著者
潘 小多 中村 浩之 劉 勇 郎 〓華
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-40, 2005-03-25
参考文献数
4

高速道路など大規模な建設工事するとき斜面の切盛土工の実施は不可欠である.このとき必要な要件は計画切盛土量をバランスさせることである.しかし,従来切り盛り土量の計画は手動で行なっているため,非常に効率が悪く,多くの時間と費用を要し,その改善が求められてきた.近年,大縮尺のデジタル標高モデル(DEM)の応用によって従来行なわれてきた切盛土量計算を自動的に解析することが可能になってきた.本論文ではARC/INFO GRID に基づき,調査地域のDEMと道路に関するパラメータ(切盛法面の勾配,路面標高,幅員)を利用して道路の切盛土量の計画を実施した.この解析により斜面の切盛土工を模擬し,切盛土量をすばやく,簡単に計算することができる.<br>
著者
三箇 智二 春山 純一 大竹 真紀子 大嶽 久志
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.135-145, 1998-09-25
被引用文献数
1

資源開発を行うにあたり対象地域の地理情報システム(GIS)が作成され, これらにリモートセンシング画像が加えられることが多い.対象地域の広域的な地質構造の把握には, 複数の画像からなる地域を解析することが必要である.複数の画像を接合した広域モザイク画像では幾何学(地理)的位置が一致することや統一された輝度補正画像であることが要求される.しかしながら発展途上国や惑星では画像上の位置を地形図で正確に求めることができない場合が多く、必然的に画像間で相対的な位置関係を精度良く求める必要がある.筆者らは広域のモザイク画像作成手法と輝度補正手法について開発を行ってきた.この技術の応用例として, クレメンタイン探査機によって撮影された月面画像の解析例を紹介する.この解析では月の画像特性の解析・画像処理を進める上での障害事項の抽出とその検討を行い, 新たな放射量補正手法と幾何歪みの蓄積しない広域画像接合手法を開発した.
著者
塩野 清治
出版者
日本情報地質学会
雑誌
情報地質 (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.213-223, 1999-12-25
被引用文献数
7

3次元の領域Ω内に存在する堆積物を適当な層序単元に区分することは,数学的にみればΩの直和分割を定めることに対応する.このとき,各層序単元の分布城はそれぞれ直和分割のひとつのブロックに対応する.OとAを2種類の層序区分に対応するΩの直和分割とする.OとAの間にOはAの細分であるという関係が存在するとき,Oが本来もっていた地層としての諸特性がAにおいても保存されるはずである.どのような特性が保存されなければならないのか,またそのためにはどのような条件が必要であるのか?この問題に答えるため,本論文では地層の最も基本的な特性である「地層累重の法則」を考察する.この法則を"ある地層xが別の地層yの下位にあることをひとつの露顕で観察したとき,xはyより形成時期が古いといえる"という推論規則として定式化し,この法則がOからAに保存されるための必要十分条件は"すべてのOのブロックx,yに対して,xがyより下位にあるならばf(x)はf(y)より形成時期が古いといえることである"ことを証明する.ここで,f(x)とf(y)はそれぞれxとyを含むAのブロックを表す.最終的にこの条件の下でOからA_1を,A_1からA_2を,_<…>,A_<m-1>からA_mを順次生成していったとき,すべての層序区分O,A_1,A_2,_<…>,A_mにおいて「地層累重の法則」が成り立つと結論した.以上の結果は地質学の数学的基礎を形式体系の形で確立するための重要な鍵を与える.