著者
辻 重継 中西 宏佳 津山 翔 片柳 和義 湊 宏 八尾 隆史 八尾 建史 土山 寿志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1121-1130, 2019-07-25

要旨●目的:表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)に関しては,内視鏡診断のみならず,病理組織学的診断についても明確な診断基準がない.今回は,低異型度高分化型上皮性腫瘍の細胞形質発現に基づく新たな病理組織学的診断アルゴリズムをgold standardとしてNBI併用拡大内視鏡(M-NBI)の診断能について検討した.方法:2008年10月〜2017年11月までに,生検未施行でM-NBIが実施され,内視鏡的切除が施行された34病変を対象とし,VSCSを用いたM-NBI診断能を後方視的に検討した.病理診断は低異型度高分化型上皮性腫瘍の細胞形質発現に基づく診断アルゴリズムに基づき,revised Vienna classificationでCategory 3(C3),Category 4(C4)に分類した.成績:C3 12病変vs C4 22病変であり,C4に対するM-NBIの診断能は,感度95.5%,特異度58.3%,正診率82.4%であった.しかし,M-NBIにてC3を癌と診断した限界病変が存在し,特に有茎性のC3 2病変においてはいずれもM-NBIにて癌と誤診した.有茎性病変を除いたM-NBIの診断能は,感度95.5%,特異度70.0%,正診率87.5%であった.結論:VSCSを用いたM-NBIは,SNADETの質的診断におけるoptical biopsyとして有用である可能性がある.しかし,内視鏡診断と病理組織学的診断の乖離例が存在し,今後より多数の症例を集積したうえでのさらなる検討が必要である.
著者
湊 宏
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1-2, pp.75-78, 2015-01-15 (Released:2016-05-31)
参考文献数
8

これまで鳥取県において,ゴマガイ科貝類は4種類しか報告されていなかったが,鳥取県西部からオオゴマガイと同所的に生息する未記載種を確認したので,ここに新種記載した。Diplommatina (Sinica) nakashimai n. sp. ダイオウゴマガイ(新種・新称)貝殻はこの亜属の中では大形(7個体の平均殻長4.65 mm ),右巻き,殻表は淡黄白色からオレンジ色,丸みをおびたさなぎ形を呈し,殻頂に向けて塔状に細くなる。螺層は7.5層,各層はよく膨れ,その縫合は深い。次体層は最も殻径が太いが,体層はかすかに狭くなる。胎殻は2層で平滑,他の螺層には繊細な板状の縦肋が規則的に配列しているが,最終の2層はほとんど平滑,かつ光沢がある。殻口は円形,殻軸側に歯状突起が出ている。殻口縁は全縁で白色,反曲し,第2口縁が殻口背面にあって,その間隔は広い。緊線は殻口縁の上部癒着部の中央に位置している。臍孔は閉じる。腔襞は完全に欠く。タイプ標本:ホロタイプ, NSMT-Mo 78788, 殻長4.5 mm,殻径 2.2 mm。タイプ産地:鳥取県日野郡日野町船地。分布:鳥取県:三朝町(2ヶ所),琴浦町(2ヶ所),倉吉市(3ヶ所),南部町(1ヶ所),江府町(5ヶ所),日野町(3ヶ所),島根県:松江市(5ヶ所),出雲市(1ヶ所),雲南市(1ヶ所),飯南町(1ヶ所),岡山県:真庭市(3ヶ所)。比較:本種は日本産ゴマガイ科貝類の中では,貝殻の殻長が最も大きい種の一つである。そして,腔襞を欠くことで日本産本科の中では比較されうる種類がない。本種のタイプ産地において,同所的に出現するオオゴマガイD. (S.) collarifera hirasei Pilsbry, 1909 は,本新種よりも小形であること(殻長3.84 mm,n = 5),短い腔襞が存在することによって本種から識別される。さらに,兵庫県から記載され,中国地方で広く知られているオオウエゴマガイD. (S.) c. tenuiplica Pilsbry, 1900 は,殻口縁が単純で二重唇でないこと,小形であること(殻長3.75 mm,n = 7),短い腔襞があることで本新種とは容易に識別できる。
著者
湊 宏
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-15, 1986-06-30
著者
湊 宏
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.7-11, 1995-10-31
著者
湊 宏
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.44-48, 1995-12-31
被引用文献数
3

14 species of 9 families was systematically and biogeographically discussed and illustrated from Kourijima, attached to Okinawa Island. Sitalina japonica Habe is the first record from Okinawa Prefecture.
著者
湊 宏 松村 勲
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.15-20, 2007-08-31
参考文献数
28

本誌の6巻3号には,江戸時代の貝類コレクションである"木村蒹葭堂(きむらけんかどう)の標本の発見"についての報告が簡単になされている(小出,1970)。この木村蒹葭堂貝石標本は数奇な経路をたどった後,大阪市立自然史博物館の所蔵となって現在も大切に保管されている(大阪市立自然史博物館,1982;湊,1983)。その標本のうち貝類については梶山(1982),金子・梶山(1982)によって報告された。それによると腹足類(巻貝)73科249種,掘足類1科1種,二枚貝類38科141種,頭足類:1科2種,多板類1科1種,総計394種の海産,陸産,淡水産貝類が含まれている。この全容は,同館のホームページで容易に見ることができる(http://www.mus-nh.city.osaka.jp/collection/kenkado/)。標本の大半は日本近海産であるが,そのうち南方に分布する種,あるいはヨーロッパに分布する種(例えば,北海や地中海地方に分布し,日本に産しないモミジソデAporrhais pespelecani)があってその構成には興味がつきない。陸産貝類では関西地方に広く分布するヤマタニシ,ヤマグルマ,ツムガタギセル,ニッポンマイマイ,オオケマイマイ,ナミマイマイがみられるが,特に注目されるものは小笠原諸島産のカタマイマイ類(Mandarina)である。これらの貝類について,梶山(1982)は"標本の特異性"としてモミジソデの入手経路について考察したが,カタマイマイ類については詳述しなかった。前述のホームページでこのカタマイマイと同定されている写真をみた筆者の一人,湊は,これは小笠原諸島父島に分布する真のカタマイマイMandarina mandarina (Sowerby,1839)のタイプ標本(Gray&Sowerby,1839;黒住,1995;千葉,2004c,2005)とは趣を異にしていることに気づいた。そこで,我々は2006年10月14日に大阪市立自然史博物館でこれらの標本を調査させていただいた。本稿はその調査結果の報告である。
著者
呉 哲彦 小田 誠 渡邊 剛 村上 眞也 野々村 昭孝 湊 宏
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.31-35, 2004-02-20
被引用文献数
1

背景.喀痰細胞診での肺門部肺癌の発見例はほとんどは扁平上皮癌であり腺癌はまれである.我々の経験した粘膜内を表層伸展する肺門部肺腺癌の1例を報告する.症例.58歳の男性.咳漱を主訴に近医を受診し喀痰細胞診でClass Vと判定された.気管支鏡にて右上葉支B^1,B^2,B^3分岐部に黄白色の粘膜褪色部位が見られ,同部位よりの生検で肺腺癌の診断を得た.胸部CTでは右上葉支から右主気管支にかけて気管支壁の肥厚が見られた.術前診断T1N0M0の肺門部早期肺腺癌の診断にて右肺管状上葉切除およびND2bのリンパ節郭清を施行した.術中病理診断にて右主気管支中枢側断端に癌の浸潤を認めたため,気管分岐部直下まで追加切除し中間気管支幹と端々吻合を行った.病理組織学上,末梢側はB^1,B^2,B^3の亜亜区域支まで,中枢側は気管分岐部直前および中下葉支人口部2軟骨輪前までの範囲にわたり,粘膜に沿った伸展が高度な肺門部肺臓癌と診断された.術後病期はT3N0M0,IIB期であった.吻合部への放射線治療を追加し術後6年で再発の兆候は認めていない.結論.粘膜内を表層伸展する極めてまれな肺門部腺癌の1例について報告した.
著者
湊 宏 大久保 皖司
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-4, 1991-07-31
著者
湊 宏
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.109-111, 1975-09-30

Land snails of the Genus Parmarion belonging to the family Helicarionidae include two species (HOFFMANN, 1940). The specimen of Parmarion martensi SIMROTH, 1893, reported in this paper was collected by Mr. K. UOZUMI on January 2th, 1975 from Ishigaki Island, the southern Ryukyus, Japan. The reported distribution of Parmarion has been limited to the Southeast Asia (Hainan Is., Cambodia, Sumatra, Java, Lumbok and Borneo) and the northernmost record was from Hainan Island, China. This specimen here reported represents the first record of the species from Japan, or some 1400 km northeastern range extension.
著者
湊 宏仁 多田 充 宮地 充子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.421, pp.67-74, 2000-11-06
参考文献数
2

サークルの新メンバー募集等で希望者が名前を記入出来る(署名する)ポスターを目にすることがあるが、このような署名に対して多重署名方式が有効であることはよく知られている。しかし、署名者が名前以外の情報も付加した場合では、効率的な署名方式は提案されていない。そこで、我々は、そのような付加情報を「署名者の意思」と呼び、この概念を包含できる、既存の多重署名方式を利用する原始的な方法と新たな署名方式を提案する。そして、我々の署名方式が効率的で、署名者の意思を考慮する署名方式に固有の偽造に対して安全であることを示す。尚、本提案は離散対数問題に基づく多くの多重署名方式に適応可能である。