著者
河本 英夫
出版者
東洋大学国際哲学研究センター(「エコ・フィロソフィ」学際研究イニシアティブ)事務局
雑誌
「エコ・フィロソフィ」研究 (ISSN:18846904)
巻号頁・発行日
no.13, pp.13-23, 2019-03

人間を包む環境のなかで、色はもっともベースとなる要素的特質である。そのなかでも緑と青は支配的な比率をもっている。緑は植物の色だから、植物性の環境であり、生存に直結している。ところで青は不思議な配置を占めている。空は青であり、海も青である。あまりにも人間にとって身近で、自明なために青を「環境の色」として通常は自覚的に捉えたりはしない。だが緑と異なり、空という物に青が付着しているわけではない。ここではこの青の特質について考察した。ことにネモフィラという花の一面の青は、なにか人間の感性に、驚きと安らぎと流れ行くような流動感をあたえてくれる。