著者
影山 隆之 錦戸 典子 小林 敏生 大賀 淳子 河島 美枝子
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
大分看護科学研究 (ISSN:13456644)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-10, 2003-04
被引用文献数
5

病院看護職の職業性ストレスの特徴および精神健康との関連を職業性ストレスモデルに拠って検討するために、一公立病院の看護職101 名に対して横断的な質問紙調査を行い、女性98 名(97%)の回答について分析した。一般男性勤労者に比べ、対象者が経験しているjob demand は特に高いものでなく、しかもcontrol とreward の水準は高かった。これは病院看護職についての先行研究と比較しても、比較的恵まれた状況に見える。それにもかかわらず、その精神健康度は、病院看護職についての先行報告と同様の低い水準にあり、このことは職業性ストレス簡易質問紙で調べた一般的な職場環境要因から説明できなかった。精神健康度と関連する要因は、職場の対人関係の困難、達成感、仕事以外の悩み・心配事、抑圧的なストレス対処特性、および年齢であり、達成感は対人関係の困難に対して緩衝作用をもつことも示唆された。これらの関連要因の中には、一般勤労者と共通するものと、本集団に特有のものが見られた。女性交替勤務職という職種の特徴がこれらの関連要因に影響している可能性や、対象者のストレス対処特性に一定の偏りがあるかどうかなどは、今後の検討課題と考えられた。本研究の結果に基づきこの病院で試み始めているストレスマネジメント対策について紹介した。
著者
佐藤 和子 天野 敦子
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
大分看護科学研究 (ISSN:13456644)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-7, 2000-12
被引用文献数
9 5

三交代制勤務に従事する看護職者の勤務条件と慢性的・蓄積的疲労の関連を検討するために、6 つの病院1,574 名の看護職者を対象に無記名式質問紙調査を行った。その結果、看護婦の蓄積的疲労は、職位、年齢、経験年数、家族の有無との関連が強いこと、とくに家族の存在は、労働の意欲を高める要因になっていることが明らかになった。勤務条件としては、勤務時間や超過勤務、週休の形態、週休や有給の取得状況、勤務場所との関連が深いことが確認された。中でも、超過勤務時間や週休の形態は看護職者の蓄積的疲労に深く関与しており、1日の勤務時間が長く連続した休日が規則的にとれない場合には、身体的な疲労だけでなく精神的・社会的疲労も強くなることが確認された。今回の調査対象の病院では、夜勤回数は人事院勧告通りに運用されており、夜勤回数の違いによる蓄積的疲労の差は認められなかった。調査結果から、超過勤務をなくす人員配置や、規則的で連続した休養がとれるような完全週休2日制の実施などに向けての改善の必要性が示唆された。
著者
影山 隆之 大賀 淳子 河島 美枝子 舞 治代 佐田 美貴恵 渡辺 英宣 東保 みづ枝
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
大分看護科学研究 (ISSN:13456644)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.33-39, 2002-06

在宅精神障害者の日常生活における困りごとについて調べるために、大分郡に在住する精神障害者とその同居家族45組に対して自記式質問紙調査を行った。精神障害者自身が認識している困りごとと、その家族が評価した援助の必要性を比較した結果、二つの観点の大きな乖離が詳細に示された。乖離の様相には男女差も認められた。この乖離は、保健師が在宅精神障害者のためのホームヘルプ事業などに係るケースマネジメントを行う際に、参考になる。