著者
丹 信介 長谷 宏明 恵美須 勝美 中尾 建生 高橋 幸広
出版者
山口大学
雑誌
研究論叢. 芸術・体育・教育・心理 (ISSN:02860597)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.281-289, 2003-12-20

本研究では、41歳から56歳の健常な中年男性12名(40代5名、50代7名)を対象に、20cmの台高のステップテストを15回/分、20回/分、25回/分の昇降速度で行わせ、各昇降速度でのステップテスト中の酸素摂取量の個人差について検討した。また、合わせて、ステップテスト中の各昇降速度とその時の酸素摂取量との間の相関関係(直線関係)についても検討した。そして、これらの検討を通じて、中年男性を対象とした全身持久力推定のための運動負荷法としての20cmの台高のステップテストの妥当性について検討した。得られた結果は次のとおりである。1.ステップテスト中の酸素摂取量の変動係数は、6.2〜7.3%の範囲内であり、先行研究や自転車エルゴメーターにおける変動係数と同等か、それよりやや低い値を示した。2.ステップテスト中の各昇降速度とその時の酸素摂取量の平均値との間には、極めて強い正の相関関係(r=0.9999、p<0.001)が認められ、両者の間には直線関係が成立した。また、被検者各人のステップテスト中の各昇降速度とその時の酸素摂取量との間の相関係数は、全例0.9848以上であり、被検者各人においても、両者の間には直線関係が成立した。以上のことから、40、50代の中年男性を対象とした20cmの台高のステップテストにおける酸素摂取量の個人差は少ないことが明らかとなり、全身持久力推定法としての前提条件を満たすことが示唆された。また、ステップテスト中の昇降速度と各昇降速度における酸素摂取量との間には、直線関係があることが確認され、1次回帰を用いて、全身持久力の推定が可能であることが確認された。したがって、本研究で用いた20cmの台高のステップテストは、中年男性を対象とした全身持久力推定のための運動負荷法として妥当であることが示唆された。
著者
IKEDA Masahiro KOSUGI E. Koji
出版者
山口大学教育学部
雑誌
研究論叢. 第3部, 芸術・体育・教育・心理 (ISSN:02860597)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.123-130, 2011

The purpose of this study was to inspect how the factor structure of punishment feelings differs, depending on the perpetrator of a crime (i.e., whether the person is a juvenile or an adult) and the difference in feelings between varying generations. A factor analysis of data obtained from approximately 2,000 people, ranging in age from 10 years through to over 60 years supported that four factors model for feelings on adult crime, and three factors model for feelings on juvenile delinquency. In addition, it was shown that the factor structure of punishment feelings varied greatly, according to generation.
著者
雷 秀雅 堂野 佐俊
出版者
山口大学
雑誌
研究論叢. 芸術・体育・教育・心理 (ISSN:02860597)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.9-25, 2003-01-31

現代社会は、一億総ストレスとも呼ばれるように、我々の身の回りには多様な心理的なストレスが満ち溢れている。こうしたストレスは大人社会のみならず、学校や家庭をはじめとする子どもの世界にも同様の大きな影響を及ぼしてきている。特に、自我の確立に向けて発達し苦悩する思春期の子ども達にとっては、それが持つ意味は多大である。今日、社会的課題ともいわれる思春期の青少年の行動や生活態度に関する指摘の背景には、彼らをめぐる心理的なストレスの影響があることも考慮されるべき重要な視点である。本研究は、思春期の心理的ストレスの実態とその要因について明らかにすることを目的とした。ストレスの状況に関しては、頻度と強度、及び対処行動の三つの側面から測定した。対象として、中国及び日本における思春期の子ども517名を用い、日常生活でのストレスについて質問紙により調査を行った。こうした分析に基づき、これら思春期のストレスに影響を及ぼす要因についての検討も試みた。