著者
朝日 由紀子
出版者
白百合女子大学
雑誌
白百合女子大學研究紀要 (ISSN:02877392)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.A77-A94, 2006-12

マーク・トウェインの最高傑作『ハックルベリー・フインの冒険』は、アメリカ文学の古典としての地位を確立している作品であるが、一方、その語り手ハックルベリー・フインがこの世に登場したときから、社会的な排撃が起こり、以来、時代風潮のなかで社会道徳による断罪が批評家の評価の仕方に影響を及ぼしてきた点で、特異な作品である。この経緯をたどることは、必然的にアメリカ文化の深層と断層を知ることになろう。