著者
鷲見 裕子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.190, 2018 (Released:2018-08-30)

【目的】近年の生活環境やライフスタイルの多様化、中食・外食の利用率の高まりにより、日常的に家庭での調理機会は減少している。そのため、調理過程や食材を知らない食事を摂ることが多く、学生が調理実践への関心や意欲を持ちにくい現状がある。しかし、調理行動はバランスのとれた食生活につながり、食育のめざす「健全な食生活を実践することができる」ためには調理能力を高めることは重要といえる。本研究は学生の料理に対する認知と調理の状況の把握を目的とした。【方法】2017年9月に短大生162名を対象に、質問紙調査を行った。有効回答は150名(有効回答率92.5%)であった。調査内容は属性、調理実践頻度、家庭料理とされる110品について「知らない(無認知)」、「知っているが作れない(調理否)」、「作ることができる(調理可)」で回答を求めた。【結果】対象者全体では、無認知料理数は平均16.3±8.14品(14.8%)であった。調理可料理数は最小1品、最大95品と幅があり、平均は33.6±19.78品(30.5%)であった。調理実践のある者は無認知料理数が少なく(p<0.05)、調理可料理数が多かった(p<0.001)。料理で検討すると、認知では料理構成(p<0.01)、主食材(p<0.01)に有意差がみられた。認知率の低い(50%未満)料理は15品で「いり豆腐」「わけぎのぬた」など和食、副菜、野菜料理が多くみられた。調理可否と料理構成(p<0.01)、主食材(p<0.001)、調理法(p<0.05)で有意な差があった。調理可率は主食の穀類料理が高く、主菜・副菜料理で豆・野菜料理、和えるや煮る調理が低い傾向であった。調理可率が高い料理は認知率も高いが、調理可率の低い料理では「シューマイ、ビビンバ、酢豚」など認知率は高いが調理可率は低い料理もみられた。
著者
鷲見 裕子 伊藤 秀夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.32-39, 1993-02-20

スポンジケーキに果糖を用いた場合の特性や嗜好性を検討し、さらにその改善を試み、次のような結果を得た。1.果糖を用いて鶏卵を起泡させた場合、ショ糖に比べて起泡力は良いが、安定性は悪くなった。2.果糖を0〜100%置換した場合、10%程度では膨化状態、テクスチャーを良くしているが、置換量が増加するに従い、膨化率が小さく、色調は焼色が濃く、赤色傾向が強くなり、テクスチャーも損なわれ、嗜好性が劣った。3.果糖100%使用したケーキは次の方法によりその欠点を改善し、ショ糖ケーキに近付けることができた。1)網を重ねた天板を用い、途中でアルミホイルを上面にかけて伝熱を緩慢にする。2)B.P.を1%添加する。3)薄力粉の10%をコーンスターチに置換する。4.改善された果糖ケーキの官能検査では、コーンスターチ10%置換ケーキの色が有意に好まれないが、硬さ、しっとりさは改善ケーキが有意に好まれ、きめ、焼色、香り、口当たり、甘さ、後味、総合評価ではショ糖ケーキとの有意差は認められなかった。