- 著者
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茂木 俊伸
森 篤嗣
Toshinobu MOGI
Atsushi MORI
- 出版者
- 国際交流基金日本語事業部
- 雑誌
- 世界の日本語教育 (ISSN:09172920)
- 巻号頁・発行日
- no.16, pp.139-153, 2006
本研究は、「階段に座っての食事」「全力を尽くしての結果」のように、テ節を内部に含む名詞句(「テノ名詞句」と呼ぶ)について、(1)主要部の被修飾名詞の特性、(2)名詞句内のテ節の意味・用法、(3)テノ名詞句の統一的な意味、 という三つの観点から分析を行なったものである。本研究では、まず、先行研究の記述の整理を行ない、問題となる点を明らかにした上で、形態的な基準に基づいて被修飾名詞を「述語性名詞」と「非述語性名詞」に分類し、それぞれの名詞とテ節との関係が異なることを指摘した(上記(1)(2))。先行研究で中心的に扱われてきた述語性名詞の場合、文(動詞句)に並行的な構造を持っており、テ節と名詞とは連用修飾に相当する意味的関係にある。この構造的特性から、テノ名詞句において、一部の用法のテ節のみが生起可能であることが説明される。一方、非述語性名詞の場合、文に並行的な構造を持っておらず、連用修飾との関係は薄い。むしろ、この非述語性名詞には、「外の関係」の連体修飾に相当する意味的関係を持った名詞の多くが該当するということが指摘できる。以上のように、本研究では、従来は明確な整理がされてこなかったテノ名詞句を二つに区分した上で、さらに、二つのタイプのテノ名詞句でそれぞれ観察される制限から、テノ名詞句全体に共通する意味的特徴を抽出した(上記(3))。この特徴は、「時間的展開の内包」であり、最終的には、テ節が持つ一般的な特徴に還元できるものである。This paper describes noun phrases that include a te-clause (called "te-no noun phrases") from the following three viewpoints: (1) characteristics of the modified noun, (2) meaning and usage of the te-clause, and (3) meaning of the te-no noun phrases. First, the head nouns in these noun phrases can be classified into "predicative nouns" and "non-predicative nouns," based on morphological criteria. Predicative noun snot only have a structure parallel to verb phrases but also have structural restrictions on the occurrence of the te-clause with in the noun phrase. On the other hand, non-predicative nouns do not show such a parallelism; they have a relation of modification between the te-clause and the head noun, similar to the non-case relational relative clause in Teramura's (1977) sense. This paper also finds that a schema of temporal development can be extracted from these noun phrases, which can be reduced to a general meaning of te-clauses.