著者
遠城 道雄
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部農場研究報告 (ISSN:03860132)
巻号頁・発行日
no.32, pp.27-30, 2010-03

ミクロネシア連邦で栽培される主な作物は湿地性のタロイモであるジャイアントスワンタロ, ヤムイモ類, パンノキである。ジャイアントスワンタロは湿地が必要であるので, 栽培前に湿地の造成が必要となるが, 周年での収穫が可能である。ヤムイモやパンノキは収穫期に季節性があるため, パンノミからは発酵貯蔵食品が製造されている。
著者
大前 加陽子 福留 紘二 遠城 道雄
出版者
鹿児島大學農學部
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-14, 2003-03

温室メロンの夏期、秋期、春期栽培において牛糞堆肥の施用が生育、収量、品質と培養土の理化学的性質に及ぼす影響について検討した。1.牛糞堆肥の窒素無機化特性は化学肥料に比べ緩効的で、全窒素量の6割程度が栽培期間中に無機化され作物に利用される形態となることが明らかになった。2.栽培土壌中の無機態窒素量、茎葉生体重、葉面積は3作とも栽培期間中終始化学区が堆肥区よりも大きかった。しかし、果実重については処理区間差は認められず、収量にも差がなかった。その理由として(1)堆肥の緩効的な肥効特性(2)堆肥施用による土壌物理性変化に伴った低く安定的な土壌水分含量(3)堆肥区の安定的なpHなどが考えられた。3.果実の品質については堆肥区のほうが糖度、ビタミンC含量が高く、品質の保存性が高い傾向がみられた。これらの原因は化学区に比べて、堆肥区の低窒素、低水分などに起因するものと推察された。
著者
池澤 和広 福元 伸一 遠城 道雄 吉田 理一郎 岩井 純夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.35-40, 2014
被引用文献数
4

湛水処理がサトイモ'大吉'の生育,収量および蒸散に及ぼす影響について,ポット栽培において検討した.湛水処理開始後約120日目の'大吉'の葉柄長は1.3~1.9倍に伸長し,地上部の生育が促進された.また,蒸散量も約2倍に増加した.収量は,畑地栽培用品種の'大吉'は親芋重が1.3~4.4倍,分球芋重が1.6~3.7倍と増収し,湛水栽培用品種の'田芋'同様,湛水栽培における適応性が高いことが示唆された.
著者
志和地 弘信 遠城 道雄 林 満
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.107-114, 2000-06-01
参考文献数
11
被引用文献数
7 3

ダイジョ(D.alata)およびナガイモ(D.opposita)のそれぞれの数系統とジネンジョ(D.japonica)について, 塊茎の肥大生長に対する種および系統の光周反応を比較検討した.夏至前後の6月1日と7月1日に, 植え付け後60日目の株に対して, 10時間日長の短日処理を20回行った.6月の処理では, 塊茎の肥大生長は全ての種および系統において促進された.一方, 7月の処理において, 塊茎の肥大生長は, ダイジョの早生および晩生系統において促進されたが, ダイジョの極早生系統, ツクネイモ群およびジネンジョにおいては促進されず, ナガイモ群およびイチョウイモ群では逆に抑制された.この結果から, 塊茎の肥大生長は第一義的には短日によって促進されるが, 短日に対する反応の程度は, 塊茎の生育段階によって異なり, 塊茎の生長の緩慢期における処理は肥大生長を旺盛期へと転換させて促進的に作用するが, 生長の転換期の処理では促進効果が無く, 転換期以降の処理は逆に抑制的に作用することが明らかになった.ダイジョの極早生系統の塊茎は14時間日長の条件下では温度条件を変えても, 肥大生長の転換は誘起されなかったが, 12時間日長の条件下では転換された.温度は肥大生長の転換には影響を及ぼさなかった.このことから, 短日はダイジョの塊茎の肥大生長を旺盛な生長へ転換させる主要因であることが確認された.しかし, ナガイモおよびジネンジョの塊茎は, 14時間日長の条件下では肥大生長の転換が認められなかったが, 緩慢な生長を続け, ダイジョの反応とは異なることが明らかになった.熱帯原産のダイジョにおいて, 感光性が弱く, 極早生の形質を有する系統は温帯での栽培が可能であると推察された.