著者
関谷 直也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1-I_11, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
15

日本の防災対策は「想定」を前提とした訓練,ハザードマップ,防災教育や災害時の情報伝達などの手段で避難を促すというソフト対策に過度に重点が置かれている. 結果,ありとあらゆるところに想定を設け,それにのっとって対策を整えるという「想定主義」に陥っている.そして避難についても,現実的な解を見つけるというより「原則車避難禁止」「危機意識をもって急いで逃げれば被災は回避できる」といった避難の課題を人々の防災意識に帰結する「精神主義」が跋扈している.また,あらゆる災害対策の前提となる被災の原因の検証についても,メディアで言われていることや思い込みで仮説を構築し,そこから改善策を検討・導出してしまう「仮説主義」に陥っている.だが,実際に調査検証が進むに従って,そもそも仮説自体が誤っているといったことが多くみられる. これら日本の防災対策の問題点は東日本大震災を踏まえても何も変わっていない.「想定」を重視するのではなく行動の規範を考えること,精神論だけを強調するのではなくハード対策とソフト対策のバランスという原点に立ち返ること,メディアの論調や思い込みではなく,予断を持たず,徹底的に東日本大震災の被災の現実に,科学的実証的に向き合うことが求められる.
著者
関谷 直也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1-I_11, 2012

日本の防災対策は「想定」を前提とした訓練,ハザードマップ,防災教育や災害時の情報伝達などの手段で避難を促すというソフト対策に過度に重点が置かれている.<br> 結果,ありとあらゆるところに想定を設け,それにのっとって対策を整えるという「想定主義」に陥っている.そして避難についても,現実的な解を見つけるというより「原則車避難禁止」「危機意識をもって急いで逃げれば被災は回避できる」といった避難の課題を人々の防災意識に帰結する「精神主義」が跋扈している.また,あらゆる災害対策の前提となる被災の原因の検証についても,メディアで言われていることや思い込みで仮説を構築し,そこから改善策を検討・導出してしまう「仮説主義」に陥っている.だが,実際に調査検証が進むに従って,そもそも仮説自体が誤っているといったことが多くみられる.<br> これら日本の防災対策の問題点は東日本大震災を踏まえても何も変わっていない.「想定」を重視するのではなく行動の規範を考えること,精神論だけを強調するのではなくハード対策とソフト対策のバランスという原点に立ち返ること,メディアの論調や思い込みではなく,予断を持たず,徹底的に東日本大震災の被災の現実に,科学的実証的に向き合うことが求められる.
著者
関谷 直也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.372-377, 2012-09-01

東日本大震災において,人々は物理的な被害を受けていなくとも,直接的な地震・余震,津波の映像の視聴,放射性物質の飛散に関する情報などを原因として不安を強く感じた。また被災者への支援について不安を感じ,そのような状況にも関わらず情報が手に入らないことに不安を感じた。そしてそれらの不安を解消するために,情報を過剰に発信・受信しようとしたり,支援・団結を求めたり,他者への攻撃へと転嫁したりした。ある程度,時間が経過してからはさまざまな活動を自粛し,時間が経つにつれ,不安や震災について考えることなどは忘却され,平時の心理に戻っていった。
著者
関谷 直也
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.143-153, 2016-11-04 (Released:2017-08-02)
参考文献数
12

In Japan, it was found that 20-30% of people avoid purchasing agricultural products produced in Fukushima Prefecture in the wake of the Fukushima Daiichi nuclear disaster of March 2011. Conversely, many people state that they usually do not pay attention to where a product comes from while they are shopping. The reason this many people are still fearful of contaminated agricultural products from Fukushima Prefecture is that they are not familiar with the system for food inspection and its results. People are generally not knowledgeable about the process of monitoring agricultural products for radioactive substances, which involves testing all volume and all bags of rice in Fukushima Prefecture. It is the goal of public relations to make sure information about the inspection system and its results are properly publicized in order to reduce anxiety among the public over the safety of these agricultural products.
著者
山本 太郎 千葉 直子 植田 広樹 高橋 克巳 平田 真一 小笠原 盛浩 関谷 直也 中村 功 橋元 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.124, pp.41-47, 2011-07-05

我々はインターネットの利用における安心について研究を行っている.初期グループインタビューの結果により,我々は「安心」そのものではなく,より認識し易い「不安」にまずは着目することとし,不安発生モデル仮説を立てた上で,東京都における訪問留置方式による質問紙調査,10ヵ国における国際電話比較調査,在日外国人グループインタビューを実施してきた.また,具体的なネットサービスに関するWebアンケート調査についても実施・分析中である.本論文では,これまでの取り組みのまとめとして,それらの概要について紹介する.
著者
辻 禎之 関谷 直也
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.439-444, 2006-12-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2006 年8 月11 日フィリピンのタンカー沈没事故では,重油の大量流出によりギマラス島周辺の広い範囲が汚染され,自然環境への被害のほか,漁業や養殖にも重大な被害をもたらした.日本国内においても海上での重油や毒劇物等による汚染事故が度々発生している.近年では,日本に接近する台風および上陸する台風の数が以前よりも増加しており,台風による船舶の座礁や漏洩事故も度々発生している. 自然災害の分野では,地震や河川氾濫等では直接被害より間接被害が大きい場合が多く,間接的な経済的被害の評価への注目が高まっており,調査研究が進められている.国内の風評被害への補償事例としては,ナホトカ号重油流出事故で風評被害による海産物への補償が行われており,JCO 臨界事故では風評被害による海産物や農産物への補償が行われている.国内における海産物のブランド化(価値向上)や間接被害への関心の高まり,途上国における権利意識の向上等によっては,海上汚染事故による風評被害が,補償問題を含めて現在よりもより重大な問題となる可能性もある. このような背景を受けて,本稿では,海上汚染事故に伴う風評被害を中心として,風評被害による経済的損失の評価モデルや被害の低減について考察する.
著者
山本 太郎 千葉 直子 間形 文彦 高橋 克巳 関谷 直也 中村 功 小笠原 盛浩 橋元 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.231, pp.25-30, 2010-10-08
被引用文献数
4

我々は,インターネットにおける安心の研究の一環として,東京23区在住者500名を対象として,インターネット利用時の不安をテーマとした,訪問留置方式により質問紙調査を実施した.本論文では,その調査及び我々の研究の概要を述べるとともに,調査結果から得られたCGM利用者と非利用者の傾向の違いについて述べる.一例を挙げると,CGM利用者であるかどうかと個人情報書き込み等の不安の大きさとの間に有意な相関が見られ,CGM非利用者の方がより強く不安を感じていることが判明した.
著者
大原 美保 地引 泰人 関谷 直也 須見 徹太郎 目黒 公郎 田中 淳
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1055-1060, 2009

2008年岩手・宮城内陸地震は, 主要動の到達の前に緊急地震速報が発表された初めての地震であるとともに, J-ALERT(全国瞬時警報システム)を介して防災行政無線から緊急地震速報が放送された初めての事例でもあった.本研究では, J-ALERTにより緊急地震速報が放送された山形県東田川郡庄内町を対象として, 緊急地震速報放送の効果に関するアンケート調査を行った.防災行政無線放送で緊急地震速報を聞いた人は, テレビで見聞きした人の2倍以上となり, 広く情報を伝えるには防災行政無線が有効であることが確認された.しかし, 放送後に身を守る行動を行った人は少なく, 今後は望ましい行動に関する周知が必要であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]