著者
山口 功 木田 隆 岡本 修 狼 嘉彰 YAMAGUCHI Isao KIDA Takashi OKAMOTO Osamu OOKAMI Yoshiaki
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:04522982)
巻号頁・発行日
vol.636, pp.15, 1991-06

本資料は剛体の運動方程式におけるクオータニオンによるキネマティックス表現についてまとめたものである。クオータニオンは4つのパラメータで構成され,物体のオリエンテーションを規定するものであり,オイラー・パラメータ,4元数とも呼ばれる。本資料ではまず座標系やベクトル量が定義された後,クオータニオンが導入される。従来の手法であるオイラー角による物体の姿勢の記述方法と比較しながら,方向余弦行列との関連や物体の角速度ベクトルによるクオータニオンの微分方程式の構成など,クオータニオンの様々な特徴について計算機プログラムのためのアルゴリズムを念頭において考察する。最後に剛体の運動方程式の中でクオータニオンがどのように組み込まれて剛体のキネマティックスを表現するのかについて論じる。
著者
上段固体モータ信頼性研究グループ 上段固体モータ信頼性研究グループ Upper Stage Solid Motor Reliability Research Group Upper Stage Solid Motor Reliability Research Group
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1298, pp.1-62, 1996-06

国産・自主技術で進めたH-1ロケット用第3段モータおよびアポジ・モータの開発において重要な要素である信頼性の確立を図るため、航空宇宙技術研究所(NAL)と宇宙開発事業団(NASDA)が研究グループ「上段固体モータ信頼性研究グループ」を結成し、共同研究「上段固体ロケットモータの信頼性評価基準に関する実験的研究」を1980年度から1984年度まで行った。そしてその主体である推進薬の欠陥許容判定基準の研究および推進薬の欠陥検出法の研究についての成果をその後の研究成果も含めて3部作の報告書にまとめた。なお、本共同研究はNAL特別研究「上段モータの信頼性評価基準に関する研究」と緊密な関係のもとで行われた。本報告書では、国産開発のH-1アポジ・モータの1/4縮尺モータなどの小型モータに、推進薬気泡、インシュレーション・推進薬間剥離、推進薬ノッチなどの人工欠陥を付し、欠陥の燃焼への影響を調べた結果について述べる。
著者
只野 真 佐藤 政裕 日下 和夫 佐藤 正喜 熊川 彰長 長谷川 恵一 高橋 秀明 今野 彰 青木 宏 名村 栄次郎 Tadano Makoto Sato Masahiro Kusaka Kazuo Sato Masaki Kumakawa Akinaga Hasegawa Keiichi Takahashi Hideaki Konno Akira Aoki Hiroshi Namura Eijiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:13474588)
巻号頁・発行日
vol.1464, 2003-06

近い将来の再使用型ロケットエンジンの性能向上の一案として、伸展ノズルやデュアルベルノズルが有望であると考えられている。そこで、これらのノズルの基本特性を把握するために、4種のノズル(標準ベルノズル、伸展途中の過渡状態を模擬したステップノズル、デュアルベルノズルおよび可動伸展ノズル)を用いて、高空燃焼試験を実施した。試験で計測したノズル性能、圧力分布および熱伝達率などのデータをCFD解析の結果と比較検討した。その結果、デュアルベルノズルの性能は標準ノズルやステップノズルよりも低く、現状のノズルコンターはさらに改善の余地があることが判明した。また、可動伸展ノズルの伸展時には、固定ノズルと伸展ノズル隙間からの燃焼ガスバックフローは認められず、ノズル壁面の熱伝達率は過渡的に約20%増加することが判明した。これらの現象はCFD解析結果とも一致し、CFD解析によってノズルのステップ流れやバックフローが予測できる目処を得た。
著者
冠 昭夫 若松 義男 志村 隆 都木 恭一郎 鳥井 義弘 KANMURI Akio WAKAMATSU Yoshio SHIMURA Takashi TOKI Kyoichiro TORII Yoshihiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-868 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.868, pp.33, 1985-07

The first Japanese LOX/LH2 rocket engine (LE-5) employs a turbopump-fed gas generator cycle system. The LE-5 engine starts up in such an unique method that the power of the turbopump system is at first built up by a coolant bleed cycle followed by a gas generator cycle. A computer program for the start transient simulation has been developed and it has been utilized for analysing start-up characteristics of the LE-5 engine. The outline of the computer program and the analytical results are discussed here. The results of the analysis have been effectively used for the setting of the firing test condition and for the determination of the engine start sequence in each phases of the development. The results of the simulation are also compared with the experimental results.
著者
スクラム実験機検討グループ Scramjet Flight Test Study Group
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:04522982)
巻号頁・発行日
vol.662, pp.1冊, 1994-02

スクラムジェットエンジの研究開発において、飛行試験は地上試験および計算機シミュレーションと同様に重要である。空気取り入れ口流の淀み点の超高温度および圧力は、地上試験装置では作り得ず飛行試験で達成できる。それで飛行試験はシミュレータプログラムの検証に用いられる。種種の技術的問題解決手段として、次の3シリーズの飛行試験を提案する。フェーズ0:ロケットブースタの先端に単段縮尺エンジンモジュールを取り付けた飛行試験システムの構築、およびこのシステムを用いた地上試験結果との比較検討。フェーズ1:マッハ数10における統合化エンジンエアフレームの影響試験。フェーズ2:マッハ数16における実物大エンジンモジュールのスケール効果調査試験。以上の3フェーズにわたる試験機およびエンジンの概念設計研究を行った。
著者
STOLプロジェクト推進本部エンジン技術開発室エンジン空中試験チーム
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:04522982)
巻号頁・発行日
vol.551, pp.162, 1985-12

Airborne test of the FJR710/600S Engine installed on the JSDF C1 Aircraft as its Flying Test Bed Aircraft was executed with the active support of the Air Proving Wing and Gifu Air-base. The operational characteristics, functions and performances of the engine in conjunction with its coming installation on NAL STOL Research Aircraft were welldefined through 20 flight test sorties. Test items ranged over steady performance, acceleration/deceleration, air-bleeding, start/re-start, windmilling, engine response to aircraft maneuver and engine behavier in transient flight. The over-all operational characteristics and functions were proved to be satisfactory. One item requiring improvement was found in lubrication system behavior under low-G flying conditions. The performance test resultsshow good coincidence with predictions based on data acquired in the Altitude Test Cell.
著者
冠 昭夫 若松 義男 都木 恭一郎 KANMURI Akio WAKAMATSU Yoshio TOKI Kyoichiro
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:04522982)
巻号頁・発行日
vol.523, pp.78, 1983-11

今日,わが国では,H-Iロケット以後の大型人工衛星打上げロケット用に,液体酸素・液体水素ブースターエンジンの開発が検討されており,そのトレード・オフにおいては,二段燃焼サイクルの高圧エンジン開発の方向が有力とされている。そこで,高圧の液体酸素・液体水素エンジン開発上の技術的問題点を明らかにするとともに,わが国の高圧液酸・液水エンジンに関する研究および開発における指針決定に資する事を目的として,この種のエンジンとしては,現在までのところ唯一の実用例である,スペースシャトル・メイン・エンジン(SSME)の開発過程で生じた不具合事例の調査・検討を行った。公表されている文献・記事を基に,主燃焼器・プリバーナ・低圧ターボポンプ・高圧ターボポンプ・配管弁類などのコンポーネント毎に不具合事例の収集を行い,事例毎に内容・原因・対策を明らかにし,主要なものを中心に検討・考察を加えた。二段燃焼サイクルの高圧エンジン開発過程で発生した技術的問題点が明らかになるとともに,開発に際しての基本的コンフィグレーションに対する技術的検討および材料やエンジン各要素の基礎的データ蓄積のためのラボ試験などの重要性が,改めて確認された。
著者
STOLプロジェクト推進本部機体技術開発室 Aircraft D. S. STOL Aircraft Proj. G.
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1223, pp.1冊, 1994-01

この報告書は航空宇宙技術研究所が開発設計したSTOL実験機「飛鳥」の研究開発計画の全容について概説する。飛鳥は1985年10月28日に初飛行を行った。1977-1985の8年間におよぶ開発経過報告には航空機機体、システムと多数の開発試験が含まれる。飛鳥は航空自衛隊の中型貨物輸送機シリーズであるC-1機の改良機で川崎重工が開発試作した。機体は新しく設計され、C-1機の双発エンジンはSTOL運用のパワードリフトを確保できる上面吹き出し(USB)方式を採用するため、4発のFJR710/600Sファンジェットエンジンに取り替えられた。
著者
高木 亮治 Takaki Ryoji
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1407, pp.1冊, 2000-06

極超音速非平衡流の特徴である高温気体効果を考慮した数値解析を行った。高温気体効果として化学非平衡および熱的非平衡を考慮した。化学反応モデルとして7化学種、18反応モデルを用いた。また熱的非平衡モデルとしてParkの2温度モデルを用いた。慣性項の計算にはAUSMDVスキームを使用している。時間積分には計算効率の良いLU-SGS(Lower-Upper Symmetric Gauss-Seidel)法と局所時間刻法を用いている。またソース項にはpoint impact法を用いている。開発した解析コードを用いて半球周りの軸対称流の解析を行った。実験データと比較することで開発したコードの検証を行った。また格子依存性についても調べた。衝撃波後方の流れが強い非平衡性を持った流れであることを示している。
著者
STOLプロジェクト推進本部機体技術開発室飛行試験室 Flight Control System Development Team STOL Research Aircraft Project Group
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-1013 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1013, pp.91, 1989-02

National Aerospace Laboratory has been developing the STOL research aircraft named “ASKA” which underwent its maiden flight on October 28th, 1985. This project was started for the purpose of establishing STOL technology in Japan. In order to improve the stability and control of the ASKA in the low air speed region, the ASKA has a triplex digital stability and control augmentation system (SCAS) in which new technologies are introduced. This paper describes the outline of design objectives, functions, a series of development tests and results of the SCAS which include triplex digital computer systems, a triplex force summing electro hydraulic series servo actuator, a head-up display and a low airspeed sensor. Most of the development tests were devoted to verifying the system hardware and software through control system functional mockup tests, and flight simulator tests connecting with the digital computer systems. And finally the overall functions of the SCAS were tested in actual flight. The problems encountered during these tests are also presented.
著者
田丸 卓 Tamaru Takashi
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:04522982)
巻号頁・発行日
vol.676, pp.1-113, 1995-01

ガスタービンとジェットエンジンの燃焼器に関する開発技術の具体的手法について概説した。特に航空技術研究所で研究開発を行ったSTOL(短距離離着陸)機用ターボファンエンジンFJR710と高効率ガスタービンAGTJ-100Aの高圧燃焼器を中心に、当時の技術と開発した手法について記述した。ガスタービン燃焼器研究に必要な参考資料所在や実験的技術についても記述した。
著者
清水 盛生 内藤 均 佐原 宏典 Shimizu Morio Naito Hitoshi Sahara Hironori
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所資料 = Technical Memorandum of National Aerospace Laboratory (ISSN:1347460X)
巻号頁・発行日
vol.769, 2003-03

本資料では、当所において1985年頃から実施された太陽熱スラスタの試作研究について述べる。当初はステンレス鋼を材料とした習作スラスタであり、加熱・噴射試験結果も平凡で、比推力500〜600秒級であった。次段階では物質・材料研究機構が日本および米国の特許を有する単結晶モリブデン材を採用して、超小型(外径約6mm)から大型(外径65mm)までの各種サイズのスラスタの試作・太陽集光加熱・推進剤噴射試験を実施した。この材料では推進剤温度2,300K、比推力800秒が期待できる。これが本資料の主要部である。さらに究極の材料として単結晶タングステンを採用して、比推力1,000秒級に対応可能なスラスタを試作して予備実験を実施した。このスラスタはアポジおよびペリジでの噴射が可能な対向型で、この型の試作・実験結果の発表は世界初と思われる。
著者
齊藤 喜夫 遠藤 征紀 松田 幸雄 杉山 七契 菅原 昇 山本 一臣 Saito Yoshio Endo Masanori Matsuda Yukio Sugiyama Nanahisa Sugahara Noboru Yamamoto Kazuomi
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1289, pp.1冊, 1996-04

次世代の高亜音速輸送機用エンジンである超高バイパス比ターボファン・エンジンの研究「超高バイパス比可変形状エンジンの研究」を進めている過程で、新しい概念のエンジンであるコア分離型ターボファン・エンジンを考案した。このエンジンの特徴は、従来のターボファン・エンジンでは一体となっていたファンとコア・エンジンを分離して並列に配置したことである。概念検討の結果、コア分離型ターボファン・エンジンは従来型ターボファン・エンジンに比べて、安定性や構成の柔軟性などに優れており、また、VTOL輸送機用エンジンなどの新しい用途にも適していることを確認した。
著者
増位 和也 塚野 雄吉 Masui Kazuya Tsukano Yukichi
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.1324, pp.1冊, 1997-04

方程式誤差法に分類される最小二乗法およびTLS法(全最小二乗法)を用いて、クインエア機の縦空力微係数を幾つかの操縦入力に対する飛行試験時歴より直接推定し、周波数応答法による推定結果と比較した。その結果、最小二乗法およびTLS法は、周波数応答法と比較して非常に少ない飛行試験時間で空力微係数を推定することが可能で、特別の入力装置も必要としないことが示された。推定した空力微係数によるシミュレーション計算では、周波数応答法による空力微係数と同程度もしくはそれ以上の精度で飛行運動を再現することができた。また、最小二乗法およびTLS法では、説明変数のそれぞれが十分変化し、かつ、互いに独立となるよう適当な入力波形を組合せ、データ処理において計測誤差をできる限り取り除くことが重要であることが分かった。
著者
浅井 圭介 ASAI Keisuke
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所報告 = Technical Report of National Aerospace Laboratory TR-797 (ISSN:03894010)
巻号頁・発行日
vol.797, pp.21, 1984-01

The objective of the present paper is to discuss the application of nonplanar wings such as Whitcomb’s winglet to new subsonic transport airplanes. A simple numerical method has been developed to calculate the minimum induced drag for a wing of an arbitrary nonplanar configuration, using the Trefftz-plane(far-field) analysis and the Lagrangean multiplier technique. For a series of wing/winglet combinations and several more complex forms such as curved wings, the value of the induced drag efficiency parameter‘l/e’is evaluated and compared with that of a conventional planar wing. When comparing the induced drag benefits, it is assumed that both wings have the same‘extended’wing planform rather than the‘projected’one. And, to take account of the trade-offs between wing aerodynamic efficiency and wing structural weight, the wing root bending moment as well as the wing total lift are kept constant. With these constraints, the drag performances for both wings could be compared without any ambiguity associated with structural weight and wing surface skin friction. The results obtained show that the minimum induced drag of every nonplanar wing analyzed here is not less than that of a planar wing except in the case of relatively small values of restricted wing root bending moment. Thus, it is concluded that a planar wing is superior to a nonplanar wing from the view point of cruise drag performance.