著者
Yuko Iwase 岩瀬 裕子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.179-231, 2019-07-25

本稿は,スペイン・カタルーニャ州の祭りで220 年以上にわたって行われている人間の塔における計測を主題にして,どのようなデジタル・テクノロジーが用いられ,それに対して人びとがいかに対応しているのかを民族誌的調査を通して明らかにするものである。人間の塔は,人が人の肩の上に上り下りして造られ,その高さや構造の複雑さで競われるものである。筆者が調査する最古参のグループでは,塔造りに必要な参加者を把握するためにテクノロジーを利用する動きはあるが,人間を正確に測り塔の構造に反映させるためにテクノロジーは利用していない。人びとが用いるのは,経験的に獲得,定着させてきた主として身体感覚に依拠したテクノロジーである。こうしてデジタル・テクノロジーの受け入れに伴う領域に差異がみられる背景には,身体ひとつで塔を造る人びとの「人間とは正確には測れないもの」という直観的な感覚と,「測ること」で失われてしまうことを危惧する二者関係があることを考察する。

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現在では、参加人数の把握のためにアプリも使われてる。ただこの荷重を分析した人は高い塔を作るための計算は止めたと「みんなが必要」だからと。伝統行事とテクノロジーの関係、競争や参加を過剰にしないで留めようとするバランスなど物凄く面白かった https://t.co/nMlnI8dMNJ

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