著者
齋藤 深雪
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.11-21, 2007-09-30 (Released:2017-09-15)
被引用文献数
1

精神障害者の自立支援が促進される中、2001年に発表された国際生活機能分類International Classification of Functioning Disability and Health (ICF)は、「社会で生活すること」を生活機能という側面からとらえられることを提言した。そこで、ICFを参考にし、他者評価の精神障害者生活機能評価尺度を作成した。これは、精神障害者の生活機能を把握するものであり、活動面と参加面から構成される。本研究の目的は、精神障害者生活機能評価尺度(参加面)の信頼性と妥当性を検討することであった。精神科デイケアスタッフ14名が精神科デイケア通所者143名の生活機能を評価した。その結果、尺度の信頼性は、テスト-再テスト法ではPearsonの相関係数はr=0.80 (p<0.01)、折半法ではPearsonの相関係数r=0.86〜0.92 (p<0.01)と高い値であった。各因子のクロンバックの信頼係数は0.86〜0.91 (p<0.01)であり、内的整合性が高かった。尺度の妥当性は、因子分析を行い4つの因子を抽出し、因子分析の累積寄与率が70.5%と高かった。他者評価と自己評価の相関係数はr=0.40であった。以上のことから、尺度の信頼性と妥当性が示された。
著者
鈴木 英子 吾妻 知美 丸山 昭子 齋藤 深雪 高山 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.36-46, 2014-07-15 (Released:2018-08-10)
参考文献数
28

本研究では,新卒看護師が先輩看護師に対し,職務上アサーティブネスになれない状況と理由を明らかにした.102名の新卒看護師にアサーティブネスの定義を説明した上で「過去1年間に職場でアサーティブにしたかったけれども出来なかった状況」と「理由」を尋ねる自記式質問紙調査を実施した.分析はKrippendorffの内容分析を参考にした.有効回答数は73名で,平均年齢は23.7±4.9歳であった.アサーティブになれない状況は,1.業務分担の依頼を断れない,2.統一されていない指導に対する困惑が言えない,3.仕事に関する叱責や注意に対して反論できない,4.先輩の気になる言動について発言できない,5.自分や新卒看護師に対する言動に反論できない,6.仕事に対する不安が言えない,7.先輩のミスによる濡れ衣に反論できない,8.私的な依頼が断れない,9.その他,に分類された.理由は,1.人間関係を重視した,2.指導を受ける身であるため,3.面倒を避けたいと感じた,4.先輩に育ててもらっているという思い,5.自分が出来ないことを知られたくない,6.仕事を教えてもらえなくなる恐怖,7.やるべき仕事をしないと思われたくない,8.慣れない環境で疲れ切っていた,9.自分に責任が有る,10. 恐怖心を感じた,であった.新卒看護師は,先輩看護師に職務上多種多様な状況で言いたいことを言えないでいた.