著者
吉川 慈人
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.200-204, 2010

可視化の目的の一つに研究成果を他者に理解させるということがあるが,近年はその重要性が増している.3次元の複雑な現象を理解するためには立体視が効果的である.立体視用プロジェクタや立体視用ディスプレイが安価になり,立体視の環境が整ってきた.立体視による仮想空間の中に入り込める没入型VR (Virtual Reality:仮想現実) システムの利用も効果が高い.また,デジタルカメラ付きの小型情報端末の普及により,AR (Augmented Reality:拡張現実) も注目されてきている.AR技術を使って,実写の映像に可視化結果をリアルタイムに合成できる.本稿では,最新のIT機器や映像機器を用いたビジュアリゼーション技術について,ハードウェアとソフトウェア環境の両方から解説する.
著者
細萱 敦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.513-522, 2019

<p>現代日本のビジュアルエンターテイメントの中心に位置しているマンガ.国際的にも大きな影響力を及ぼしているが,ここに至るまでに,わが国には絵と文字の組み合わせによる"物語コンテンツ"追究の長い歴史があった.平安時代に宮中で作られた絵巻物に始まり,江戸時代の木版印刷の発達によって浮世絵とともに大衆文化として花開く絵草紙 (本).葛飾北斎による"漫画"の語の使用の開始を経て,明治時代の文明開化以降,昭和戦前にかけと定着していったマンガ文化について変遷を概観する.内的外的にどんな要素が,マンガをマンガたらしめていったのか?</p>
著者
堤 武弘
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.451-456, 2006 (Released:2006-10-13)
参考文献数
7
被引用文献数
4

従来の染料系インクが達成できなかった,堅牢性や早い色安定性などの点で顔料系のインクジェットインクが近年注目されている.インクジェット色材用として顔料分散体を用いる場合,安定性を初めとして種々の特性を満たす必要があるが,各種顔料分散体を比較した結果,マイクロカプセル顔料が最も有効と考えられた.マイクロカプセル顔料をインクジェット色材として用いた場合の性能と特徴について紹介する.
著者
内村 元一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.419-422, 2020

<p>昨今,海洋プラスチックごみや地球温暖化問題への関心が高まる中,パッケージにおいても 「サステナビリティ (持続可能性) 」 や 「環境配慮 (再生可能資源の活用) 」 といった観点から様々な対策ならびに技術開発が進められている.</p><p>当社では長年培ってきた製紙技術を基に,再生可能な循環型素材である 「紙」 に様々な機能を付与する取組みを展開しているが,この度 「紙」 に酸素や水蒸気,フレーバーなどのバリア性を付与した環境に優しいパッケージ用素材 「シールドプラス<sup>®</sup>」 を開発.更に,紙ストロー 「シルフィールTM」,シャンプー用差し替え容器 「スポップス<sup>®</sup>」 など,あらゆる分野·用途でのプラスチック代替製品を開発し,循環型社会形成の一助となる製品提案を行っている.</p>
著者
宮原 誠
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.159-165, 2008-06-10 (Released:2008-06-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1

狭義の“画像工学”に固執する時代は過ぎ去ろうとしている.技術とか文系の枠を超えて,より基本的な,“深い感性”から新しい分野に注目している.それは,人のこころと本能に注目して,感性,コンテンツ,自分が身を置く環境への洞察である.過去の工学を考え直し,こだわりの製品を目指して,研究開発すべきである.これは,世界に誇る日本人の情緒を基にした新しい文化の創造である.これが新のイメージテクノロジーである.
著者
土井 秀倫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.549-555, 2016-10-10 (Released:2016-10-13)
参考文献数
1

出版社が直営の印刷工場を持ったことと,デバイスがデジタル印刷だったことからオープン当初は多くのメディアの取材を受け,業界内で大きな話題となった.出版不況下における画期的な試みであると評価する論者がいる一方,「出版社が内製に舵を切った」「出版は脱オフセットが進む」などと受け手によって様々な解釈がなされたこともある.しかし3年間の活動を経た今,工場開設の本当の目的は何だったのか?当初掲げた目標は達成できたのか?稼働率はどうなっているのか?多くの疑問に対して工場運営に携わる講談社業務企画部土井秀倫がレポートする.
著者
竹内 学
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.70-78, 2006 (Released:2006-08-11)
参考文献数
6
被引用文献数
2
著者
石井 隆一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.407-410, 2007

2006年10月ソニーは,マサチューセッツ工科大学が開発した「E INK」方式電子ペーパーを搭載した携帯読書端末「Reader」を米国に投入したが,販売も好調に推移している.90年代以降,ソニー以外にも米国において電子書籍の導入を試みた会社はあったが,いずれも需要は大きくは伸びず,市場はほぼ無いに等しい状態が続いていた.かかる状況下,ようやくReader投入により市場の可能性が見えてきたと言える.ここでは,市場の動向,消費者の潜在ニーズ,出版社のニーズ,他社の動向を述べた上,成功理由を考察し,将来,更なる市場拡大のための電子書籍端末を展望する.
著者
稲葉 隆
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.174-182, 2008-06-10 (Released:2008-06-13)
参考文献数
5
被引用文献数
1

画像や商品等を見た時に感じる印象を客観的にとらえるための分析方法について紹介する.先ずWebサイト・デザインを例にとり,コンテンツ内容ではなく情緒的な印象(イメージ)によってパターン分類をおこなう.次に色彩心理をベースにして開発された「カラー・イメージ・スケール」を用いたイメージ分析について述べる.このイメージスケールはカラーとイメージ語の互換性をシステム化したものであり,カラー以外のデザイン形状や素材などの分析にも応用できる,言わば感性評価マップである.最後にデザインが人の感性にどのように訴求するか,また,五感と色感との関連性について話しを進める.
著者
髙田 英明
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.366-373, 2017-08-10 (Released:2017-08-13)
参考文献数
34

臨場感の高いコンテンツ視聴環境として,高精細プロジェクタと高度なサラウンドを用いた4Kデジタルシネマ,更にはメガネ式3D映像を用いた3Dデジタルシネマが広く一般化し,ビジネス的にも定着してきた.それに伴い,近年,これまで以上に臨場感の高いコンテンツや体験を提供する取り組みが始まりつつある.我々はこれまでに,あたかもその場にいるかのような超高臨場感をリアルタイムに世界へ配信するイマーシブテレプレゼンス技術“Kirari!”のコンセプトを打ち出し,臨場感の高い映像音響提示系技術と共にリアルタイムに世界にメディア配信する取り組みを始めている.ここでは,Kirari!の概要と合わせて代表的な要素技術について述べると共に,精細度や精度など物理的スペックを中心とした従来の臨場感の比較·評価指標の枠を超えた,人の感覚や感性にも踏み込んだ臨場感評価の取り組みについても述べる.
著者
脇本 健夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.162-169, 2005

有機ELは電子写真で開発された材料を応用して発展してきた.その有機ELの開発の歴史,有機EL素子構造,有機ELに使用される材料,有機ELパネル,応用製品について解説した.
著者
内村 元一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.419-422, 2020-08-10 (Released:2020-08-10)
参考文献数
8

昨今,海洋プラスチックごみや地球温暖化問題への関心が高まる中,パッケージにおいても 「サステナビリティ (持続可能性) 」 や 「環境配慮 (再生可能資源の活用) 」 といった観点から様々な対策ならびに技術開発が進められている.当社では長年培ってきた製紙技術を基に,再生可能な循環型素材である 「紙」 に様々な機能を付与する取組みを展開しているが,この度 「紙」 に酸素や水蒸気,フレーバーなどのバリア性を付与した環境に優しいパッケージ用素材 「シールドプラス®」 を開発.更に,紙ストロー 「シルフィールTM」,シャンプー用差し替え容器 「スポップス®」 など,あらゆる分野·用途でのプラスチック代替製品を開発し,循環型社会形成の一助となる製品提案を行っている.
著者
川上 勝 古川 英光
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.434-440, 2019-08-10 (Released:2019-08-10)
参考文献数
8

3Dプリンタは製造業において試作の手段だけでなく,立体造形を活かした独自の製法として発展しようとしている.食品3Dプリンタも,食品の開発という点で大きな可能性を秘めているが,現時点では食材の吐出技術の制限があるため,まだ発展初期の分野である.食品3Dプリンタの主な利点は,食品のカスタマイズ性,オンデマンド生産性と,複雑な形状を内部,外部に造形できる点である.我々は介護食の開発に食品3Dプリンタを応用している.柔らかい介護食は3Dプリントの食材として適しており,さらに複数のノズルを用いて,食品の内部に味や硬さなどの変化をつける技術を開発している.従来の食品の再現だけでなく,斬新な食品の開発に食品3Dプリンタが応用されることを期待する.
著者
浅川 浩
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.578-584, 2016

<p>近年,産業用のデジタル出力機器の発展に伴い,出力物を用いた製品のひとつとしてフォトブックが伸びてきている.日本国内の売上数量でも2007年と比較して2015年では約5~6倍程度に伸びており<sup>1)</sup>,成長が期待される分野であり,出力機器も生産性・画質の向上が成されてきている.特に画質において銀塩写真に遜色ないインクジェットシステムがフォトアルバム向けとして有力な出力機器のひとつとなっており,また,フォトアルバム商材としての品質に密接な関係があるインクジェット用の印刷用紙も様々な進歩を遂げてきている.用紙としては,特に出力機器の生産性に対する技術として,インク受容層の細孔制御・多層化技術,ユーザーの多様な要求に応えるべく,用紙表面の形状,光沢,用紙の厚みや重さの制御技術が進歩を遂げてきた.本稿ではそれらの用紙に対する技術を具体的に述べる.</p>
著者
矢野 光太郎 河合 智明
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.341-347, 2016-06-10 (Released:2016-06-13)
参考文献数
42

近年の安全·安心に対する意識の高まりに伴い,監視カメラの設置台数は増え続け,監視システム利用の重要性が増している.しかし,映像の確認は主に人手で行われており,膨大な作業が必要とされていた.そのため映像認識技術を活用して監視カメラ映像を自動的に解析する研究が盛んになり,実用化されるようになってきた.これに伴い,監視カメラの映像を防犯目的だけでなく,市場調査や顧客行動パターンの解析に利用しようとする動きも出てきた.本稿では,監視カメラ映像を利用するユースケースについて概観し,人物の認識を中心にそれを実現するための映像認識技術,および,その動向について述べる.また,関連する筆者らの取り組みについても紹介する.
著者
酒井 真理
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.167-173, 2002 (Released:2006-07-01)
参考文献数
14
被引用文献数
6
著者
川端 康弘 川端 美穂 笠井 有利子
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.522-528, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
32
被引用文献数
2

シーンの再認,シーンのgist (本質的情報),物体やシーンの変化発見や変化見落としといった高次視覚で扱われる現象の認知モデルにおいては,伝統的に無彩色の輝度情報の役割が強調され,色情報の貢献はあまり考慮されてこなかった.しかし最近,行動学的研究,ニューロイメージング研究,心理学的研究といった認知科学の諸分野で,対象物の表面色やシーン全体の配色が,認知に影響を及ぼすことが示されている.この論文では,どのような条件下で色が高次視覚の働きに影響するかを扱った研究を紹介して,この働きを媒介するであろう神経基盤についても言及する.また色の知覚や再認において見られる個人差は,高次視覚の可塑性の高さに起因するのかもしれない.色と認知の関係性は,高次視覚のモデルの中でもう少し焦点をあてて扱うべきだろう.
著者
細萱 敦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.513-522, 2019-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
7

現代日本のビジュアルエンターテイメントの中心に位置しているマンガ.国際的にも大きな影響力を及ぼしているが,ここに至るまでに,わが国には絵と文字の組み合わせによる“物語コンテンツ”追究の長い歴史があった.平安時代に宮中で作られた絵巻物に始まり,江戸時代の木版印刷の発達によって浮世絵とともに大衆文化として花開く絵草紙 (本).葛飾北斎による“漫画”の語の使用の開始を経て,明治時代の文明開化以降,昭和戦前にかけと定着していったマンガ文化について変遷を概観する.内的外的にどんな要素が,マンガをマンガたらしめていったのか?
著者
脇本 健夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.162-169, 2005 (Released:2006-07-01)
参考文献数
29

有機ELは電子写真で開発された材料を応用して発展してきた.その有機ELの開発の歴史,有機EL素子構造,有機ELに使用される材料,有機ELパネル,応用製品について解説した.