著者
黒澤 忠弘
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.509-513, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
12

放射線は,その特性を生かしてさまざまな分野で活用されています.特に放射線治療や診断といった医療分野,また非破壊検査や滅菌といった工業分野で幅広く利用されています.これら放射線の利用においては,放射線の発生源のみならず,放射線の計測技術も重要な要素となっています.本稿では,医療,工業分野における放射線利用の現状や将来の展望,またそれぞれに必要となってくる放射線計測について紹介したいと思います.
著者
三家本 隆宏 脇谷 雄一郎 黒澤 忠弘
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.605-612, 2019-09-15 (Released:2019-09-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

井戸形電離箱を用いた192Ir高線量率密封小線源における基準空気カーマ率測定では,線源型式の違いによる出力差異の補正が必要となる場合がある。本研究では,日本国内で使用される3種類の線源型式(mHDR-V2, VS2000, Ir2.A85-2)について,補正係数を算出した。補正係数は,mHDR-V2を基準として,それぞれVS2000は0.987, Ir2.A85-2は1.002となった。国内における井戸形電離箱の校正はmHDR-V2線源を使用しており,これらの補正係数を用いることで他の2種類の線源型式の測定が可能となる。
著者
田中 隆宏 黒澤 忠弘 齋藤 則生
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.222-233, 2012 (Released:2012-12-11)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

乳がんの早期発見のため、乳房X線検査(マンモグラフィ)が2000年より乳がん検診に導入され、受診者数は増加の一途をたどっている。診断の高い信頼性と人体への十分な安全性を両立させるためには、X線照射を適切な線量に抑えた上で、高品質なX線診断画像を得ることが必要となる。マンモグラフィでは、乳房撮影に特化した通常とは異なる特殊なエネルギースペクトル(線質)のX線が用いられる。しかし、その線質は、これまでの線量計の校正に用いられているX線とは大きく異なるため、線量計の校正の信頼性が十分であるか心配する声が、学会や産業界から挙げられた。そこで、産総研ではマンモグラフィ用のX線の線質に基づいた線量の国家標準を開発し、それを産業界へ供給した。既存の研究設備や技術を最大限活用したり、現行の精度管理体制の中にこの標準を組み込むことにより、この標準の迅速な開発を可能にした。また、国内・国外の両方を意識した研究開発のシナリオをあらかじめ策定したことが、国際的な同等性の確認された標準の迅速かつ広範な供給へ結びついた。