著者
江間 三恵子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.310-315, 2007-03-30
被引用文献数
2

本論文では機能性食品に対する若年層の食行動を調査し, これらの食品の利用法の意識について考察した。<BR>  1) 調査対象者は10~20代の若者であるが, 身体が不調と考えている人が多い(73%)。<BR>  2) 身体の不調の理由として, 不規則な生活 (13.1%), ストレス (8.5%) や疲労感 (11.9%), 肩こり (7.8%), イライラ (6.2%), 疲れ目 (5.9%) を挙げている。<BR>  3) 機能性食品を利用する目的は, ミネラルの補給, 整腸, ビタミンの補給など身体の不調回復に関する用途が多い。<BR>  4) 平成18年に利用数が増加したのはビフィズス菌, キシリトール, ポリフェノール, DHA・EPAなどである。逆に, 利用数が減少したのはポカリスエットなどのスポーツドリンク, ロイヤルゼリーなどである。<BR>  5) 機能性食品の購入先はスーパー, コンビニなどが多い。平成18年には薬局での購入も増加している。<BR>  6) 購入の基になった判断基準は店頭, TV・新聞などのCMが多いが, 平成18年は簡単な飲食とか味覚など嗜好的な判断も多くなった。<BR>  7) 購入しない理由は平成6年は「必要としない」や「効果がない」が多いが, 平成10年は「食事から摂る」が多かった。平成18年には「価格が高い」ことも問題にしている。<BR> 機能性食品は, 最近, 種類も豊富になり多様化しているが, 現在新しく導入されたものもあり, 旧来のものが減少し, 新しいものへの転換が激しい。従って, 流行がある。正しい情報を伝達し, 消費者が体の健康維持, 回復にあった十分安全な食品が利用できることが望まれる<sup>9)~13)</sup>。本論文は10~20代の学生の調査で限定的とはいえ, 若年層の機能性食品に対する食行動の一端を把握できたものと考える。
著者
村井 陽子 奥田 豊子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.231-238, 2006-12-30
参考文献数
19
被引用文献数
2

&nbsp;&nbsp;小学校4, 5年生を対象に調理実習と授業実践を取り入れた「豆」の指導を展開した。指導前後に実施した質問紙調査, 指導群150名と対照群249名の成績を解析し, 教育効果を明らかにするとともに, 豆等の摂取頻度と児童の健康状況の関連を検討した。<br>&nbsp;&nbsp;(1) 指導群では, 指導後, 豆の嗜好, 豆の摂取意欲が有意に向上し, 対照群と比較すると家庭での豆の摂取頻度に増加傾向がみられた。<br>&nbsp;&nbsp;(2) 調理実習で児童が豆を「おいしい」と感じ, 嗜好が改善すれば, 豆の摂取も多くなることが示唆された。家庭での豆料理の提供が増えると, 豆の摂取は更に増加すると推察された。<br>&nbsp;&nbsp;(3) 調査した家庭での4項目の摂取頻度は,「豆」と「豆製品」,「カップめん」と「コンビニおにぎり」がそれぞれ有意な正の相関を示し, 健康状況に対しては,「豆」「豆製品」が有意な正の相関,「カップめん」「コンビニおにぎり」が有意な負の相関を示す傾向がみられた。<br>&nbsp;&nbsp;(4) 指導群では, コンビニ食品の摂取頻度が有意に減少し, 児童の健康状況の有意な向上が認められた。<br>&nbsp;&nbsp;(5) 摂取頻度における「豆・豆製品優位群」は,「コンビニ食品優位群」に比べて有意に高い健康度を示した。<br>&nbsp;&nbsp;(6) 児童に伝統的な食材やその食べ方を伝えていくことは, 食体験の幅を広げるとともに, 児童の健康状況に良好な影響を与える効果を期待できることが示唆された。
著者
春木 敏
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.281-287, 2007-03-30
参考文献数
35
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;After the implementation of the Fundamental Law of Nutrition Education, specific items for &ldquo;instruction in nutrition&rdquo; were incorporated in school education; this was the beginning of health and nutrition education in schools. Reports on the eating habits of youth indicate that they have an unbalanced diet; they prefer western food and dislike vegetables. They are unhealthy because they eat irregularly, i.e., they skip breakfast, or eat alone. It has been confirmed that eating breakfast is related to sleep and wake-up times, appetite in the morning, attitude toward the importance of breakfast, self-esteem, social skills, and good nutrition behavior among family members.<BR>&nbsp;&nbsp;Life skills that according to the WHO are an essential part of the health education of young people can build self-esteem. The life skills comprise: decision-making skills that involve the ability to identify problems, obtain information, and predict results; goal-setting skills that involve the ability to set an attainable goal, achieve and practice it; communication skills; and stress-management skills.<BR>&nbsp;&nbsp;We developed and popularize a Life skills-based nutrition education program for children. The aim of this program was to modify the unhealthy eating behavior of skipping breakfast and consuming unhealthy snacks. Children are taught to prepare snacks by themselves and plan a healthy breakfast; they are also taught to brainstorm, role-play, and case studies in order to gain and strengthen their life skills. Thus, the children develop healthy behavior through repetitive training and can learn to solve problems by themselves in real life. It is believed that this learning helps children strengthen their self-efficacy by teaching them to find solutions by themselves to problems. Working together also helps children develop bonds with their team-mates by recognizing each other's positive attributes and abilities and then they form positive self-concept.
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.211-216, 2006-12-30
被引用文献数
1

<I>Staphylococcus</I>属菌及び<I>Streptococcus</I>属菌はPETボトル入り清涼飲料水中でも長時間の生存が可能な場合がある。そこで,これらの中で口腔内に常在していることの多い<I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>の一定濃度の菌液を調製し, 菌数の変動を検討した。<BR>(1) <I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>を接種した実験において, スポーツ飲料と乳酸菌飲料では<I>S.aureus</I>では菌数の変化が見られなかったが, <I>S.pyogenes</I>は5時間後までに死滅した。<BR>(2) むぎ茶飲料では<I>S.aureus</I>は増加し, <I>S.pyogenes</I>はわずかな減少を示した。<BR>(3) 紅茶飲料 (ミルクティ) は両菌種ともに増加した。<BR>(4) スポーツ飲料と乳酸菌飲料はpH3, むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) はpH6程度であるため, 細菌の生存には成分も影響するが, pHの方がより強く影響することが示唆された。<BR>(5) むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) との比較では, むぎ茶飲料はタンパク質, 脂質, 炭水化物を全く含まず, 原材料が麦の浸出液のみである。これに対し, 紅茶飲料 (ミルクティ) は乳成分 (牛乳, 脱脂粉乳など) や砂糖を含むため, 細菌の増殖に適した条件であると言える。<BR>(6) 黄色ブドウ球菌食中毒が発症するエンテロトキシン量は平均100~200ngとされる。これは, 食品中における<I>S.aureus</I>が10<sup>6</sup>cfu/g以上と同レベルの増殖である。本研究の紅茶飲料 (ミルクティ) では, 接種24時間後でもっとも増殖した試料でも10<sup>4</sup>cfu/mL程度である。このためエンテロトキシンが産生される条件に満たなかったと考えられた。
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.211-216, 2006-12-30
参考文献数
10
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;<I>Staphylococcus</I>属菌及び<I>Streptococcus</I>属菌はPETボトル入り清涼飲料水中でも長時間の生存が可能な場合がある。そこで,これらの中で口腔内に常在していることの多い<I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>の一定濃度の菌液を調製し, 菌数の変動を検討した。<BR>(1) <I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>を接種した実験において, スポーツ飲料と乳酸菌飲料では<I>S.aureus</I>では菌数の変化が見られなかったが, <I>S.pyogenes</I>は5時間後までに死滅した。<BR>(2) むぎ茶飲料では<I>S.aureus</I>は増加し, <I>S.pyogenes</I>はわずかな減少を示した。<BR>(3) 紅茶飲料 (ミルクティ) は両菌種ともに増加した。<BR>(4) スポーツ飲料と乳酸菌飲料はpH3, むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) はpH6程度であるため, 細菌の生存には成分も影響するが, pHの方がより強く影響することが示唆された。<BR>(5) むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) との比較では, むぎ茶飲料はタンパク質, 脂質, 炭水化物を全く含まず, 原材料が麦の浸出液のみである。これに対し, 紅茶飲料 (ミルクティ) は乳成分 (牛乳, 脱脂粉乳など) や砂糖を含むため, 細菌の増殖に適した条件であると言える。<BR>(6) 黄色ブドウ球菌食中毒が発症するエンテロトキシン量は平均100~200ngとされる。これは, 食品中における<I>S.aureus</I>が10<sup>6</sup>cfu/g以上と同レベルの増殖である。本研究の紅茶飲料 (ミルクティ) では, 接種24時間後でもっとも増殖した試料でも10<sup>4</sup>cfu/mL程度である。このためエンテロトキシンが産生される条件に満たなかったと考えられた。