著者
田島 信元
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.40-49, 1997

母親の自己イメージ, 妊娠受容感と子どもの誕生後における母親の育児態度, 子どもへの慟きかけ行動との関連が調べられた. 妊娠中に母親に自己イメージと母親イメージ, 妊娠受容感について評定を依頼した. また, 生後1か月時および8か月時において, 育児感想について母親に評定してもらった. 生後3か月時の家庭訪問時に, 母子の社会的相互交渉が観察された. その結果, 母親の自己イメージや妊娠受容感は1か月時の育児感想とは関連がみられたが, 8か月時への影響は示されなかった. 8か月時の育児感想は, むしろ3か月時に観察された母子の社会的相互交渉のなかでみられた, 子どもの行動と母親の付随的な応答と関係が示された. 母親の母性は, 自己イメージや妊娠受容感などの母親の背景要因のみに影響されるのではなく, 現実の母子相互交渉のなかで形成され変化するものであることが示唆された.
著者
上村 佳世子 田島 信元
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.111-118, 1994-03-25

The purpose of this study was to provide specific illustrations of how the microethnographic approach can be applied to the study of various aspects of children's lives from different cultures. The daily life of a nine-year-old elementary school girl from Tokyo and from Boston was observed and the interaction in their home and with peers was analysed. The results demonstrate that the child learns specific rules and expectations of the group, applying them to other situations, depending on the demands of each society. The process of a child's socialization is not the simple internalization of the sociocultural rules and expectations, but the reorganization of their meaning through active interaction in various settings.