著者
豊田 康祐 安部 康信 津田 麻理子 土師 正二郎 崔 日承 末廣 陽子 喜安 純一 大島 孝一 鵜池 直邦
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.815-819, 2014

Primary effusion lymphoma (PEL)は体腔液中に限局して腫瘍細胞が増殖する稀なB細胞性リンパ腫であり,原則的に明らかな腫瘤形成は認められないとされ,human herpes virus 8 (HHV8)感染が陽性である。しかしながら本邦を中心にHHV8感染が認められないPEL類似の症例も報告されており,これらをPEL-like lymphoma (PEL-LL)とする疾患群も提唱されている。今回我々は胸水貯留で発症したPEL-LLを経験した。心疾患を有する70歳男性であり,リツキシマブ併用経口ソブゾキサン,エトポシド少量療法にて7か月間完全奏効を維持している。PEL-LLはPELと比較し,予後良好であることが報告されており,CD20抗原が陽性であることからリツキシマブの追加効果が期待されている。PEL-LLは高齢者に多い疾患であり,より忍容性のある有効な治療法の開発が期待される。
著者
李 鳳春 牟田 耕一郎 崔 承日 長野 光之 後藤 達郎 鵜池 直邦 小鶴 三男
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.17-19, 1997-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
6

当科を受診した骨髄異形性症候群(MDS)患者27名の臨床検査所見を, 再生不良性貧血(AA)患者の検査所見と比較検討した.MDS症例では, AA患者と比較して, 貧血の程度に差を認めないにもかかわらず, LDH値の有意な増加を認めた(P<0.01). これは, MDS患者でみられる貧血の原因として, 無効造血が存在することを示唆するものである. 無効造血の原因として, 細胞のアポトーシスが近年注目されている. MDSの場合も, 赤芽球系の細胞が骨髄内でアポトーシスに陥っている可能性が考えられる.