著者
小池 恵介 太田 淳 大島浩太 藤波 香織 郡 信幸 竹本 正志 中條拓伯
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.2740-2751, 2012-12-15

Android端末におけるJava実行の高速化とともに,さまざまなネットワークプロトコルへの対応や,種々のセンサへの柔軟な接続が求められている.そのために,FPGAを活用したReconfigurable Androidを提案し,その有効性,可能性を検証することを目指す.本稿では,Reconfigurable Androidの概念について述べ,FPGAボードにプロセッサカードを搭載したシステムにAndroidを移植し,FPGAによるアクセラレータを実装し,ハードウェア実行可能なJavaのソース部分をFPGA上で実行することにより全体の性能向上を実現する.Dalvik VMが稼働するIntel AtomプロセッサとFPGAとの間において,PCI Expressインタフェースの実装を完了し,DMA転送により150 MByte/secの通信性能を確認した.さらに,FPGAアクセラレータによるAndroidの高速化手法について述べ,実験環境および,プロセッサとFPGA間の通信性能について報告し,アクセラレーションによる性能評価を示す.
著者
堤智昭 大島浩太 中條拓伯
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1581-1587, 2014-07-02

ネットワークの高速化やサーバ仮想化技術の発達により、クラウドコンピューティングに代表される複数のノードが協調して動作を行う分散処理型サービスやネットワーク仮想化が普及している.一方,マイクロ秒やナノ秒レベルの精度でノード間の時刻を同期可能なIEEE1588 PTPv2が登場した.本研究では,高精度に時刻同期されたノードを用いた分散処理制御方式を提案する.これをタイムアウェア型分散処理制御と名付ける.本方式では,予め時刻に応じていつどのような処理を実行するかを記述した動作シナリオと時刻に従ってシステム内のノードをデータが渡り歩き処理が進行する.処理状況確認パケットを送らずとも他ノードの状況を確認でき,効率的な計算資源の割り当てが可能である.方式の実現にあたり,通信遅延やノードの性能や特性に起因する遅延の影響を把握,吸収することが課題となる.そこで,動的に動作シナリオを補正するための処理時刻補正のモデル化を行った.提案方式の有効性を確認するための原理実験用ソフトウェアを開発してプロトタイプシステムを構築し,処理時刻補正のモデルに基づいた処理タイミング補正が正確な時刻に沿った処理において有効であることを確認した.
著者
中森眞理雄 金子敬一 並木美太郎 中條拓伯 品野勇治 小谷善行 辰己丈夫
雑誌
情報教育シンポジウム2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, no.9, pp.175-176, 2004-08-28

東京農工大学工学部情報コミュニケーションエ学科では,平成18年度入学試験における個別学力検査(前期日程)に教科「情報」を出題する.そのための試行試験(第1回目)を7月31日に実施する.本報告では,「情報」出題と試行試験の目的,出題内容の方向性,広報活動と社会の反応について述べる.
著者
笹田 耕一 佐藤未来子 河原 章二 加藤義人 大和 仁典 中條拓伯 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.215-225, 2003-08-15
参考文献数
11
被引用文献数
10

近年,マルチスレッドプロセッサアーキテクチャの研究が盛んである.このアーキテクチャの性能を引き出すためには,システムソフトウェアのサポートが不可欠であるが,従来のモデルでは,カーネルが計算実体を管理するため,このアーキテクチャの利点を十分に活用することができなかった.そこで本研究では,マルチスレッドアーキテクチャ上で効率的に機能するユーザレベルスレッドライブラリの実現方法を検討し,実際に作成した.ライブラリは,1チップが複数持つ実スレッドを管理し,スレッドの並列実行をサポートすることで性能を向上させる.また,プロセッサのスレッド制御命令を利用することで,高速なスレッド制御を可能にする.ユーザレベルでスレッドを管理するうえで困難な問題はOSと協調動作することで解決する.シミュレータによる評価の結果,スレッドの並列実行により最大1.5倍の性能向上を確認した.また,軽量なスレッド制御を実現した.Recently, there are many studies on multithreaded processor architecture. In order to get the higher performance of this architecture, support of system software is indispensable. However, from the view of performance, the advantage of the architecture has not been utilized enough without kernel supports for Architecture (Physical) Threads. In this research, we have designed and developed a thread library that works efficiently on a multithread architecture. Architecture Threads of a processor are managed on a user level library supports to parallelize threads and improve performance. Using the thread control instructions of the processor enables high-speed thread control. Inefficiency when managing threads on a user level would be improved by cooperation with OS. As a result of simulation based evaluation, up to 1.5 times higher performance has been gained by parallel execution. Moreover, we have accomplished a lightweight thread control.
著者
中條拓伯 藏前 健治 金田 悠紀夫 前川 禎男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1719-1728, 1995-07-15
被引用文献数
8

本論文では、ワークステーション・クラスタ上においてOSのカーネルに手を加えず、ユーザレベルのソフトウェア制御のみによって、分散共有メモリ(DSM,Distributed Shared?Memory)の構築を試みた結果について報告する。分散共有メモリヘのアクセスの高速化を図るためにアクセス遅延を隠蔽する方法として、ソフトウェア制御のコヒーレントキャッシュを実装する。本稿では、本システムの構成および我々が提案する、無効化に巡回型マノレチキャストメッセージを用いたコンシステンシ・プロトコルについて述べ、基本的な性能評価を行うため、キャッシュヘのミス/ヒットなどのアクセスタイプによる遅延時間を測定した結果を示す、さらに、実際の並列プログラムによりシステムを評価するために、行列の乗算と、SPLASHベンチマークプログラムを実行した場合の性能評価も示す。現有のイーサネットを用いたネットワーク環境では十分な性能を発揮することはできなかったが、今後の高速ネットワーク環境において、本システムの可能性について述べる。
著者
金井 遵 森 拓郎 荒木 健志 田邊 昇 中條拓伯 並木 美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.68, pp.59-62, 2006-06-26
被引用文献数
1

本論文では,分散ファイルシステム(DFS)およびメモリマップトファイル機能を利用してOSに手を加えることなく分散共有メモリ(DSM)を実装し,カーネルに手を加えることができないコモディティOS上でクラスタシステムを実現する方法を提案する.大容量バッファを持った高速なネットワークインターフェースであるDIMMnetF2を用い,Windows上で複数のDIMMnet-2の大容量バッファをまとめて-つのDFSおよび,DSMとして利用するドライバとライブラリを設計,実装した.評価では実際に,DSMを用いていくつかの分散処理実験を行った.特に行列乗算による評価では,2ノードの分散処理において1.99倍の性能向上が予測できた.This paper describes implemention of Distributed Shared Memory(DSM)by using Distributed File System(DFS) and Memory Mapped File without changing souce code of OS in order to implement PC Cluster System for a non-open source commodity OS. We have designed and implemented a DFS device driver and a DSM library by plural high-speed network interface cards named DIMMnet-2 with mass buffer for Microsoft Windows. As a result of matrix multiplication evaluation,up to 1.99 times higher performance has been gained by 2-nodes distributed parallel execution.