著者
坂田 亮一 岡谷 友三 アレシヤンドレ
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.125-128, 2008

本実験では,蒸し加熱で試作したソフトソーセージの破断特性および微生物学的品質を調べた。最大荷重,破断荷重,破断応力,破断歪率,破断エネルギーのすべてにおいて,調理当日の試料の値が低く,冷蔵試料,凍結試料の順で値が上昇し硬くなることが分かった。また,当日試料はほぼ平坦な波形を示し,冷蔵試料,冷凍試料は破断後,上昇したり,下降したりする波形を示した。当日試料に比べて冷蔵試料,凍結試料が硬くなったのは,冷蔵,凍結のせいではなく,蒸し加熱と重曹によってケーキの様に膨らんだ生地が真空包装によって締まったからだと思われる。また,調理当日測定のソフトソーセージはつみれ(いわし,ほっけなどを原料)と非常に類似した破断特性を示した。 微生物学的品質では,大腸菌群,黄色ブドウ球菌,サルモネラは検出されず,生菌数も指導基準の菌数限度を大きく下回る値となった。これは80℃で30分間の加熱処理によるものと考えられる。Soft sausages prepared by steam-cooking were investigated to measure their rheological nical properties and microbial quality. Maximal force, breaking strain and other property values are lower in the fresh soft sausage but were found to increase with refrigeration and freezing. The fresh sausage showed a flat wave pattern, but those of the refrigerated and frozen samples rose and fell, which caused hard structure in the sausage. The fresh soft sausage showed to have similar rheological properties to tsumire (fish meatball). With regard to microbial quality, E. coli, Staphylococcus aureas and Salmonella were not detected, and the aerobic bacterial counts were observed to be below the standard guideline level in Japan. This seems to be the effect of steam-heating at 80 ℃ for 30 min.
著者
森田 英利 坂田 亮一 加藤 行男 久松 神
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.176-181, 2002

亜硝酸ナトリウム(NaNO_2),塩化ナトリウム(NaCI)あるいは数種類の抗生物質で処理したベロトキシン産生大腸菌(VTEC)O157:H7の3株から,ベロトキシン(VT)1型と2型の放出量を定量した。VTEC O157:H7のうち,2株がVT1型とVT2型の両者を産出し,1株がVT2型のみ産出した。VTEC O157:H7をNaNO_2(最少発育阻止濃度である6,000mg/L)で処理したがVT1型およびVT2型の放出量は増加しなかった。NaNO_2由来の一酸化窒素(NO)の抗菌メカニズムを明らかにするために,NaNO_2で処理したVTEC O157:H7の細胞を77Kでの電子常磁性共鳴吸収(EPR)法に供した。その結果,g値2.035と2.010のEPRシグナルを検出し,細胞内に鉄硫黄タンパク質とNOが反応して形成されたジニトロシル鉄硫黄錯体が存在した。またATPの合成も阻害されていた。このことから,NaNO_2出来のNOは細胞内に入り,呼吸鎖に関与する酵素を不活化したものと考えられた。
著者
坂田 亮一 勝俣 学 押田 敏雄 島田 裕之 神田 宏
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.76-81, 2004-06-20 (Released:2011-06-08)
参考文献数
13

通常の豚肉を用いて, 高温と低pH処理によりPSE様状態を呈する肉を人為的に調製した。調製した豚肉試料がどの程度のPSE状態であるか判定するために, 試料から抽出した筋漿タンパク質の変性程度を透過率 (Transmission Value: TM値) で測定した。その保水性, ならびにソーセージを試作しクッキングロス, 物性などの項目について比較検討を行い, PSE様豚肉における保水性とクッキングロスの関係について調べた。また加熱後の各豚肉ソーセージ試料の色調を測定し, 生肉でのPSE状態との関連性を検討した。PSE処理時のpHの低下に伴いTM値が上昇し, 筋漿タンパク質の変性が顕著に進んだ。ろ紙加圧法による保水性の測定値 (M/T値) は試料のPSE状態が進むに伴い, その値が徐々に低下し, クッキングロスは増加した。用いた試料において, 保水性とクッキングロスの間に負の相関が認められた。また, PSE様肉の保水性とクッキングロスともに, その測定値は対照区より劣る値を示した。色調測定での Hunter 値において, PSE状態の進行とともに正常肉に比べてLおよびb値の上昇とa値の低下が明らかにみられ, L*, a*およびb*も同様の変動を示し, 肉眼的所見からも赤色に乏しく白けた色調を呈した。物性測定の結果では, PSE状態が進むにつれテクスチャーが低下する傾向がみられ, このようなソーセージは商品価値が低いものと判断された。
著者
押田 敏雄 吉川 康宏 小林 義浩 坂田 亮一 田中 享一
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.113-118, 1988-09-25 (Released:2011-06-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

血清成分の測定値はLDH活性値, LDH分画, GOT, GPTなどの項目では溶血による影響を受けることが知られているが, 肉眼的な血清の溶血程度の判定は測定者により異なることが多く, 必ずしも一様ではない。そこで今回, 人為的に種々な溶血血清を作成し, その肉眼的な溶血程度と吸光度およびヘム色素含量の関係について検討した。その結果, 総ヘム色素量と吸光度との関係において溶血液添加血清 (実験的溶血血清) および失宜溶血血清 (いわゆる溶血血清) にはそれぞれ高い相関が認められた。また, 両者は共通の回帰係数 (b=0.0675) をもって相関が成立し, 肉眼的な溶血段階は吸光度により, 次のように区分できた。溶血程度 (-): <0.400, 溶血程度 (±): 0.400~0.650, 溶血程度 (+): 0.650~0.900, 溶血程度 (++): 0.900~1.700, 溶血程度 (+++): 1.700<
著者
和賀 正洋 押田 敏雄 坂田 亮一
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.10-16, 2016-03-05 (Released:2016-06-13)
参考文献数
16

豚肉ヘム色素抽出液を還元して吸収スペクトルを観察した結果,ミオグロビン(Mb)とヘモグロビン(Hb)の他にシトクロムc (Cyt. c)が吸光スペクトルに影響することが強く示唆された。これらのヘム色素の各種誘導体を観察した結果,CO処理したMb,Hb (COMb, COHb)ならびにCyt. cは互いに異なる分光光学的特徴を持っており,COMbは541および578nmに,COHbは539および568nmに,Cyt. cは520および550nmにそれぞれ特徴的な吸光特性が見られ,スペクトル形状が異なった。そこでこれらのヘム色素の吸収ピークである6波長および,COMbとCOHbの等吸収率点がある5波長の合計11波長から3波長を任意に選択し,ランベルトベール則に基づいてテスト溶液のヘム色素濃度の算出を試みた。この算出精度を比較した結果,538,568ならびに578nmの吸光係数を組み合わせた場合に最も高い精度でMb,HbおよびCyt. cを同時に定量出来た。
著者
坂田 亮一 勝俣 学 押田 敏雄 島田 裕之 神田 宏
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.76-81, 2004

通常の豚肉を用いて, 高温と低pH処理によりPSE様状態を呈する肉を人為的に調製した。調製した豚肉試料がどの程度のPSE状態であるか判定するために, 試料から抽出した筋漿タンパク質の変性程度を透過率 (Transmission Value: TM値) で測定した。その保水性, ならびにソーセージを試作しクッキングロス, 物性などの項目について比較検討を行い, PSE様豚肉における保水性とクッキングロスの関係について調べた。また加熱後の各豚肉ソーセージ試料の色調を測定し, 生肉でのPSE状態との関連性を検討した。PSE処理時のpHの低下に伴いTM値が上昇し, 筋漿タンパク質の変性が顕著に進んだ。ろ紙加圧法による保水性の測定値 (M/T値) は試料のPSE状態が進むに伴い, その値が徐々に低下し, クッキングロスは増加した。用いた試料において, 保水性とクッキングロスの間に負の相関が認められた。また, PSE様肉の保水性とクッキングロスともに, その測定値は対照区より劣る値を示した。色調測定での Hunter 値において, PSE状態の進行とともに正常肉に比べてLおよびb値の上昇とa値の低下が明らかにみられ, L<sup>*</sup>, a<sup>*</sup>およびb<sup>*</sup>も同様の変動を示し, 肉眼的所見からも赤色に乏しく白けた色調を呈した。物性測定の結果では, PSE状態が進むにつれテクスチャーが低下する傾向がみられ, このようなソーセージは商品価値が低いものと判断された。
著者
坂田 亮一 勝俣 学 押田 敏雄 島田 裕之 神田 宏
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.76-81, 2004-06-20
参考文献数
13

通常の豚肉を用いて、高温と低pH処理によりPSE様状態を呈する肉を人為的に調整した。調整した豚肉試料がどの程度のPSE状態であるか判定するために、試料から抽出した筋漿タンパク質の変性程度を透過率(ransmission Value :M値)で測定した。その保水性、ならびにソーセージを試作しクッキングロス、物性などの項目について比較検討を行い、PSE様豚肉における保水性とクッキングロスの関係について調べた。また加熱後の各豚肉ソーセージ試料の色調を測定し、生肉でのPSE状態との関連性を検討した。PSE処理時のpHの低下に伴いM値が上昇し、筋漿タンパク質の変性が顕著に進んだ。ろ紙加圧法による保水性の測定値(M/値)は試料のPSE状態が進むに伴い、その値が徐々に低下し、クッキングロスは増加した。用いた試料において、保水性とクッキングロスの間に負の相関が認められた。また、PSE様肉の保水性とクッキングロスとともに、その測定値は対照区より劣る値を示した。色調測定でのHuner値において、PSE状態の進行とともに正常肉に比べてLおよびb値の上昇とa値の低下が明らかにみられ、L(*)、a(*)およびb(*)も同様の変動を示し、肉眼的所見からも赤色にと乏しく白けた色調を呈した。物性測定の結果では、PSE状態が進むにつれテクスチャーが低下する傾向がみられ、このようなソーセージは商品価値が低いものと判断された。
著者
森田 英利 坂田 亮一 加藤 行男 久松 伸
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.5/6, pp.176-181, 2003-03-31

亜硝酸ナトリウム(NaNO_2),塩化ナトリウム(NaCI)あるいは数種類の抗生物質で処理したベロトキシン産生大腸菌(VTEC)O157:H7の3株から,ベロトキシン(VT)1型と2型の放出量を定量した。VTEC O157:H7のうち,2株がVT1型とVT2型の両者を産出し,1株がVT2型のみ産出した。VTEC O157:H7をNaNO_2(最少発育阻止濃度である6,000mg/L)で処理したがVT1型およびVT2型の放出量は増加しなかった。NaNO_2由来の一酸化窒素(NO)の抗菌メカニズムを明らかにするために,NaNO_2で処理したVTEC O157:H7の細胞を77Kでの電子常磁性共鳴吸収(EPR)法に供した。その結果,g値2.035と2.010のEPRシグナルを検出し,細胞内に鉄硫黄タンパク質とNOが反応して形成されたジニトロシル鉄硫黄錯体が存在した。またATPの合成も阻害されていた。このことから,NaNO_2出来のNOは細胞内に入り,呼吸鎖に関与する酵素を不活化したものと考えられた。
著者
押田 敏雄 坂田 亮一
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-44, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
5

地方における農業就労者の高齢化や減少に伴い,耕作放棄地が拡大している.耕作放棄地の拡大に伴い,シカ,イノシシをはじめとする野生動物による農業被害や,時としてクマによる人的被害も年々顕在化している.鳥獣被害を静観するのではなく,鳥獣を適正な数に抑制する動きも見られ,各地で鳥獣対策が真剣に取り組まれるようになってきた.ここでは,野生鳥獣被害による農業被害などの実態,対策などの現状と将来のジビエの方向性について触れることとする.