著者
岡島 純子 中村 美奈子 石川 愛海 東 美穂 大谷 良子 作田 亮一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.47-60, 2021-01-31 (Released:2021-05-18)
参考文献数
32

本研究では、不安症状がみられる小学2~6年生の自閉スペクトラム症(ASD)児とその親に対して、認知行動療法(CBT)と親訓練(BPT)を実施し、その効果を検討した。1回120分のCBTセッションを6回、BPTセッションを6回実施した。参加者は、12組の親子であった。親と教師により、子どもの不安症状、自閉的行動特徴、情緒と行動の問題について事前、事後に評価された。自己評定の不安症状も事前と中期(CBT後)に評価された。t検定の結果、自己評定による不安症状は、「社会恐怖」において、事前よりもCBT後のほうが減少する傾向がみられた。自閉的行動特徴では、親評定の「対人的気づき」、「対人コミュニケーション」、「対人応答性尺度合計」、情緒と行動の問題では、教師評定の「仲間関係の問題」が、事前よりも事後のほうが有意に減少していた。一方で、親の精神的健康度に変化はみられなかった。
著者
齊ノ内 信 中村 道三 増田 裕一 大谷 良
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001489, (Released:2020-12-15)
参考文献数
20

症例は86歳女性.調理中に突然出現した複視を主訴に来院した.両眼性複視,両側眼球内転障害と輻湊障害,両側側方注視時に外転眼のみに粗大な単眼性眼振を認めた.入院翌日のMRIで中脳下部背側に拡散低下域を認めた.入院1日半後に尿閉,尿意の消失に気付かれた.脳梗塞を念頭に抗血小板薬で治療を行い,発症2ヶ月後には眼球運動は正常になり,複視も消失.尿閉も消失した.眼球運動障害については動眼神経の内転筋亜核から両側medial longitudinal fasciculusにかけての病変を想定している.尿閉については排尿中枢の一つである中脳水道周囲灰白質への障害が原因と考えている.中脳の微小な梗塞で尿閉を呈する例は稀であるため報告する.
著者
立田 健太 佐藤 紘昭 大谷 良光
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.102, pp.105-114, 2009-10

青森ねぶた祭への「ハネト若者離れ問題」を焦点とし、若者に当たる高校2年生1140人を対象として祭の観覧・参加状況と祭への意識(思い)を調査した。大型ねぶたの観覧・参加率は2008年59.3%・36.7% で、「ハネト」での参加率は2007年72.8%、2008年64.6% で8.2% 減じており「ハネト若者離れ」の一端が立証された。また、「ねぶた祭は世界に誇れる」や「伝統の継承」には高い意識(約8割)をしめしたが、この数値は参加率とかけ離れており、それを裏付ける「参加しなかった理由」として「特に興味がなく、参加する意義や必要性は感じない」が約4割で、その格差の克服が新たな課題として明確になった。それに対して我々は、学校教育との関わり、社会教育の充実、伝統文化の継承と観光化のバランスの3視点を提起した。
著者
井上 建 小坂 浩隆 岡崎 玲子 飯田 直子 磯部 昌憲 稲田 修士 岡田 あゆみ 岡本 百合 香山 雪彦 河合 啓介 河野 次郎 菊地 裕絵 木村 大 越野 由紀 小林 聡幸 清水 真理子 庄司 保子 髙倉 修 高宮 静男 竹林 淳和 林田 麻衣子 樋口 文宏 細木 瑞穂 水田 桂子 米良 貴嗣 山内 常生 山崎 允宏 和田 良久 北島 翼 大谷 良子 永田 利彦 作田 亮一
出版者
日本摂食障害学会
雑誌
日本摂食障害学会雑誌 (ISSN:24360139)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-12, 2023-10-05 (Released:2023-10-05)
参考文献数
19

COVID-19パンデミック下,摂⾷障害患者における社会からの孤立,受診控え,症状の悪化,さらに新規患者の増加などが報告された。そこで我々は,2019,2020,2021年の神経性やせ症(Anorexia Nervosa: AN)および回避/制限性食物摂取障害(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder: ARFID)の新規患者数,入院患者数,性別,年齢層,COVID-19の影響の有無について,国内で摂食障害を専門的に診療している医療機関に対して調査を依頼した。すべての項目に回答のあった28施設の結果について集計・解析した。ANの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は400人,266人,2020年は480人,300人,2021年は610人,309人であった。一方,ARFIDの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は70人,15人,2020年は97人,22人,2021年は112人,17人であった。AN,ARFIDともに2019年と比較して2020年,2021年は新規患者数,入院患者数ともに増加し,これは10代でより顕著であった。さらにANにおいては20代の患者も増加していた。COVID-19 パンデミック下にARFID 患者数の増加が示されたことは重要な知見であると考えた。
著者
大谷 良雄
出版者
一橋大学
巻号頁・発行日
1971

博士論文
著者
大谷 良光 本間 史祥 加川 志保
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.103, pp.95-104, 2010-03

生徒がケータイ被害から身を守るため、フィルタリング設定やメール受信拒否設定をどの程度利用し、認識しているか、また、中学時まで携帯電話所持率が低い青森県において高1までのいつ購入しているかを明らかにする目的で、高1に限定し、県内1割のサンプルを目標に調査した。その結果、高校合格から入学までの1ヶ月間に約4割の生徒が新規に携帯電話を購入していた。また、青少年インターネット環境整備法が2009. 4より施行されているにも関わらず、フィルタリングの利用率は41.7%、メール受信拒否の設定率は21.3%と低かった。7割の生徒は有害情報に危機意識を持っているが、フィルタリングの不便さを理由に利用しないものが多く、「ケータイ高1プロブレム」状況が予想される。フィルタリングの設定には、販売時の丁寧な説明と保護者の役割が大きいことも明らかになり、関係者による緊急な諸取り組みが求められるため、本調査に基づき県民への緊急アピールを発表した。
著者
前島 潔 黒田 重臣 大谷 良樹 篠崎 有三 向井 美和子
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.85-88, 1984-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
15

従来より急性膵炎の合併症の一つとして急性腎不全がいわれているが, その報告例は本邦では過去10年間に7例と少ない. 最近著者らは慢性膵炎の急性増悪の経過中に急性腎不全を併発し, 死の転帰をとつた症例を経験した. 症例は高度の飲酒歴をもつ69才の男性で, 近医で慢性膵炎の診断で加療を受けていたが, 昭和57年4月飲酒後に心窩部痛出現し, 当院に紹介され入院となつた. 入院時著明な血清及び尿アミラーゼの高値を認め, 慢性膵炎の急性増悪と診断し加療するも, 経過中シヨツクを契機に急性腎不全が急速進行し, 血液透析療法を施行したが効なく死亡した. 剖検では膵は出血性壊死の所見を呈し, 腹腔内に約1000ccの出血を認めた. 又腎は急性尿細管壊死の所見を認めた. 本症例はシヨツクを契機に腎不全が急速増悪しているが, シヨツクに無関係に合併した報告例もあり, その成因, 治療法, 予後に関し若干の文献的考察を加えて報告した.
著者
大谷 良光 立田 健太 井上 怜央
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.96, pp.51-60, 2006-09-29

:ねぶた・ねぶたが青森県内の学校教育との関わりを深めつつあると思われる現在、ねぶた・ねぶたへの子どもの関わりの現状と子どもの祭りへの意識を調べる目的で、青森市、弘前市の小学校4年生を対象として調査した。その結果、両市とも観覧率は高く、また運行への参加率は約70%であった。運行では9割以上のこどもが、ねぶたがハネト、ねぶたが曳き手と参加していた。弘前市の方が地域ねぶたへの参加状況が多く、鳴り物での参加率が高かった。ねぶた・ねぶたの製作やお手伝いは、地域祭りが主で、大型ねぶた5%、合同運行16%と小学校4年生ではその関わりは少なく、その内容は紙貼りが主であった。祭りへの意識は高く、子どもなりに誇りと自覚を持ち、将来の職業の夢として25%がねぶた師を抱いていた。
著者
三浦 俊一 大谷 良光 大野 絵美
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.102, pp.125-132, 2009-10-30

弘前市のねぷた運行団体と子ども、学校教育との関わりの現状と意識について明らかにする目的で、81運行団体に質問紙調査を依頼し、53団体(回収率65%)より回答を得た。子どもたちの祭りへの参加状況は囃子が1団体約40名、かけ声・引き手が80名で、運行への参加数は、囃子もかけ声・引き手も減少傾向が見られた。また、36%の運行団体が、学校教育との関わりをもち子どもたちに指導・支援を行っており、66%の団体が、今後学校からの要請があれば対応すると回答した。さらに、ねぷたを学校教育で活用することが、伝統文化の継承や地域の活性化に寄与すると考えている団体は、いずれも9割を超え、学校教育への高い期待感をもっていることがわかった。これらの結果から「提言」をまとめ関係者に届けた。
著者
波多野 武人 塚原 徹也 荻野 英治 中久木 卓也 青山 貴子 辻 芳仁 大谷 良
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.178-184, 2006 (Released:2008-08-08)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2 2

Patients who have symptomatic, medically refractory, vertebrobasilar artery stenosis have a high risk of stroke. The benefits of vascular reconstruction surgery and balloon angioplasty for these lesions are limited, and these treatments are associated with considerable complications. Recently stent placement in the intracranial arteries became available and is expected to improve the results of endovascular treatments. We review our experience with endovascular treatment for symptomatic intracranial vertebrobasilar artery stenosis. Forty patients with intracranial vertebrobasilar artery stenosis were treated with endovascular surgery. Indication of the endovascular surgery was medically refractory symptomatic patients with over 60% angiographical stenosis. Balloon angioplasty was firstly performed in all patients. Stenting was performed only in cases with insufficient dilatation, dissection or restenosis after balloon angioplasty. Successful dilatation was obtained in all cases. Twelve patients underwent stenting in initial treatments. The stenosis rate reduced to 25.2% after balloon angioplasty and 16.1% after stenting. No neurological complications occurred after procedure. The restenosis rates after treatments were 25.9% after balloon angioplasty and 23.5% after stenting. During the follow-up period, only 1 patient developed stroke of posterior circulation. Endovascular surgery for symptomatic vertebrobasilar artery stenosis has become more feasible and safer after the introduction of stenting. Prevention of restenosis is the next problem to be solved.