著者
伊勢 眞樹 秋山 仁美 鳴海 浩 中崎 喜英 公文 範行 白方 淳
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.101-113, 2010-02-15

はじめに リハビリテーション(以下,リハ)医療では,「患者は治療後に生活者として,再び地域に帰り生活機能(住み慣れた場所で,健康に家庭・社会生活が自立している)を継続してゆく」という視点1,2)が重要であり,脳卒中のリハゴールは「生活機能を継続してゆく」ことに尽きる.そのためには,脳卒中の治療として,入院後可能な限り早く自動運動を促し,治療効果を向上させ,不用意な安静を排除して合併症の発症を徹底的に予防することが必要である.脳卒中治療ガイドラインで強く勧められている「急性期からの積極的なリハを行う」3)とはこのことである. 本稿は,岡山県西部医療圏の急性期先進医療基幹病院における急性期のリハ科・リハセンターの機能を前提としたゴール設定の考え方であることをご理解いただきたい.ゴール設定に必要な脳卒中の活動制限の診かた,脳卒中の予後予測,高齢者の機能障害とその対応,リハ治療を解説して,最後にゴール設定について述べる.
著者
権田 絵里
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.99-105, 2007-02-15

はじめに 普段,われわれが人類の進化の道のりを考えるとき,高い知能やコトバの獲得,そしてそれらを土台とした文化の形成や文明の発展など,万物の霊長としての栄光の歴史に焦点が当てられるのが常であり,栄光と引き換えに負った代償を顧みることは少ない. 例えば,「腰痛」もその1つである.あまりにも身近であるため,われわれはそれらがヒトであるがゆえの宿命的な苦難であることを意識していないが,われわれの祖先が直立二足歩行を始めたときから延々と受け継がれてきた負の遺産1)である.人類が知性や技術,コトバといった進化の恩恵にあずかるのは,実はそれよりもずっと後のことである. 本稿では,ヒトという動物の特殊性や進化の道のりという視点から,人類と直立二足歩行への不適応現象,特に腰痛との関わり合いについて探ることを目的とする.
著者
浅井 仁 奈良 勲 立野 勝彦 山下 美津子
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.137-141, 1989-02-15

Ⅰ.初めに これまで,ヒトの立位姿勢保持能力の評価については,姿勢の評価,足圧中心動揺の測定による平衡機能の評価など諸家により数多くの報告がなされている.しかし,それらのほとんどは平衡機能において重要な前庭系,視覚系,体性感覚系を含めた中枢神経系の作用を中心に論じられたものである.また,ヒトが立位姿勢を保持する際に直接大地と接触するのは足部であるが,足底あるいは足指の機能と立位姿勢の関係については,藤原ら1~3)の報告があるのみで,リハビリテーション医学の分野においても,現状では,月村4,5)の報告以外はほとんど皆無である. 最近では足部の変形,特に女性における履物による外反母指などの足指の変形に対する関心6)も高まっており,足指が立位姿勢保持においてどのような働きをするかを,検索する必要性を感じた. そこでわれわれは,まず立位姿勢保持における足指の作用について,母指と他の足指との機能的役割の違いに着目した.その検索方法として,健常人を対象にし足指を免荷した場合の足圧中心動揺の測定を,今回は外乱刺激を与えずに月村4)によるクロステスト(後述)を応用して行ない,その結果若干の知見を得たので報告する.
著者
川島 敏生
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.283-288, 2001-04-15

目的 下肢スポーツ傷害の理学療法評価において,下肢のアライメントや筋力の測定は重要である.アライメントは静的アライメントと動的アライメントに分けられるが,スポーツ傷害の発生を考えた場合,荷重下での動的アライメントの異常が問題となる1).一方,下肢の運動様式はSteindler2)によりOpen Kinetic Chain(以下OKC)とClosed Kinetic Chain(以下CKC)に分類された.現在はOKCは非荷重での単関節の運動様式,CKCは荷重位での多関節の運動様式とされている3)が,スポーツ場面を考えた場合,CKCの筋力がOKCより重要となる4). しかし,臨床場面で静的アライメントの測定やOKCの筋力測定は行えるが,動的アライメントの定量化やCKCの筋力測定は難しい.そこで今回,動的アライメントの定量化を試み,静的アライメントと動的アライメントの間に相関関係が認められるか否かを検討した. また,CKCとOKCの筋力測定を行い,両者の間に相関関係が認められるか否かを検討した.これにより相関関係が認められれば,日常臨床で行われている静的アライメントやOKCの筋力測定から動的アライメントやCKC筋力を推測することが可能ではないかと考えた.更に,その発生において個体要因が指摘されている膝前十字靱帯(以下ACL)を損傷5-8)した者に対して同じ評価を行い,健常者と比較することでACL損傷発生における個体側の機能的・器質的要因を検討した.
著者
石田 卓司
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.p252-257, 1994-04