著者
深沢 徹 Fukazawa Toru
出版者
神奈川大学人文学会
雑誌
人文研究 : 神奈川大学人文学会誌
巻号頁・発行日
vol.179, pp.21-45, 2013-03-25

Gubijinso by Soseki Natsume was his first serial story to be printed in a newspaper. The critics have disagreed on the merits of this novel. The author Soseki himself wanted it to remain out of print. He did notpermit anybody to write its dramatic version for the theater or the cinema. After the Second World War, Jyun Eto, a literary critic, played an important role in reevaluating Soseki. He rated Gubijinso highly, regarding it as the starting point of Soseki's later works. The novelist Minae Mizumura loved Soseki's works so much that she even wrote the sequel of Meian, Soseki's unfinished last work, copying his writing style impeccably. Mizumura, however, got "the impression that there was something seriously wrong" with Gubijinso. What makes the critics'assessments of Gubijinso so extremely divided? In this article, we should find the answer in the influence of Bakin Takizawa, a popular novelist of the Edo period. His influence on the novel caused contortion(or distortion?)in it, which was unsuitable for a "modern novel," even though his influence was limited. In order to provide a better understanding of the development of the argument, I would use the "Shitsukeito(Basting Thread)" theory proposed by a scholar of Japanese literature, the late Kuniaki Mitani. He led the Japanese literary studies after the 1980s, positively introducing semiotic research methods.
著者
岩本 典子
出版者
神奈川大学
雑誌
人文研究 : 神奈川大学人文学会誌 (ISSN:02877074)
巻号頁・発行日
vol.163, pp.A173-A200, 2007-12

本稿は、メディア・テクストにおけるモダリティーと視点、そして文体的な特徴との関連について考察するものである。P.Simpson(1993)のモデルに修正を加えたものを理論的枠組みとして使用する。Simpsonのモデルは元来小説分析のために考えられたものであるが、本稿では新聞記事の分析や政治ディスコースの分析などにも応用できることを提示する。Simpsonのモデルによると、モダリティーと視点のタイプによつて、9パターンの語りのモードが存在するという。まずは、大きく内側からの視点(internal point of view)、外側からの視点(external point of view)に基づくものとに、分類される。内側からの視点は第一人称(I, we)で語られるものをいう。外側からの視点は、第3者(narrator)の視点によるものと、登場人物のなかの回顧者(reflector)の視点によるものとにさらに分けられる。これら3種類の視点には、それぞれに、顕影法(positive shading)、陰影法(negative shading)、そして中影法(neutral shading)が存在し、合計9種類のパターンとなる。顕影法(positive shading)は、高位の価(high value)を持つ束縛的モダリティー(deontic modality)、評価や感情を表す形容詞や副詞(evaluative and emotive adjectives and adverbs)、感情を表す動詞(verba sentiendi)が多用されていることを特徴とする。これに対して、陰影法(negative shading)は、低位の価(low value)を持つ認識的モダリティー(epistemic modality)や、第三者的距離を表す語句(words of estrangement)が際立って使用されていることに特徴づけられる。中影法(neutral shading)は、モダリティーがなく、定言的断定(categorical assertions)が多用され、評価や感情を表す形容詞、副詞および感情を表す動詞があまり使用されないモードである。データとして、ブッシュ大統領によるイラク政策についてのスピーチ、政府が、子供の輸血を、手術時など緊急の際に、宗教的事情に関わらず義務付けた新聞記事、そしてヒル・東アジア太平洋国務次官補による対北朝鮮の非核化交渉に関する記事を分析する。モダリティー、人称、動詞、形容詞、副詞の分析により以下のことが確認された。ブッシュ大統領によるイラク政策についてのスピーチにおいては、内側からの視点で顕影法(positive shading)による語り技法が使われている。子供の輸血を義務付けた新聞記事では、外側からの視点で、顕影法(positive shading)によるレトリックが使用されている。最後の、ヒル・東アジア太平洋国務次官補による対北朝鮮の非核化交渉に関する記事は、外側からの視点で、陰影法(negative shading)により書かれているが、最後の箇所で、顕影法(positive shading)に転移されていることが見受けられた。このように、ひとつひとつのテクストを考察することで、確かに視点、モダリティー、文体的特徴が密接に関連していることが結論付けられた。
著者
橋本 侃
出版者
神奈川大学
雑誌
人文研究 : 神奈川大学人文学会誌 (ISSN:02877074)
巻号頁・発行日
vol.161, pp.7-8, 2007