著者
齊ノ内 信 中村 道三 増田 裕一 大谷 良
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001489, (Released:2020-12-15)
参考文献数
20

症例は86歳女性.調理中に突然出現した複視を主訴に来院した.両眼性複視,両側眼球内転障害と輻湊障害,両側側方注視時に外転眼のみに粗大な単眼性眼振を認めた.入院翌日のMRIで中脳下部背側に拡散低下域を認めた.入院1日半後に尿閉,尿意の消失に気付かれた.脳梗塞を念頭に抗血小板薬で治療を行い,発症2ヶ月後には眼球運動は正常になり,複視も消失.尿閉も消失した.眼球運動障害については動眼神経の内転筋亜核から両側medial longitudinal fasciculusにかけての病変を想定している.尿閉については排尿中枢の一つである中脳水道周囲灰白質への障害が原因と考えている.中脳の微小な梗塞で尿閉を呈する例は稀であるため報告する.
著者
長岡 敦子 國井 泰人 日野 瑞城 泉 竜太 宍戸 理紗 齊ノ内 信 柿田 明美 矢部 博興
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.186, 2021 (Released:2021-12-25)
参考文献数
16

機能分子であるタンパク質の脳における発現解析は,統合失調症の分子病態を解明するうえで不可欠である。死後脳研究には病態以外のさまざまな条件に由来する交絡因子が存在するため,その評価とコントロールは重要である。筆者らは統合失調症死後脳におけるタンパク質発現を中間表現型として,遺伝子多型(SNPs)との関連を解析する研究を行っており,解析には当施設で保管する精神疾患を主とした死後脳と新潟脳研究所に保管されている非精神疾患対照の死後脳を用いて行っている。本稿では,死後脳試料の保管施設の違いという交絡因子によって生じるタンパク質発現への影響について検討した研究と,統合失調症患者死後脳におけるタンパク質発現解析の一例として,aldehyde dehydrogenase 4 family member A1(ALDH4A1)とその発現に影響するSNPsについての研究を取り上げて,それぞれ概説する。