著者
八木 光晴 及川 信
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.20-27, 2014-03-14 (Released:2014-03-28)
参考文献数
81
被引用文献数
1

個体レベルで生物の体の大きさとエネルギー代謝速度の関係(代謝スケーリング)を探る比較生理研究の歴史は古く,生理,薬理,農,水産そして生態学など様々な学問分野で基礎をなしてきた。近年,個体レベルの代謝則(クレイバー則)を個体群,群集,そして生態系レベルまで当てはめて横断的に展開する代謝生態論が注目されつつある。本稿では,代謝生態論の基礎である個体レベルの代謝スケーリングについてその理論的枠組みと,実証研究から明らかとなった生態学的意義を述べる。最後に,個体から生態系へとスケールアップする新しい代謝スケーリング研究の動向と展望について紹介する。
著者
海谷 啓之 竹井 祥郎
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-27, 1997-03-15 (Released:2011-08-04)
参考文献数
46
被引用文献数
1
著者
佐藤 幸治
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.50-57, 2012-04-30 (Released:2012-05-25)
参考文献数
49

外界の化学物質は,五感のうち,嗅覚と味覚によって受容,識別される。この2つは合わせて化学感覚と呼ばれ,動物が最初に獲得した外界を認識する感覚系である。化学感覚が認識する化学物質は数十万ともいわれ,その多様性に対応するため,化学感覚受容体は遺伝子中で最も大きなファミリーを構成している。線虫から高等脊椎動物に至るまで,化学感覚受容体のほとんどはGタンパク質共役型受容体ファミリーに属しており,受容した化学物質の情報はGタンパク質シグナル伝達経路を経て,その下流のイオンチャネルが活性化されることで電気信号へと変換される。しかし昆虫の嗅覚受容体や味覚受容体はGタンパク質共役型受容体と共通の7回膜貫通構造を持ちながら,匂いや味物質で直接活性化されるイオンチャネルを構成することが明らかとなった。また神経伝達物質のイオノトロピック型受容体が,昆虫では化学感覚受容体へと進化していることも明らかになった。一方で,昆虫の化学感覚におけるGタンパク質シグナル伝達経路に関する知見は,断片的である。本稿ではこの昆虫にユニークな,化学感覚受容体として機能しているリガンド活性型イオンチャネルについて述べる。
著者
吉岡 伸也
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR COMPARATIVE PHYSIOLOGY AND BIOCHEMISTRY
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.86-95, 2008-08-20
被引用文献数
2

青いモルフォチョウを代表例とする構造色, その輝きは古くから科学者達の注目を集めてきた。光学顕微鏡で詳しい観察がされた時代の後, 20世紀中頃に電子顕微鏡が開発されると構造色研究は大きく進展した。輝きの背後にある緻密な微細構造が次々と明らかにされたのである。その構造には波長サイズの周期性が見られたため, 光の波としての性質である"干渉"が, 波長選択的な反射に寄与していることが確かになった。しかし, 自然界の構造色は, 微細構造だけで語ることはできない。もっと大きなサイズの形状や色素の併用など, 総合的な発色の工夫を生物は持っているのである。蝶や蛾の鮮やかな翅の発色の仕組みを紹介しながら, 構造色研究の現状と今後の方向性について考えてみたい。
著者
下澤 楯夫
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.32-36, 2006-01-30 (Released:2007-10-05)
参考文献数
3

Part 4. Rate of information transmission through a noisy channel and other related concepts are formulated as an extension of Shannonian information theory introduced in Part 3. Ergodicity of stochastic process and Gaussian probability distribution are also explained. Auto- and Cross-correlation functions and convolution integral are introduced with their Fourier transforms for elimination of effect of noise in system identification.