著者
齊藤 卓弥
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.303-311, 2010-04-01
被引用文献数
1

発達障害と気分障害の合併は,患者の全体的な機能(functioning)の低下を引き起こし,発達障害の患者の適応をより低いものにする.従来,発達障害患者の気分障害の合併に関してはさまざまな議論があったが,徐々に発達障害に気分障害が合併すること,また発達障害患者に気分障害の評価・診断を行う際にはさまざまな配慮が必要であることが明らかになってきている.発達障害の中で気分障害に注目することは,問題行動の予防をする点からも重要であると考えられるようになってきている.同時に,治療可能な合併する気分障害の治療を積極的に行うことは,発達障害患者のquality of lifeの向上と機能の至適化に重要である.ここでは,気分障害を合併する発達障害の診断・治療について,現在までの知見を概説するのと同時に,米国における発達障害への教育的なかかわりを通して成人の発達障害への支援について1つのモデルを提案する.
著者
館農 勝 中野 育子 白木 淳子 館農 幸恵 金澤 潤一郎 白石 将毅 河西 千秋 氏家 武 齊藤 卓弥
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1403-1411, 2018-12-15

抄録 近年,ADHDの診断を求めて精神科を受診する者の数が増えている。今回,ADHDの診断補助ツールとして活用可能な25項目から成る質問紙を開発した。質問紙はHokkaido ADHD Scale for Clinical Assessment in Psychiatry(HASCAP)と名付け,0点から4点の5件法で回答を求めた(100点満点)。ADHD群104名(平均63.4±15.8点)と健常対照群361名(平均27.5±17.5点)の結果から,感度,特異度を求め,カットオフを設定した。その結果,HASCAP合計点45点で,感度83.7%,特異度83.1%であった。今度,さらにデータを集積し,より実用的な質問紙にしていきたいと考える。
著者
市川 宏伸 齊藤 万比古 齊藤 卓弥 仮屋 暢聡 小平 雅基 太田 晴久 岸田 郁子 三上 克央 太田 豊作 姜 昌勲 小坂 浩隆 堀内 史枝 奥津 大樹 藤原 正和 岩波 明
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.399-409, 2018-04-15

抄録 小児ADHDの症状評価で世界的に汎用されるADHD-RS-Ⅳは,海外にて成人ADHDに対応する質問(prompts)と組み合わせて成人向けに使用されている(ADHD-RS-Ⅳ with adult prompts)。本研究は,日本語版promptsを作成し,日本人の成人ADHD患者36名および非ADHD成人被験者12名を対象に,その信頼性および妥当性を検討した。その結果,評価者内および評価者間信頼性の指標である級内相関係数は高く,内部一貫性の指標であるCronbach αは高い値を示した。CAARS日本語版およびCGI-Sとの相関で検討した妥当性も良好であり,かつADHD患者と非ADHD被験者との判別能力を検討するROC解析においても優れた結果であった。成人用prompts日本語版は,ADHD-RS-Ⅳとともに用いることで,成人ADHDの症状評価の手段として有用であると考えられた。
著者
齊藤 卓弥
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.303-311, 2010-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
12

発達障害と気分障害の合併は,患者の全体的な機能(functioning)の低下を引き起こし,発達障害の患者の適応をより低いものにする.従来,発達障害患者の気分障害の合併に関してはさまざまな議論があったが,徐々に発達障害に気分障害が合併すること,また発達障害患者に気分障害の評価・診断を行う際にはさまざまな配慮が必要であることが明らかになってきている.発達障害の中で気分障害に注目することは,問題行動の予防をする点からも重要であると考えられるようになってきている.同時に,治療可能な合併する気分障害の治療を積極的に行うことは,発達障害患者のquality of lifeの向上と機能の至適化に重要である.ここでは,気分障害を合併する発達障害の診断・治療について,現在までの知見を概説するのと同時に,米国における発達障害への教育的なかかわりを通して成人の発達障害への支援について1つのモデルを提案する.