著者
三田村 仰 武藤 崇 ミタムラ タカシ ムトウ タカシ Mitamura Takashi Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.57-68, 2012-12-15

研究動向本稿の目的は,わが国での「エビデンスに基づく心理学的実践(evidence-based practice in psychology:EBPP)」の普及を目指し,英国や米国を中心に,どういった問題意識の基に,実証に基づく心理学的実践という考え方が生まれたのかについてその概要を示すことであった。また,その中で,わが国におけるEBPP の普及を目指しておこなわれたアクセプタンス&コミットメント・セラピーのセラピスト養成プログラムの実践を紹介し,わが国でのEBPP の普及の課題と展望を論じた。
著者
北川 嘉野 武藤 崇 キタガワ カノ ムトウ タカシ Kitagawa Kano Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.41-51, 2013-12-15

研究動向近年,瞑想などを取り入れたマインドフルネスに基づく心理療法が注目されている。マインドフルネスとは「意図的に,いまこの瞬間に,判断することなく注意をむけること」と定義される。本稿ではマインドフルネスとはいったい何なのか概要を示し,実際のマインドフルネスを促進する技法,そしてその効果やメカニズム解明に関する研究を紹介した。最後に,臨床研究・基礎研究の現状を踏まえ,マインドフルネスの促進困難への対応の指針を提案した。
著者
大屋 藍子 武藤 崇 オオヤ アイコ ムトウ タカシ Ohya Aiko Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-64, 2011-12-15

研究動向肥満に対する治療は,従来,食事療法,運動療法,行動療法や薬物療法を組み合わせて患者の意欲を維持させながら行われ,肥満者が主体的に自分自身で生活をマネジメントすることが求められる。しかし,生活習慣のセルフマネジメントには,(1)個々人の動機のばらつきの大きさ,(2)習慣の中・長期的な維持の難しさという問題が挙げられる。本稿は,行動分析学の観点から肥満をもたらす生活習慣を分析し,肥満治療に対する提案を行った。その結果,セルフマネジメントの困難な要因は,(1)ストレス発散のための過食など,肥満者にとって連鎖的に形成された摂食行動が存在するため,生活習慣改善への動機が形成されないこと,(2)肥満者の希望する体重・体調変化が即時的に得られないため,中・長期的な食事改善や運動行動が難しいことの,2点に整理された。さらに,その困難さを改善するために,アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の観点から,摂食欲求や肥満に対するストレスを受け容れながら,生きたい価値に沿った生活習慣の再構築が必要とされ,その結果,対象者は,生きたい価値を追求することで,単なる肥満の治療ではなく,より高いQOL(生活の質)の実現を追究していくことができるということが示唆された。
著者
OGAMI Ayumi MUTO Takashi HARUYAMA Yasuo YOSHIKAWA Toru
出版者
東北ジャーナル刊行会
雑誌
Tohoku journal of experimental medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.230, no.4, pp.255-263, 2013-08-01
参考文献数
32
被引用文献数
2

In Japan, the number of workers with depressive symptoms has increased recently, and long working hours are considered one of the main contributing factors. Currently, the number of workers engaging in discretionary work is small but is expected to increase, as a diverse method of employment is believed to contribute to workers' well-being. However, the factors related to discretionary workers' depressive symptoms are unclear. This study aimed to identify the factors associated with depressive symptoms in discretionary workers. The subjects were 240 male discretionary workers in a Japanese insurance company. A cross-sectional study was performed using a questionnaire that includes demographic characteristics, living and working conditions, work-related and non-work-related stressful events, and the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D). Depressive symptoms were assessed as more than 16 points on the CES-D. Multiple logistic regression models were employed to estimate odd ratios (OR) with 95% confidence intervals (95% CI) of depressive symptoms in relation to possible factors. Thirty-six subjects (15.5%) showed depressive symptoms. The depressive symptoms were significantly related to age (<i>p</i> = 0.04), presence of child(ren) (<i>p</i> = 0.02), and length of employment (<i>p</i> = 0.01), but unrelated to working hours. Subjects who reported "financial matters" (OR = 4.50, 95% CI = 1.89-10.72) and "own event" such as divorce or illness (OR = 2.93, 95% CI = 1.13-7.61) were more likely to show depressive symptoms. In conclusion, mental health measures for discretionary workers should focus on addressing financial difficulties and consultations and assistance in personal health and family issues.
著者
万福 尚紀 武藤 崇 マンプク ナオキ ムトウ タカシ Mampuku Naoki Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.95-106, 2015-12-15

研究動向 本稿の目的は,糖尿病の一般的な治療と糖尿病に対する心理療法について概観すること,及び近年注目されているアプローチとして,マインドフルネスをベースにした心理的介入の有用性を示すことであった。本稿の構成としては,①糖尿病に対する一般的な治療,②糖尿病に対する代表的な心理療法,③糖尿病患者に対するマインドフルネスをベースにした介入,となっている。現段階でこれらの要素をレビューした結果,一般的な糖尿病治療では,患者の治療に対するアドヒアランスの維持が困難であり,適切な自己管理がもたらされないことが示唆された。そして,糖尿病に対する心理療法の代表としては,認知・行動療法(CBT)と動機づけ面接(MI)が挙げられ,前者は適応可能な患者層の狭さが,後者は糖尿病患者へのMIの実施経験の必要性が示された。一方,マインドフルネスを取り入れた介入は,糖尿病患者に広く適応可能であり,統合的かつテイラーメイドな糖尿病治療においても有用であることが示唆された。ただし,今後の課題点として長期的な効果検討と参加者の負担の軽減が挙げられた。
著者
大屋 藍子 武藤 崇 オオヤ アイコ ムトウ タカシ Ohya Aiko Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-64, 2011-12-15

研究動向肥満に対する治療は,従来,食事療法,運動療法,行動療法や薬物療法を組み合わせて患者の意欲を維持させながら行われ,肥満者が主体的に自分自身で生活をマネジメントすることが求められる。しかし,生活習慣のセルフマネジメントには,(1)個々人の動機のばらつきの大きさ,(2)習慣の中・長期的な維持の難しさという問題が挙げられる。本稿は,行動分析学の観点から肥満をもたらす生活習慣を分析し,肥満治療に対する提案を行った。その結果,セルフマネジメントの困難な要因は,(1)ストレス発散のための過食など,肥満者にとって連鎖的に形成された摂食行動が存在するため,生活習慣改善への動機が形成されないこと,(2)肥満者の希望する体重・体調変化が即時的に得られないため,中・長期的な食事改善や運動行動が難しいことの,2点に整理された。さらに,その困難さを改善するために,アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の観点から,摂食欲求や肥満に対するストレスを受け容れながら,生きたい価値に沿った生活習慣の再構築が必要とされ,その結果,対象者は,生きたい価値を追求することで,単なる肥満の治療ではなく,より高いQOL(生活の質)の実現を追究していくことができるということが示唆された。