著者
伊藤 朗 三上 俊夫 丹 信介 後藤 浩史 井川 幸雄
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
尿酸 (ISSN:03884120)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.38-47, 1984 (Released:2012-11-27)
参考文献数
14
被引用文献数
3

The study was investigated effects of different kinds of exercise on serum uric acid as the basic research data for preventing athletes and non-athletes from exercised-induced hyperuricemia and carring out exercise treatment for hyperuricemia. The results were summarized as follows: 1) Changes in serum uric acid on different kinds of exercise: On an exhaustive exercise on a bicycle ergometer for 5-10 min, serum uric acid was gradually increased, and reached a peak at 2 hrs after exercise. And then it was gradually decreased until 24 hrs after exercise, but was significantly 9.9% higher at 24 hrs after exercise than before exercise (p<0.001). On a 12 min-run, serum uric acid reached a peak immediatly after ex ercise, and then kept the same level until 2 hrs after exercise. On a 2 hrs running on a treadmill, serum uric acid showed a linear increase, and reached a peak at 45 min during exercise. And then it was the same level until 90 min after exercise. 2) Comparison of the degree of increase in serum uric acid on different kinds of exercise: The degree of increase in serum uric acid against before exercise was the largest (+87.9%, p<0.001) on an exhaustive exercise on a bicycle ergometer in untrained subjects, and was with a range of +9.0 to +34.2% on a 12-min -run, a 2 hrs running on a treadmill and so on. 3) Relationship between exercise in t e nsity and increase inserum uric acid when the amount of exercise was the same: The increase in serum uric acid after exercise was proportional to exercise intensity on 60%, 80%, and 100% V02 max. But serum uric acid was almost unchanged after 40% V02 max exercise, and tended to be decreased after 30% V02 max exercise. 4) The ratio of appearence of exercise-induced hyperuricophenomenon (phenomenon of a temporary high level of serum uric acid over 7 mg/dl after severe exercise): The ratio of appearence of exercise-induced hyperurico-phenomenon was 38.1% (75 out of 197 untrained subjects) at 5,000m run, and 53.3% (16 out of 30 trained subjects) at 12-min-run. 5) Effects of training on the degree of increase in serum uric acid after exercise: After training of walking and jogging for 4 months, the mean distance of 12-min-run was increased (2,444m→2,611m), but the degree of increase in serum uric acid after 12mm-run was decreased (+18.3%→+9.1%) in contrast to before training.
著者
中村 一平 奥田 昌之 鹿毛 治子 國次 一郎 杉山 真一 藤井 昭宏 松原 麻子 丹 信介 芳原 達也
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.279-289, 2004-12-31
被引用文献数
1 1

【目的】現在まで高齢者の介護予防や体力増進に関する多くの研究が行われているが,コントロール群との比較を行っているものは数少ない.今回,運動介入の効果を検証するため,同一町内に居住し,同じ介護老人福祉施設で同じサービスを受けている高齢者を居住地区と通所曜日により2群に分け,対照群をおき非介入期間を設け運動介入時期をずらしてクロスオーバー研究を行った.【方法】ある介護老人福祉施設の「生きがい活動支援通所事業」の参加者に,研究調査に関して文書で説明を行い,書面で同意を得た女性25名(80.3±3.4歳)を対象とした.2003年6月〜2004年1月に,介入先行群10名に3ヵ月間に5回の運動介入を行い,3ヵ月後に介入する群を入替え,介入後行群15名に同様の運動介入を行った.また,介入期間中はホームプログラムを促した.運動は特別な道具が要らず簡単なものとし,ウォーミングアップ5分,ストレッチング15分,筋力増強15分,クールダウン5分の計40分間で,デイサービスの時間に行った.測定項目は,握力,背筋力,10m歩行速度・歩数,40・30・20cm台からの立ち上がり,40cm台昇降,開眼・閉眼片足立ち,タンデム歩行安定性,Danielsらの徒手筋力検査法,老研式活動能力指標とした.【結果と結論】クロスオーバー研究でコントロールとなる非介入期間と比べて介入期間のトレーニング実施により背筋力(p=0.032)が増強した.介入期間の前後では背筋力の他に,股関節屈曲力,膝関節屈曲力・伸展力,足関節底屈力が増加したが,これらも非介入期間と比較すると有意差はなかった.クロスオーバー研究の制限はあるが,地域高齢者のデイサービス利用者で平均80歳の高年齢の場合には,月2回の運動指導のみで自宅でのトレーニングを促しても身体能力の向上という効果はでにくいと考えられる.
著者
丹 信介 曽根 涼子
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、異なる運動強度での運動トレーニングが、視床下部室傍核でのCRFとAVPの両者を含有する神経細胞の割合にどのような影響を及ぼすかについて検討を試みた。実験には6週齢のラットを用い、トレーニング群とコントロール群に分けた。トレーニング群のラットは、さらに3群に分け、各群それぞれ、10m/分、20m/分、30m/分の速度でのトレッドミル走を、1日30分、週5回の頻度で、4週間あるいは8週間行わせた。コントロール群のラットは通常のケージで飼育した。30m/分の速度でのトレーニング群の体重当たりの副腎重量は、4及び8週間のいずれのトレーニング期間においても、コントロール群や他のトレーニング群のそれと比較して、有意に(p<0.05)重かった。各トレーニング群及びコントロール群の脳切片を浮遊法によるCRF及びAVP抗体を用いた免疫組織化学的二重染色に供し、視床下部室傍核でのCRF、AVP含有神経細胞の同定を試みた結果、両者を含有する神経細胞数は、各群とも、4及び8週間のいずれのトレーニング期間においても平均数個程度であり、いずれのトレーニング期間においても、各群の間で有意な差は認められなかった。染色法の妥当性については、CRFとAVPの両者を含有する神経細胞数が視床下部室傍核で著しく増加するとされている副腎摘出ラットを用いた染色結果から確認ができている。したがって、走行スピード30m/分、1日30分、週5日、4あるいは8週間の走行トレーニングは、それより低い走行スピードでの同様の走行トレーニングに比べて、副腎重量の増大は生じるが、視床下部室傍核のCRFとAVPの両者を含有する神経細胞の数には影響を及ぼさないことが示唆された。
著者
伊藤 朗 古賀 由香 秦野 伸二 三上 俊夫 村上 秀明 後藤 浩史 丹 信介
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
尿酸 (ISSN:03884120)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.65-74, 1986 (Released:2012-11-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2

各種スポーツマン, すなわち陸上競技の投てき(以後投てきと略),同短距離(以後短距離と略),同跳躍(以後跳躍と略),同長距離(以後長距離と略),器械体操,水球,水泳,ラグビー・フォワード( 以後フォワードと略) , 同バックス(以後バックスと略),野球,ハンドボール(以後ハンドと略),バレーボール(以後バレーと略),バスケットボール(以後バスケと略),サッカー,弓道,スキー,テニス,柔道,モトクロスの尿酸代謝について検討した.被検者は,18-29歳の男性211名とした.結果は以下のとおりである.1)全員の血清尿酸値(以後SUAと略)は,正規分布を示し,平均値は5.95mg/dl,2 S.D.は3.07-8.83mg/dlであった.種目別のSUAは高値順から投てき,水球,野球と続き,低値順からはモトクロス,跳躍,バレーと続いた.2)全員の高尿酸血症(7,5mg/dl以上)発症率(以後発症率と略)は9.95%,種目別発症率は,高率順から投てき,野球(各25%),テニス(20%)と続き,モトクロス,弓道,スキーなど7種目は発症しなかった.3)全員の尿中尿酸排泄量は,正規分布を示し,平均値は692mg/day,2S.D.は220-1,161mg/dayであった.種目別では,高値順から野球,柔道,バックスと続き,低値順からは器械体操,水泳,弓道と続いた.4)全員の尿酸クリァランス(以後CUAと略)は,対数正規分布を示し,平均値は7.87ml/min,2S.D.は3.35-18.49ml/minであり,種目別では高値順から長距離,バレー,バックスと続き,低値順からは器械体操,サッカー,テニスと続いた.5)全員のSUAとCUAには相関が認められ,相関係数は- 0.523 (p<0.001) であった.以上の結果および各種目の運動特性を考慮すると以下の示唆が得られた.1)アマの一流でない一般のスポーツマンのSUAは,一般人の平均値より高値が13種目,低値が6 種目, また発症率が一般人より高率が7種目,同率5種目,低率7種目であり種目間の差が著しく,なかには運動の影響のみられない種目があることが示唆された.本対象のSUA,発症率は最高でもプロ,アマー流選手より低く,活躍度が関係していることが示唆された.2)各種目の運動特性と尿酸代謝の関係は,パワー,有気的持久性,無気的持久性が多く含まれている種目の影響が大きく,なかでもパワーの影響が大きい.またパワー,有気的持久性が多く含まれ,無気的持久性の少ない種目は,尿酸産生過剰型であることが示唆された.一方,無気的持久性が多く含まれる種目は,尿酸排泄低下型であるが,パワー,有気的持久性の要素も含まれる種目では産生過剰の両型あることが示唆された.
著者
丹 信介 長谷 宏明 恵美須 勝美 中尾 建生 高橋 幸広
出版者
山口大学
雑誌
研究論叢. 芸術・体育・教育・心理 (ISSN:02860597)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.281-289, 2003-12-20

本研究では、41歳から56歳の健常な中年男性12名(40代5名、50代7名)を対象に、20cmの台高のステップテストを15回/分、20回/分、25回/分の昇降速度で行わせ、各昇降速度でのステップテスト中の酸素摂取量の個人差について検討した。また、合わせて、ステップテスト中の各昇降速度とその時の酸素摂取量との間の相関関係(直線関係)についても検討した。そして、これらの検討を通じて、中年男性を対象とした全身持久力推定のための運動負荷法としての20cmの台高のステップテストの妥当性について検討した。得られた結果は次のとおりである。1.ステップテスト中の酸素摂取量の変動係数は、6.2〜7.3%の範囲内であり、先行研究や自転車エルゴメーターにおける変動係数と同等か、それよりやや低い値を示した。2.ステップテスト中の各昇降速度とその時の酸素摂取量の平均値との間には、極めて強い正の相関関係(r=0.9999、p<0.001)が認められ、両者の間には直線関係が成立した。また、被検者各人のステップテスト中の各昇降速度とその時の酸素摂取量との間の相関係数は、全例0.9848以上であり、被検者各人においても、両者の間には直線関係が成立した。以上のことから、40、50代の中年男性を対象とした20cmの台高のステップテストにおける酸素摂取量の個人差は少ないことが明らかとなり、全身持久力推定法としての前提条件を満たすことが示唆された。また、ステップテスト中の昇降速度と各昇降速度における酸素摂取量との間には、直線関係があることが確認され、1次回帰を用いて、全身持久力の推定が可能であることが確認された。したがって、本研究で用いた20cmの台高のステップテストは、中年男性を対象とした全身持久力推定のための運動負荷法として妥当であることが示唆された。