著者
飯塚 重善 西井 正造 谷本 英理子 中沢 大 小高 明日香 武部 貴則
出版者
一般社団法人 人間生活工学研究センター
雑誌
人間生活工学 (ISSN:13458051)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.46-53, 2020-09-30 (Released:2022-07-13)
参考文献数
32

来院者の病院での体験価値向上に向けて,患者が病院での待ち時間あるいは待つこと,待たされることに対してどのような捉え方をしているかに注目した.待ち時間に対する捉え方により,待ち時間を過ごす際の感情的反応は変化すると考えられ,このような関係を明確にできれば,待ち時間を過ごす際に生じる否定的な感情を軽減し,待つ側の患者の捉え方を良い方向に向けていく方策に結びつく可能性があると考えた.本研究はこの視点に立ち,来院者の院内での過ごし方を詳細に把握することを目的に,大学医学部卒業者の協力を得て参与観察的に行った調査を基にジャーニーマップとメンタルモデルを作成し,「感覚的な待ち時間」の短縮に向けた検討を行った.
著者
旅田 健史 畠中 順子 高橋 美和子
出版者
一般社団法人 人間生活工学研究センター
雑誌
人間生活工学 (ISSN:13458051)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.37-43, 2002
被引用文献数
1

身近な家庭日用品にも、使い勝手などの人間生活工学的要素が要求されるようになってきている。本研究では家庭日用品の製品例としてトイレブラシを取り上げ、アンケート調査及び観察実験を通じて、トイレブラシへの人間生活工学的な要求事項を明らかにした。アンケート調査では、各家庭におけるトイレ掃除実態などについての質問を行い、「いつ、どこで、誰が、どのように」トイレブラシに関与しているか等を明らかにした。観察実験では、実験室内に仮設トイレを設置し、被験者に実際にトイレ室内全体の掃除及び便器掃除を行わせ、動作解析、及びヒアリングを行った。これらの調査結果から、トイレブラシは、トイレでの便器掃除という限定された目的の道具にもかかわらず、ユーザの要求事項はきわめて多様であり、使いやすいトイレブラシのためには、ユーザの身体寸法や掃除動作への適合性のほか、ユーザの生活環境や日頃の掃除習慣、満足感、達成感、爽快感などの心理面にも配慮していく必要があると思われた。
著者
杉窪 利浩 園田 昭仁
出版者
一般社団法人 人間生活工学研究センター
雑誌
人間生活工学 (ISSN:13458051)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.32-38, 2007
被引用文献数
1

主に視覚障害者配慮の観点により開発される、音声ガイダンス機能を搭載した複写機においては、動作音が聞こえる中でも聞き取り可能で、かつ、うるさすぎない最適な音量で音声ガイダンスを出力することが求められる。また、視覚障害者は、健常者とは異なる聴覚特性を有している可能性もある。本研究では、このような観点に基づき、視覚障害者及び健常者に対し、複写機動作中に提示する音声ガイダンスの最適聴取レベルを調整させる実験を実施した。その結果、聴取者は、アイドルモードでは、複写機動作音の等価騒音レベル44dBに対し48~59dBに、作動モードにおいては、複写機動作音66dBに対し61~68dBに調整した。またアイドルモードでは、視覚障害者の調整した平均値は健常者の平均値よりも4dB高かったが、両群間に統計的有意差は認められなかった。これらの結果から、複写機における音声ガイダンスの最適レベルの設定値を提案した。