著者
佐々木 一郎
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.113-134, 2016 (Released:2019-04-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

家計が直面する様々な危険を処理するうえで,民間損害保険会社等の任意保険は重要なリスクマネジメント手段の1つである。だが,現在のわが国の学校教育現場では,リスクや損害保険について学ぶ機会はほぼ皆無である。損害保険の知識不足のために,損害保険商品の価値が過小評価され,本来であれば加入しておいたほうがよいと思われるケースにおいても未加入のまま,損害保険が有効活用されないことも考えられる。 本研究では,民間の任意自動車保険に焦点を当て,自動車保険の主観的知識量と未加入行動との関係をロジットモデルにもとづき分析をした。分析の結果,自動車保険の知識量が多いケースと比較して,保険知識量が少ない場合,未加入率が約2.5倍高くなることが示された。実証分析結果より知識不足のために未加入が誘発されている可能があることを踏まえると,中学・高校等における学校教育現場での保険教育のよりいっそうの充実が重要である。
著者
有島 武志 佐々木 一郎 吉田 麻美 深尾 篤嗣 大澤 仲昭 花房 俊昭 石野 尚吾 花輪 壽彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.69-74, 2007-01-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

我々は, バセドウ病発症に伴い, 精神変調を来した, もしくは精神変調が悪化し, 西洋医学的治療により甲状腺機能が正常化したにも関わらず精神変調の改善が無く, 漢方治療を併用することで改善を認めた2症例を経験した。症例1は, 24歳女性。2000年にバセドウ病と診断され, 抗甲状腺剤による治療が開始され, 機能正常となったが, イライラ感, 不安感, 絶望感等の精神変調が改善しないため2005年2月来院。症例2は, 26歳女性。高校卒業後, 就職を契機にバセドウ病を発症。抗甲状腺剤による治療が開始されたが, 甲状腺機能は不安定で軽度の亢進と低下を繰り返し, その間にイライラ感, 疲れやすい, 気力減退, 脱毛等の症状が悪化し, 2005年1月来院。2例とも桂枝甘草竜骨牡蠣湯合半夏厚朴湯を処方 (症例1は経過中変方有り) し, それぞれ16週, 9週後には症状は著明に改善した。精神変調を併発したバセドウ病に対する漢方治療の有用性が示唆された。
著者
栗木 契 佐々木 一郎 吉田 満梨
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.111-119, 2023-09-29 (Released:2023-09-29)
参考文献数
19

2019年に設立された株式会社KINTO(以下,KINTO)は,トヨタ車およびレクサス車をサブスクリプションで提供するサービスを展開している。2022年12月には累積申込者数が55,000人に達し,その約4割を20~30代の若年層が占める。若者の車離れが指摘される国内の自動車市場において,KINTOは,人とクルマのどのような新しい関係を生み出しているのか。本稿では,トヨタ自動車がKINTOを設立した経緯,KINTOのサービスの特徴を確認した上で,それが若年層の自動車需要に対して,どのような便益を提供しているか。既存の代理店であるディーラーや,自動車保険を提供する企業,そしてトヨタ自動車などとも連携をしながら,どのように新たな価値を創出しているか,を議論する。
著者
佐々木 一郎
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.85-92, 2018-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
21

Although many previous studies have focused on the association between beauty and happiness, there have been few studies on the association between variation in the evaluation of beauty and happiness. The purpose of this study was to examine the association between variation in the evaluation of beauty and happiness in Japan, England and China. We used data from a cross-sectional survey of 1,500 women of between 20 and 69 years of age, which was collected online in Japan, England and China. We performed logistic regression to calculate the odds ratios and 95% confidence intervals for happiness. We found that after controlling for the socio-economic status, the odds ratios (95% confidence intervals) for happiness in individuals with a physically beautiful appearance (in comparison to non-beautiful individuals) at both the present time and 15 years previously were 4.70 (1.72–12.82), 4.38 (2.23–8.60), 10.60 (4.67–24.06) in Japan, England and China, respectively. The results indicated that higher subjective beauty was intertemporally associated with higher happiness in Japan, England and China. Further studies should be performed to investigate the association between the intertemporal evaluation of beauty and happiness.
著者
佐々木 一郎 鈴木 正 石井 文由
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.1055-1060, 1992-10-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
29
被引用文献数
3 3

The degree of lytic action due to interactions between nonionic surfactants and liposomes was determined in terms of affinity for lipid membranes. The solubilization potential of some surfactants toward liposome membranes was estimated based on physicochemical measurements such as fluorometry to detect the release of fluorescent markers (calcein) from liposomes, turbidimetry in suspensions and surface tensiometry. The lytic action of the alkyl poly (oxyethylene) ether (POE) toward lipid membranes was greatest when the alkyl and ethylene oxide chain lengths were 12 and 8, respectively. The lytic action of nonionic surfactants with various hydrophobic portions (hydrogenated caster oil POE ethers, cholesteryl POE ethers, nonylphenyl POE ethers and POE stearate) was found to depend on structure. Maximum activity in each homologous series was 1.2 I.O.B. (Inorganic Organic Balance).The critical micelle concentrations (cmc) of dodecyl POE (5) and POE (10) ether in the absence and presence of liposomes were determined using a surface tension meter. Addition of liposomes caused cmc of the surfactants to increase. Dodecyl POE (5) ether causes marker release at lower concentration than cmc without change in turbidity. Dodecyl POE (5) ether concentration increase further, marker release from liposomes greatly increase minor change in turbidity. For dodecyl POE (10) ether, marker release started from cmc with decrease in turbidity. The lytic action of nonionic surfactants on liposomes would thus appear related to their capacity formixed micelle formation with phospholipids.
著者
石井 洋一 佐々木 一郎 碇屋 隆雄 佐分利 正彦 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.3, pp.465-472, 1985-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
65
被引用文献数
4

プロキラルあるいはメソ形構造の 1,4-または 1,5-ジオールからアルケンへの水素移行反応において,Ru2Cl4((-)-DIOP)3 が有効な触媒となり光学活性の γ-または δ-ラクトンを光学収率 ~16.9% で与えることを見いだした。この反応は均一系錯体触媒の反応としては例の少ないエナンチオ場区男仮応に分類される。不斉誘導の方向はジオールの置換基の位置により決定され,γ-置換ジオールは R 体のラクトンを過剰に生成するのに対し β,β'-二置換ジオールはカルボニル基の α-位が S の絶対配置をもつラクトンを優位に与える。またジオールのエナンチオトピックなヒドロキシメチル基の一方を選択的に脱水素して光学活性なヘミアセタールを与える第一の不斉誘導と,ヘミアセタールの異性体問での脱水素速度の違いにより動力学的分割の起こる第二の不斉誘導の両方がこの反応に関与していることが判明した。
著者
佐々木 一郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1294, pp.76-77, 1990-01-20
著者
佐々木 一郎
出版者
The Japanese Society of Insurance Science
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
no.603, pp.69-86, 2008

昨今のわが国では,親の収入・学歴・職業と,子の収入・学歴・職業との関連性が顕著に高まるなど,階層固定化傾向が強まり,格差社会が進展しつつあることが先行研究から指摘されている。一見すると,年金問題(とりわけ若者の年金未加入未納問題)は,この格差社会の問題とは無関係にみえるかもしれない。しかし,親の年金意識の「格差」から,子の年金未加入・未納率に顕著な差が生じている可能性もあり,年金問題は格差問題と深いかかわりがあることも考えられる。本研究では,大学生対象のアンケート調査データから,親の年金意識の格差と,子の国民年金未加入との関係を分析した。分析の結果,親の年金意識の格差は,子の国民年金未加入に顕著な影響を及ぼしていることが明らかになり,年金問題には,格差問題の一端が反映されていることが示唆された。