著者
浜本 浩 黒崎 秀仁 岩崎 泰永
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.97-101, 2015
被引用文献数
2

深度データを面的に収集できるKinect for Windowsを用いて,作物個体群の受光態勢を評価することを試みた.Kinectで撮影した作物の深度デ-タを表計算ソフトで解析し,作物の占有する区画における葉の写っている面積割合(Ra)を算出した.Raは上方からみた水平受光面の大小を示す.また,これを深度別に分け,作物個体群の最高点から1 cmごとに積算し(Ra'),これがRaの80 %の値になるまでの距離を葉の分布している距離で除した割合(Rp)を算出した.Rpは作物個体群への光の浸透性の強弱を示す.模型による疑似作物個体群やポット栽培のトマト個体群を用いた解析では,総葉面積(受光面積)の大きい場合にRaも大きくなり,個体群の光透過率が低い処理ほどRpが小さくなった.また,パプリカ個体群では,Raが早朝増加,薄暮時減少,Rpが早朝減少,薄暮時増加を繰り返したが,これは薄暮時には早朝と比べて葉が下垂したためと考えられた.
著者
黒崎 秀仁 安場 健一郎 岡安 崇史 星 岳彦
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.19-28, 2016 (Released:2016-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

本研究ではArduinoを利用して構築したUECS(ユビキタス環境制御システム)ノードにおけるUDPパケットの受信処理能力について調査を行った.調査の結果,実験で使用したATmega系16 MHzのCPUで動作する機種間に性能差はなく,搭載するEthernetコントローラーICがパケット処理能力を決定していた.約200 byteのUDPパケットを与え,全てのCPUリソースをパケット受信に費やす場合,W5100,W5500搭載機でそれぞれ最大327,576 packets/secの受信が可能だった.HTTPサーバーの応答,SHT75温湿度センサとの通信などを同時に行うと,パケット処理能力は低下したが,即応性の要求されるノードにCPUの拘束時間が長い処理を実装しなければ,中小規模温室で使用するには十分な処理能力があり,パケットの到達範囲を限定すれば大規模温室でも利用できると考えられた.また,未利用ポートにパケットを送信してもパケット処理能力は影響を受けず,利用ポートの棲み分けにより,さらに多くのノードが1つのLANを共有できる可能性が示された.
著者
浜本 浩 黒崎 秀仁 岩崎 泰永
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.97-101, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

深度データを面的に収集できるKinect for Windowsを用いて,作物個体群の受光態勢を評価することを試みた.Kinectで撮影した作物の深度デ-タを表計算ソフトで解析し,作物の占有する区画における葉の写っている面積割合(Ra)を算出した.Raは上方からみた水平受光面の大小を示す.また,これを深度別に分け,作物個体群の最高点から1 cmごとに積算し(Ra’),これがRaの80 %の値になるまでの距離を葉の分布している距離で除した割合(Rp)を算出した.Rpは作物個体群への光の浸透性の強弱を示す.模型による疑似作物個体群やポット栽培のトマト個体群を用いた解析では,総葉面積(受光面積)の大きい場合にRaも大きくなり,個体群の光透過率が低い処理ほどRpが小さくなった.また,パプリカ個体群では,Raが早朝増加,薄暮時減少,Rpが早朝減少,薄暮時増加を繰り返したが,これは薄暮時には早朝と比べて葉が下垂したためと考えられた.
著者
安場 健一郎 黒崎 秀仁 高市 益行 大森 弘美 川嶋 浩樹 星 岳彦
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.29-35, 2010-03-01
被引用文献数
2

ユビキタス環境制御システムを導入した自然換気温室における細霧噴霧と換気窓の開度制御による, エンタルピを指標とした温湿度管理法に関して検討を行った. 天窓の開度の調整は2分ごとに行い, 温室内のエンタルピを60 kJ kg<sup>-1</sup>とすることを目的とした. 温室内の目標エンタルピは気温が23℃の時に相対湿度が83%となる値である. 温室内外の温湿度と日射量の情報から熱収支法により温室内の換気率を計算し, また, 温室内のエンタルピが60 kJ kg<sup>-1</sup>とするための目標換気率を計算し, 新たな天窓の開度に制御を行った. 細霧は天窓制御時に相対湿度の目標値を下回ったときに作動し, 最大90秒を目処として, 相対湿度の設定値を上回ったときに停止した.<BR>2008年11月1日から6日の10時から14時の間に制御を実施した. 温室内の平均気温は23~24℃となり, 相対湿度は設定した値より1から2%程度高く推移した. 11月2日の温室内のエンタルピは平均値では60.2 kJ kg<sup>-1</sup>となり目標値に近くなったが短期間での値の変動がみられた一方, 屋外のエンタルピは温室内よりも低く, 変動も小さくなった. さらに高精度の制御を実施するためには制御間隔を短くする必要があると考えられた. 温室の換気率は1 m<sup>3</sup> m<sup>2</sup> min<sup>-1</sup>以下となり, かなり低い値を示しため, 本法で示した温湿度管理を実施することで効率的な炭酸ガス施用を実施できると考えられた.