著者
冠 昭夫 若松 義男 志村 隆 都木 恭一郎 鳥井 義弘 KANMURI Akio WAKAMATSU Yoshio SHIMURA Takashi TOKI Kyoichiro TORII Yoshihiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-868 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.868, pp.33, 1985-07

The first Japanese LOX/LH2 rocket engine (LE-5) employs a turbopump-fed gas generator cycle system. The LE-5 engine starts up in such an unique method that the power of the turbopump system is at first built up by a coolant bleed cycle followed by a gas generator cycle. A computer program for the start transient simulation has been developed and it has been utilized for analysing start-up characteristics of the LE-5 engine. The outline of the computer program and the analytical results are discussed here. The results of the analysis have been effectively used for the setting of the firing test condition and for the determination of the engine start sequence in each phases of the development. The results of the simulation are also compared with the experimental results.
著者
冠 昭夫 若松 義男 都木 恭一郎 KANMURI Akio WAKAMATSU Yoshio TOKI Kyoichiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:04522982)
巻号頁・発行日
vol.523, pp.78, 1983-11

今日,わが国では,H-Iロケット以後の大型人工衛星打上げロケット用に,液体酸素・液体水素ブースターエンジンの開発が検討されており,そのトレード・オフにおいては,二段燃焼サイクルの高圧エンジン開発の方向が有力とされている。そこで,高圧の液体酸素・液体水素エンジン開発上の技術的問題点を明らかにするとともに,わが国の高圧液酸・液水エンジンに関する研究および開発における指針決定に資する事を目的として,この種のエンジンとしては,現在までのところ唯一の実用例である,スペースシャトル・メイン・エンジン(SSME)の開発過程で生じた不具合事例の調査・検討を行った。公表されている文献・記事を基に,主燃焼器・プリバーナ・低圧ターボポンプ・高圧ターボポンプ・配管弁類などのコンポーネント毎に不具合事例の収集を行い,事例毎に内容・原因・対策を明らかにし,主要なものを中心に検討・考察を加えた。二段燃焼サイクルの高圧エンジン開発過程で発生した技術的問題点が明らかになるとともに,開発に際しての基本的コンフィグレーションに対する技術的検討および材料やエンジン各要素の基礎的データ蓄積のためのラボ試験などの重要性が,改めて確認された。
著者
木村 俊哉 高橋 政浩 若松 義男 長谷川 恵一 山西 伸宏 長田 敦 Kimura Toshiya Takahashi Masahiro Wakamatsu Yoshio Hasegawa Keiichi Yamanishi Nobuhiro Osada Atsushi
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-04-010, 2004-10-25

ロケットエンジン動的シミュレータ(Rocket Engine Dynamic Simulator: REDS)とは、ロケットエンジンの始動、停止、不具合発生時などのエンジンシステム全体の過渡特性を、コンピュータを使って模擬し評価する能力を持った計算ツールである。REDSでは、ロケットエンジンの配管系を有限個の配管要素の連結(管路系)としてモデル化し、この管路系に対しボリューム・ジャンクション法と呼ばれる手法を用いて質量、運動量、エネルギーの保存方程式を時間発展的に解くことによって管路内(エンジン内)における、燃料、酸化剤、燃焼ガスの流動を計算する。ターボポンプ、バルブ、オリフィスなどの流体機器はボリューム要素やジャンクション要素にそれらの対応する作動特性を持たせることで動作を模擬する。燃料や酸化剤の物性については、ロケットエンジンの特殊な作動範囲に適応するよう別途外部で開発された物性計算コード(GASPなど)を利用するが、そのためのインターフェースを備える。燃焼ガスの物性計算については、熱・化学平衡を仮定した物性計算を行い、未燃混合ガスから燃焼状態、燃焼状態から未燃混合状態への移行計算も行う。ターボポンプの運動は、ポンプやタービンの特性を考慮したポンプ動力項、タービン動力項を加速項とする運動方程式を流れの方程式と連立して時間発展的に解くことによって求める。未予冷区間においては、配管要素と流体との間の熱交換を、熱伝導方程式を解くことによって求め、再生冷却ジャケットにおいては、燃焼ガスから壁、壁から冷却剤への熱伝達を考慮する。燃焼室、ノズル内においては、燃焼ガス流れの分布から熱流束の分布を考慮する。今回のバージョンでは、2段燃焼サイクルを採用した日本国の主力ロケットLE-7AおよびLE-7の始動、停止過程時における動特性を模擬することを目的にエンジンモデルを構築し、実機エンジン燃焼試験の結果と比較することでシミュレータの検証を行った。ただし、ボリューム要素の組み合わせは任意であり、エキスパンダーサイクルなどの新しいエンジンシステムに対しても適用が容易に出来る。計算の高速化のために2CPU以上用いた並列処理への対応を行い、ネットワークで接続した複数のPC(PCクラスタ)を用いた並列計算も可能である。