著者
野間 達郎
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.5, no.8, pp.242-243, 1969-12-30
著者
木村 昭一 河辺 訓受 矢橋 真
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.24-26, 2007-08-31

オウギウロコガイは,ウロコガイ科の新種として波部(1958)により熊本県天草郡苓北町富岡を模式産地として記載された。同時に「殻表に太い放射肋を有し,腹縁が開かないこと」を根拠にGaleommela属が新設された。原記載時に模式産地以外の分布として和歌山県田辺湾があげられ,その採集者の内海富士夫博士に献名されている。和田・他(1996)では「現状不明」とされ生息に関する情報の非常に少ない種で,分布域は東京湾・能登半島以南,瀬戸内海,四国,九州(肥後・後藤,1993)とされているが,具体的な採集報告は和歌山県田辺湾・串本町(三島・三長,2002)以外ない。原記載(波部,1958)を含めて軟体部の形態や生態がほとんど明らかにされていない。静岡県浜名湖の舞阪湾に位置する錨瀬干潟には現在全国的に生息場所や生息数の減少している貴重な内湾性貝類が多く生息している(木村,2006;河辺,2004a,2004b,2005)。筆者らは,オウギウロコガイを2003年4月19日に錨瀬干潟で採集したので,ウロコガイ科の分類学的な特徴として重要な軟体部や貝殻の特徴を記述すると共に同所における生息状況を報告したい。
著者
金丸 但馬
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.93-94, 1970-09-30
著者
金丸 但馬
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-28, 1970-03-28
著者
上島 励
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.110-115, 2007-11-08

タカハシベッコウNipponochlamys takahashiiはKuroda & Habe (1969)によって記載されたNipponochlamys属の1種である。本種の記載にあたってKuroda & Habe (1969)は,福岡県の若杉山から得られた標本の生殖器,歯舌の形態学的特徴を記述,図示した。一般にNipponochlamys属は,殻表に細かい成長脈を多数巡らし,曇った外観を呈するのが特徴である。しかし,タカハシベッコウは本属としては例外的に殻表が「平滑で,光沢を有する」ことが特徴とされる。原記載において,Kuroda & Habe (1969)は「本種もし解剖学的知見を得なかったならば,我々は恐らくヒラベッコウ属の1員と考えたであろう」と述べている。Kuroda & Habe (1969)は解剖学的特徴を重視して本種をNipponochlamys属に入れたが,その貝殻の特徴がNipponochlamys属らしからぬことを原記載時に指摘したのである。本種の原記載から30年あまりが過ぎ,「波部忠重記載の貝類」が出版された。これは波部忠重民が記載した貝類全種の原記載を再録した出版物であり,この中にタカハシベッコウの原記載も再掲載された。驚くべきことに,この「波部忠重記載の貝類」の1105ページ(タカハシベッコウの項)には,「波部追記」として「生殖器に関する記述および解剖図は,記載に用いた殻とは別種のものであった可能性があり,模式産地の標本により再検討を要する」とのコメントが追加された(波部,2001)。もし,この追記が事実であるならば,タカハシベッコウは2種(別種)の特徴を組み合わせて記載されたことになるため,原記載通りの生殖器と貝殻の特徴を併せ持つ種は実在しないことになる。また,本種をNipponochlamys属に含めた最大の根拠であった「軟体部の特徴」が別種のものであったならば,その分類学的位置も疑わしくなる。これは,そもそもタカハシベッコウなる種が本当に実存するのかどうかが疑われるという重大な問題である。本文では,この追記をめぐる背景について記述し,タカハシベッコウの「実体」について考察する。
著者
片桐 展子 片桐 康雄
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.37-42, 2007-08-31
被引用文献数
1

イソアワモチOnchidium verruculatumは暖流が洗う外洋に面した潮間帯の岩礁に棲み,千葉県の房総半島が北限とされる(黒田・波部,1971)。体全体が保護色ともいえる岩と同じ色調で,小判型である(図1)。イソアワモチの頭部には1対の触角があり,触角の先端にカタツムリのような柄眼がある。イソアワモチは頭部の柄眼の他に背中にも眼があることで知られる。体の背側の外套は大小の粟状の突起で覆われるが,一部の突起は背眼を備え担眼突起と呼ばれる。担眼突起は外套の中央部付近にあり,1個体に15個前後,1つの担眼突起に3〜4個の背眼が光軸を異にしてそれぞれ別の方を向いている。イソアワモチは柄眼と背眼の2種類の眼を持っているのである。柄眼も背眼も直径0.2mm位で黒い点として肉眼で識別できる。(Stantschinsky,1908;黒田・波部,1971;Okuno et al., 1976;片桐,1999)。イソアワモチは不思議な動物で,全身で光をキャッチしている。行く方向へ延ばした触角の先端に柄眼がある。外套背面では伸び縮みする担眼突起の上で背眼が周囲を見張っている。そして,柄眼と背眼の他にも,眼外光受容である皮膚光覚細胞が体表全体に夥しく散在する。その上,中枢神経系に光感受性神経節細胞が存在する(後藤・西,2003)。イソアワモチは光情報を得るために多種類で多数の光受容装置を搭載している。このような動物は他に例がなく,イソアワモチは光受容の研究に貴重な動物である(平坂,1912;Eatagiri et al., 1985,1990;片桐,1999)。私たちは1975年頃からイソアワモチに見られる多種類の光受容装置について研究してきた。研究材料であるイソアワモチは主に房総半島で採集し,実験室に持ち帰って飼育していたが,その過程で「イソアワモチと一般に呼ばれているものには2種混じっている」ことに気付いた。2種を区別するために,一般にイソアワモチと呼ばれているものをイソアワモチOnchidium verruculatumとし,もう一つをミニアワモチ(仮称)Onchidium sp.と呼んでいる(これは便宜的な仮称であり,正式な標準和名として提唱するものではない)。ミニアワモチはイソアワモチに非常に似た動物である。イソアワモチとミニアワモチは図1と2のように2種並べて見れば違いが分かる。しかし,どちらか一方だけを見たのでは,外観による区別は難しいようである。一般には,ミニアワモチはイソアワモチと同一視され区別されていないため,ある動物図鑑にはミニアワモチの写真がイソアワモチとして掲載されているし(濱谷,1986),ある臨海実験所にイソアワモチの採集を依頼したところミニアワモチが届いた。私達は研究を始めた当初から,同じ採集地で見かけるミニアワモチをイソアワモチと区別し,イソアワモチを選んで採集し実験してきた。ミニアワモチは以下に述べるいくつかの特徴と発生の孵化時の状態に違いがあるので,イソアワモチとは別種であると考えている(藤本,1984;片桐・他,1983;片桐,1999)。
著者
湊 宏 大久保 皖司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-4, 1991-07-31