著者
森元 隆文 横山 和樹 池田 望
出版者
札幌医科大学保健医療学部
雑誌
札幌保健科学雑誌=SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY SAPPORO JOURNAL OF HELTH SCIENCES = SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY SAPPORO JOURNAL OF HELTH SCIENCES (ISSN:2186621X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.13-24, 2021-03-01

本研究では,統合失調症に対する作業療法,および作業療法士が実施している心理社会的介入の内容と有効な側面を概観し、今後の実践と研究の方向性を検討するために,英語論文のレビューを実施した。3種類の検索データベースとハンドサーチにて論文を収集し 2 段階のスクリーニングを経た結果,34 編が分析対象となった。その内訳は,「作業活動・作業療法マネジメント」9 編,「手段的日常生活活動訓練」2 編「認知機能リハビリテーション」9 編,「運動療法」2 編,「心理教育・技能訓練」4 編,「就労支援」5 編,「地域生活支援」3 編であった。各介入の主な治療標的に加え精神症状や QOL など様々な側面への効果が示されていたが,特に認知機能は作業療法士による多くの介入で効果を示す重要な治療標的であることが示唆された。さらに,今後の実践や研究で作業に関する指標を扱うことで,作業療法の独自性やさらな効果を示すことにもつながると考える。
著者
太田 晴美
出版者
札幌医科大学保健医療学部
雑誌
札幌医科大学札幌保健科学雑誌 = Sapporo Medical University Sapporo journal of health sciences (ISSN:2186621X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-6, 2020

災害医療の歴史的変遷を紐解き,近年の災害医療実践例から,管理・経営的側面からその学びと課題について述べる。阪神淡路大震災では,後方支援の重要性と心のケアの必要性が明らかになり,有珠山噴火では病院同士が連携する創意工夫があった。東日本大震災では,平時も有事も「安全」と「安心」を提供する重要性がわかった。熊本地震では高齢者や福祉施設に対する支援体制等を構築する課題が明らかになった。北海道 胆振東部地震では医療者自身に正常性バイアスがあった。また、SNS活用は情報伝達がスムーズになる一方,善意のデマ拡散というデメリットがあり,情報ツールを活用する力が求められた。2019年台風19号では,予測できる気象災害に対し,人々がどのように備え,対応するかが問われ,災害モードの切り替えが重要 と再認識した。医療機関の備災力向上のためには,マニュアルだけでは補えず,どのようにマニュアルを使っていくかが重要である。
著者
欠ノ下 郁子 澤田 いずみ 吉野 淳一
出版者
札幌医科大学
雑誌
札幌保健科学雑誌=SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY SAPPORO JOURNAL OF HELTH SCIENCES (ISSN:2186621X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.14-20, 2017-03-01

目的:思春期に統合失調症を発症した人が不調を感じてから精神科病院へ受診し、統合失調症との認識を持つまでのMHLの様相を明らかにすることである。研究方法:研究協力者4名を対象に半構成的面接を行い、質的記述的研究法を用い分析を行った。結果:本研究の結果として、MHLは4つのカテゴリーで構成され、初回受診過程におけるMHLの様相は(健康状態への自己認識)の変化に沿って4つのフューズに分かれた。対象者は(病気になって初めてわかる精神疾患に関する知識)を語り、病気になるまでは知識がない中で(必死に模索してきた自己対処行動)を行っていた。初回受診に至ったのは、(周囲の人の健康状態への認識)の変化によるものだった。結論:初回受診過程におけるMHLは4つのフューズに分かれ、このMHLに影響する要因は個人特性、思春期の特徴、対象者を取り巻く人々のMHLが考えられ、DUP短縮に向けた看護の可能性が示唆された。