著者
細川 道久
出版者
鹿児島大学法文学部
雑誌
人文学科論集 (ISSN:03886905)
巻号頁・発行日
no.60, pp.185-210, 2004
著者
桜井 芳生 サクライ ヨシオ SAKURAI Yoshio
出版者
鹿児島大学
雑誌
人文学科論集 (ISSN:03886905)
巻号頁・発行日
no.48, pp.47-77, 1998-12

文化的希少性の理論の-各論として「美」にかんする理論を構想する。まず,カントの議論をヒントにして,美についての二つの問題を提起する。さらに美にかんする探求をするにあたって,「美人」の問題を糸口とする。美人(美人コンテスト)をめぐって,三つの問題が存在することを指摘する。まずは,この三問題に回答をあたえることを第一の目標とする。「携帯決断機」「流動性選好」などを参考にして,「選好の自己明証性不安」と「選択回避性向」などの仮説を提起する。これらの仮説にもとづいて,ミスコンの三つの問題への回答が提起される。後半において,この前半の議論をふまえて,美にかんする一般的な視点が提起される。おもにカント美学における二つの主張にたいする代替案として,われわれの見解が述べられる。最後に「美とはなにか」という問題に関して,必要性も十分性も満たさないが「いい塩梅のモデル」であるとわれわれが考える命題が提起される。すなわち,美とは,無関心性と,ある程度の普遍性(他者による承認の普遍性)があるかのように見せかけることによって,選好の自己明証性不安と選択回避性向を慰撫するようなコト・モノである,と。