルとして不十分であることがわかった。そこで、氷晶、雪片、あられという3種の固体降水要素を新たに変数とし、その間の変換を含む雲物理過程のスキームを新たに開発しモデルに取り入れた。
著者
樋口 敬二 茅 陽一 川那部 浩哉 半田 暢彦 松野 太郎 中根 千枝
出版者
中部大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

地球環境科学の基本的な考え方、各学問分野において推進すべき研究課題、そして推進方策について6WG(研究基盤、気候システム、物質循環、生態システム、人間活動、総合技術)とそれを総括する総括WGを設けて検討を行った。7月から2月にかけて、計35回のWG会合を開催し、以下の結果を得た。(1)地球環境科学の定義としては、「人類の生存基盤である地球環境の理解を深め、人間活動の影響によって損なわれた地球環境の維持・回復に関連する諸問題の解決に資する総合的・学際的科学であり、そのために大気、海洋、陸域、生態系に関わる地球環境変動のメカニズムを解明するととともに、人間活動と地球環境の相互関係を踏まえて、影響の予測及び対応策に関する研究を行い、環境調和的な人間活動の在り方を考究するものである」と定義するのが適当と考えられる。(2)主要な研究課題としては、現象の総合化、対応策の総合化などに基づいたものが重要であり、各研究課題はa)人間活動や社会システムの変化による地球環境の変化を解明する視点、b)人為的な地球環境変化による自然や人間社会への影響を解明する視点、c)人間活動と自然現象との相互作用から地球環境保全の方策を探る視点の3視点を基にしたものに分類できる。たとえばa)に該当する一般的課題としては、人間活動の拡大や社会システムの変化による地球環境負荷の増大に関する研究、人為的環境負荷の増大による地球環境の変化に関する研究、地球環境の環境変化を引き起こす社会システム及び自然システムの解明に関する研究が考えられる。(3)推進方策として最も重要なのは、既存の研究ネットワークをもとにプロジェクト型の研究を推進する中核的研究機関の設立である。また、同時にプロジェクトの実施体制の改善、人材の流動化、国際共同研究の一層の推進と主としてアジア・太平洋地域でにおける持続的な研究とデータの蓄積を図ることが最も重要であるという方向が示された。
著者
松野 太郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1071-1073, 2011-12-31
著者
浅井 冨雄 松野 太郎 光田 寧 元田 雄四郎 武田 喬男 菊地 勝弘
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

(1)1988年度は観測期間を2週間とし、1988年7月6日〜7月19日まで初年度とほぼ同じラジオゾンデ観測網を展開した。本年度は目標(2)にも重点を置いて、レーダー観測網の展開をはかった。即ち、名大・水圏研は福江、北大・理は西彼杵半島北大・低温研は熊本、九大・農は福岡でそれぞれレーダー観測を実施した。2週間の観測期間を通常観測(12時間毎の高層観測と定時レーダー観測)と強化観測(6時間〜3時間毎の高層観測と連続レーダー観測)に分け、研究者代表者の指示によりそれぞれ実施した。観測中前半は梅雨明けの状況となったが、後半には、特に16〜19日にはかなりの豪雨が観測され、目標(2)の研究が可能な観測資料が得られた。現在、各分担者がそれぞれの資料を整理し、解析しつつある。(2)1987年7月の特別強化観測期間中は降水現象は殆ど観測されなかったが、その前後にはかなりの降水が見られるので、7月の1カ月間について総観的解析をその期間の中間規模擾乱に焦点を合わせて行いつつある。7月上旬の降水の特徴と中旬のそれとの間には顕著な差異が見出された。前者は比較的広域に一様な降水、後者は狭い範囲へはの集中豪雨的な特徴を示した。後者については中間規模低気圧とそれに伴うクラウドクラスターと降水系の南側に下層ジェットが見出され、その生成機構が水蒸気凝結潜熱の解放による中間規模低気圧の発達に伴うものであることが示された。(3)数値モデルの研究では(a)特別観測を含む梅雨期間中について微細格子モデルを用いて中間規模低気の予報実験を行い、モデルの改良を試みつつある。(b)現在開発中の積乱雲数値モデルに地形効果を導入して本年度の観測資料等と対比しながら、豪雨生成に関与する対流雲の組織化、移動、停滞などの機構を調べるためにモデルを改良しつつある。
著者
山元 龍三郎 住 明正 田中 正之 鳥羽 良明 武田 喬男 松野 太郎
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

1.大気中の二酸化炭素などの温室効果気体の増加により,地球の気候が著しい影響を受けることが懸念されている。気候変動のメカニズムが充分に解明されていないので,国際学術連合会議(ICSU)と世界気象機関(WMO)が気候変動国際共同研究計画(WCRP)を提案した。わが国では,このWCRPに参加することが文部省測地学審議会から関係大臣に建議され,昭和62年度から大学・気象庁などの機物において4年計画の研究が進られてきた。この計画の調整は測地学審議会のWCRP特別委員会が行ってきたが,主な研究者をメンバ-とするWCRP研究協議会がその研究連絡に当たってきた。平成2年度は建議された計画の最終年度に当たる。2.3年計画のこの総合研究(A)では,昭和63年度以降WCRP研究協議会が中心となって,全国のWCRP参加の大学などの研究機関の連絡を密にしWCRPを円滑かつ効果的に実施するために,毎年WCRPニュ-スを刊行して,各研究の進捗状況などを広く関係者に衆知させた。また,毎年1回11月〜12月の3日間に約150名のWCRP参加研究者が出席するWCRPシンポジュ-ムを開催し,その内容を250〜380頁のプロシ-ディングスとして,その都度刊行してきた。平成2年度では11月26日〜28日に名古屋市において,第4回WCRPシンポジュ-ムを開催した。出席者は約150名にのぼり,53件の研究発表があった。最新の研究成果の発表や大規模観測計画の予備観測結果の報告があり,活発な討論がなされて,WCRPの4年計画の最終年度として予期以上の成果が挙がった。これらの内容は,約380頁のプロシ-ディングスとして印刷・刊行し関係方顔に配付したが,その内容はわが国のWCRPの著しい進展状況を示している。