- 著者
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寺尾 浩
岸川 禮子
加藤 真理子
野田 啓史
岩永 友秋
庄司 俊輔
西間 三馨
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー (ISSN:00214884)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.11, pp.1119-1122, 2004
- 被引用文献数
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4
症例は65歳の男性. 主訴は全身の発赤, 腫脹, 掻痒, 意識消失. 既往歴は34歳時より糖尿病発症, 近医受診中. 現病歴は34歳時にパーティーでビールを摂った後, 20分後に全身の発赤, 腫脹, 意識消失が出現した. その後, 患者は様々な食物(すべて小麦が使われていた)摂取後に散歩をし, 蕁麻疹, 意識消失を生じていた. 平成13年2月肉団子入りの食事を摂った後, 散歩に出かけ, 帰宅後, 全身の発赤, 腫脹, 意識消失が出現した. 初診時検査では血清IgE値253IU/ml, IgE RAST値は小麦で2.13UA/ml(クラスを示した. 運動負荷試験方法では空腹時負荷異常なし, アレルギー除去食(小麦, エビ, カニ除去)摂取後, 運動負荷異常なし, 食パン1/2枚摂取後運動負荷異常なし, 食パン1枚摂取後運動負荷で全身に蕁麻疹出現. 以上より小麦を原因とするfood-dependent exercise-induced anaphylaxisと診断した. 物理的アレルギーのなかで, 運動という物理的刺激によりアナフィラキシー症状を呈する疾患を運動誘発性アナフィラキシーという. そのなかでも, 特定の食物摂取時にのみ運動誘発性アナフィラキシー症状が現れる場合, 食物依存性運動誘発性アナフィラキシー(FEIAn)という.