著者
岡崎 康雄
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.606, pp.606_1-606_20, 2009-09-30 (Released:2011-11-26)
参考文献数
16

企業および保険会社のリスクマネジメントおよびリスク移転に活用されている代表的なARTとして,キャプティブ保険会社,ファイナイト保険,インテグレーティッド・リスク・プログラム,保険リンク証券および保険デリバティブがある。本稿では,これらARTの意義はどのようなものか,また保険リスクを扱う金融商品の成長にあたっての課題にはどのようなものがあるかについて,コーポレートファイナンスの視点を含む分析を行った。
著者
山下 友信
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.600, pp.600_121-600_134, 2008-03-31 (Released:2011-09-07)
参考文献数
8

近時広く普及している自動車保険の人身傷害補償保険に基づき保険者が保険給付をした場合において保険者が請求権代位により取得する加害者に対する損害賠償請求権の範囲について裁判上争われる事例が見られるようになっており,地方裁判所レベルでは異なる判断を示すものが現れている。本稿は,これまでに提唱されている諸見解について,それぞれの問題点を分析した上で,約款の規定と代位に関する法原則をどのように調和させるべきかについての私見を提示しようとするものである。
著者
佐々木 一郎
出版者
The Japanese Society of Insurance Science
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
no.603, pp.69-86, 2008

昨今のわが国では,親の収入・学歴・職業と,子の収入・学歴・職業との関連性が顕著に高まるなど,階層固定化傾向が強まり,格差社会が進展しつつあることが先行研究から指摘されている。一見すると,年金問題(とりわけ若者の年金未加入未納問題)は,この格差社会の問題とは無関係にみえるかもしれない。しかし,親の年金意識の「格差」から,子の年金未加入・未納率に顕著な差が生じている可能性もあり,年金問題は格差問題と深いかかわりがあることも考えられる。本研究では,大学生対象のアンケート調査データから,親の年金意識の格差と,子の国民年金未加入との関係を分析した。分析の結果,親の年金意識の格差は,子の国民年金未加入に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになり,年金問題には,格差問題の一端が反映されていることが示唆された。