著者
飯塚 重善 高森 千恵子 山浦 美輪
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

将来の人間とロボットの共存のため,双方の円滑なコミュニケーション,インタラクションを実現するためのロボットのデザイン要件を導出することを目的に,SF映画を素材にして,ロボットと相対する人間の対ロボット心理を考察し,そこから,『70デザイン項目』をベースにしてロボットデザイン原則の導出を試みた.その結果,『70デザイン項目』に当てはまる項目を多数見いだすと共に,既存項目のロボット向けアレンジ,そして新たにロボット向けに必要と考えられるデザイン原則を提案するに至った.そして自律型ロボットに関して,インプリメントすべきと考える倫理的なデザイン項目を導出することができた.
著者
飯塚 重善 小川 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.306, pp.55-60, 2005-09-26
被引用文献数
1

インターネット利用者(Webサイト閲覧者)が, Webサイト利用時に重視する要因を抽出するため, 「The Stanford Web Credibility Survey」をベースにした, Webサイト利用時の重要項目抽出調査を行い, Webショッピング利用者, 非利用者それぞれについて, 重視する要因を抽出した.その結果, Webショッピングの利用経験に関係なく, 「使いやすさ」がWebサイト利用可否の判断に重要な要素であることが確認できた.また, Webショッピング利用者にとっては, サイトの「知名度」が重要な要因であったことが確認できた.本稿では, 今回の調査結果について示す.
著者
飯塚 重善
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2Q5OS13b01, 2020 (Released:2020-06-19)

人間と人工知能が共生するであろう近未来の社会をどのようにデザインしていく必要があるのかについて,まず「親和性」に着目して,複数のSF映画からいくつかのシーンを抽出するとともに,既往の研究等を基にした予備的な検討をおこなっている. 現在,人工知能にかけられている期待は非常に大きいが,その一方で警戒感も大きい. その一方で,人工知能は人間にとって「パートナー」としての役割を求められる. 鉄腕アトムやHAL9000のような人間と対等に話せるパートナーがいてほしいという,我々の純粋な夢が,今日のロボットや人工知能研究の礎になっているという見方がある. 真に「親和性」の高い人工知能は,自律的で,かつ感情・意思を有するべきで,決して人間の奴隷であってはいけない. もちろん,人工知能もまた,他のシステム等と同様に人間中心であるべきであろう.ただその一方で,人間の側の考え方・捉え方として,単なる人工知能システムから人間共生システムへのパラダイムシフトが必要となるのかもしれない.
著者
飯塚 重善 西井 正造 谷本 英理子 中沢 大 小高 明日香 武部 貴則
出版者
一般社団法人 人間生活工学研究センター
雑誌
人間生活工学 (ISSN:13458051)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.46-53, 2020-09-30 (Released:2022-07-13)
参考文献数
32

来院者の病院での体験価値向上に向けて,患者が病院での待ち時間あるいは待つこと,待たされることに対してどのような捉え方をしているかに注目した.待ち時間に対する捉え方により,待ち時間を過ごす際の感情的反応は変化すると考えられ,このような関係を明確にできれば,待ち時間を過ごす際に生じる否定的な感情を軽減し,待つ側の患者の捉え方を良い方向に向けていく方策に結びつく可能性があると考えた.本研究はこの視点に立ち,来院者の院内での過ごし方を詳細に把握することを目的に,大学医学部卒業者の協力を得て参与観察的に行った調査を基にジャーニーマップとメンタルモデルを作成し,「感覚的な待ち時間」の短縮に向けた検討を行った.
著者
飯塚重善 小川 克彦 中嶌 信弥
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.88, pp.31-38, 2004-08-26
参考文献数
7
被引用文献数
10

筆者らは,モバイル型テレワークにおける,仕事の場に関するフレキシビリティを活かし,かつ,情報機器のセキュリティに関する課題を払拭することで,安全で快適なテレワークを実現するために,ノートPCなどの情報機器は持ち歩かず,ICカードを持ち歩くだけで,モバイルオフィス等に設置されている共同利用パソコンを,まるで自分のパソコンを持ち歩いているような感覚で利用できる,PC環境ローミング技術を用いたセキュアなテレワーク支援システムを開発した.さらに,その評価のため,実際のビジネスパーソン146名に,本システムを用いたテレワークを実践してもらう実験を3ヶ月間行った.その結果,本システムの有効性およびセキュリティについて高い評価を受けた.また,システムの環境面での情報セキュリティの調査を行い,場所によるシステム利用時の安心度に差が生じることを明らかにした.本論文では,本システムのシステム構成,処理内容,評価実験の結果および考察を述べる.These days, the trial to the so-called "telework" which works from the place distant from places of business, such as a house through a communication line has been made in various styles in each company etc. . We developed the secure telework support system with PC environment roaming. Furthermore, in order to investigate the effect of this system, we conducted the trial by actual business person practice. The result shows our system was well accepted. This paper presents our system architecture and the trial.
著者
飯塚 重善 小松原 明哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.426, pp.165-169, 2014-02-01

筆者らは,『ソーシャルメディアに関しては,"情報の受け手の,情報に対する信頼"は,従来の信頼できる発信源による"質"を備えた情報であるか否かに関わらず,その"量"の多さによって形成される信頼もある』という仮説を掲げ,情報受信者の評価に着目した「発信源のクオリティと受け手のリテラシー」および情報量の多さが及ぼす情報の信頼性への影響に着目した「多量化による情報への信頼性」について解明することとした.本稿では,最近多発している「炎上」の事例やそれらについて分析している文献等から,「炎上」について,その現象を見つめるとともに,「炎上」ではない,発信者の意図に反した範囲にまで拡散されてしまった実例を挙げ,Twitterで発信された情報の想定外拡散について検討している.
著者
飯塚 重善 小川 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.319, pp.31-36, 2005-09-30

コンピュータの普及やインターネットの発展により, さまざまな情報が場所や時間を問わず扱われるようになってきている.その結果, 高い機密性が求められる情報でさえも, いつでもどこでも扱われるようになってきた.しかしこれは, 利用者が, 個人情報の漏洩や流出といった危険性にもさらされることにもなりうる.このようなサービスは, 頑強なセキュリティ技術とともに提供されているため, システム機能上ではセキュアなサービスとして利用することができるが, 実際, 情報セキュリティ対策を十分に行ったシステムであっても, その利用場所によって利用者の安心感に大きな差が生じることが確認されており, 不特定多数の人間が利用できる公共の作業環境(パブリックスペース)において, 利用者は, 機密性の高い情報を必ずしも安心して扱うことができているとはいえない.そこで筆者らは, 公共空間で, 利用者が安心して利用できる作業環境を構築するための研究を行っている.本稿では, インターネットユーザを対象に, 個人情報毎に, それらを扱うことへの意識をたずねることで, 一般の人の, 個人情報取り扱い時の意識レベルを調査した結果を示した.さらに, 大学キャンパス内およびレンタルオフィスといった, 実際の公共空間での情報取り扱い実験を行い, その状況での個人情報取り扱いに対する意識調査も行った.それらから, 実際の公共空間での情報の取り扱い場面も含む, 汎用的な個人情報のセンシティブ度を得たといえる.