著者
鳥飼 宏之
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

爆薬で形成された爆風を用いて消火を行う方法を爆風消火という.本研究では,爆風消火を地震後の同時多発火災や広域林野火災のような通常消防では消火困難な火災に対する強力な減災手段として利用することを考え,その消火特性を微小爆薬を用いた爆風消火実験から明らかにする.特に爆薬を空中起爆した場合,地上では反射衝撃波が形成されるため,地面直上で爆薬を起爆するより火炎の消火効果が高くなる可能性がある.更に,光学的な流れの可視化手法と高速度カメラを用いて空中起爆による爆風消火の消火機構を解明する.最終的には,空中起爆による爆風消火の消火範囲を予測可能とするスケール則を明らかにする.
著者
鳥飼 宏之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.460-466, 2019-07-15 (Released:2019-08-01)
参考文献数
3

手術室火災に対して病院内に消防法で設置が義務づけられているABC消火器を用いた場合,たとえ初期消火に成功したとしても,消火器から放出された微細な消火剤粉末が手術室全体に飛散し,ほとんどの医療機器が汚損する.その機器の汚損回避のためには,二酸化炭素消火器の利用が有効となるが,義務設置として導入することは難しい.ただし,消防法令に則って義務設置とされた消火設備等が適正に配置されている病院に対しては,自主設置として二酸化炭素消火器を導入することは可能である.二酸化炭素消火器を自主的に導入する場合,所轄消防に相談するとともに,使用者は消防訓練等を通してその操作法や危険性について理解することが大切となる.
著者
鳥飼 宏之
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

爆薬にアジ化銀ペレットを用い,そのペレット数を変化させることで爆発現象に投入するエネルギ量を変化させ,そして消火対象にメタン-空気拡散火炎を用いて爆風消火の消火特性について実験的に検討した.その結果,爆薬量を増加させるほど,完全に消火が達成される爆点から火源までの距離が増加した.また,爆薬のエネルギ量と大気圧との比の1/3乗で爆点と火炎との距離を無次元化することで,火炎規模を一定とした場合,爆風により消火が達成される限界の無次元距離が投入した爆薬のエネルギ量によらずほぼ同じ値を示すことを明らかにした.