著者
山田 眞知子
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-46, 2006

日本の自殺者数は8年連続で3万人を超えている。自殺防止事業はこれまで殆ど民間任せであったが,政府も2006年にようやく自殺対策基本法を制定し自殺防止に取り組む姿勢を見せ,すでに取り組みを開始した自治体もある。フィンランドは1980年代後半ハンガリーに次いで自殺率が高かったが,1987年に国の主導で自殺予防プロジェクトを立ち上げ,自治体が中心に実施し,10年かけて自殺を減少させた。本稿では,日本ではまた知られていないフィンランドの自殺予防プロジェクトの内容,実施方法と成果を国と自治体の連携のあり方を中心に検討し,これからの日本の自殺対策の施策を模索する上で何を学ぶことができるか考えていく。
著者
白石 淳
出版者
浅井学園北方圏生活福祉研究所
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.23-29, 1996

今日,中学生,高校生が頭髪を茶色に染める,ピアスをつけることの是非が問われている。学校でこれらのことは,校則により禁止されているところが多い。しかしながら,頭髪の問題は学校生活ばかりではなく家庭生活上のことも考慮されなければならない。頭髪の問題については,憲法にもかかわる問題でもあり基本的人権から考えると子どもとその親の意思が尊重されなければならず,基本的には自己決定権にゆだねられるべき問題であると結論づけた。さらに,これらの問題については,憲法とのかかわりがあるとの認識が低く,意識の改革が必要であると指摘した。
著者
浅尾 秀樹 須田 力
出版者
北海道女子大学北方圏生活福祉研究所
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.23-27, 1998

「近くて遠い国」ロシア,サハリンと北海道の中高齢者を対象とした比較研究を始めて6年が経過した。前半の3年では共同研究体制づくりが課題であり,後半の3年はユジノ・サハリンスク市の住民を対象とした調査・測定やシンポジウムなどによる研究活動であった。ロシア国立ユジノサハリンスク教育大学(現サハリン大学)の体育教員スタッフとの研究交流を積み上げて今日に至った。これらについて, AOC生涯学習センター公開講座「生活を科学する(雪国の人々の健康)」などで報告してきたが,これまでの成果と今後の展望について紹介する。I,生活福祉に立った研究の推進2,共同研究体制の確立3,北海道女子大学生涯学習システム学部の役割と今後の展望
著者
菊地 達夫
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-6, 2003-10-01

本研究では,学校教育におけるアイヌ文化学習の実践をみながら,児童の反応をもとに学習意義を明らかにする。具体的には,アイヌ文化学習の実施状況について,先行研究に依拠しながら整理する。次に,小学校総合的な学習の時間における教育実践を取り上げ,アイヌ文化学習の導入の可能性について考察する。さらに,児童の反応を分析しながら,アイヌ文化学習の意義を浮き彫りとしたい。アイヌ文化学習の実践は,その居住が多い地域で芽生え,それ以降,行政機関(北海道教育委員会・札幌市教育委員会)の後押しがありながらも,なかなか浸透する姿勢がみえない。小学校の教育実践では,指導教諭の熱心な働きかけにより,多様な文化理解のアプローチができることを確認できた。また,それを受講した児童は,4つの観点で良好な評価を下した。
著者
佐藤 至英
出版者
北翔大学
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.67-69, 2007

フィンランドにおけるホームレス政策は,比較的成功している事例として世界的に注目されている。1987年18,000人近くいた単身ホームレスや1,400世帯のホームレス世帯は,1996年には単身ホームレスが44%,ホームレス世帯は74%減少している。2006年現在,フィンランドにおけるホームレス人口は,単身ホームレス7,400人,ホームレス家族300。フィンランドのホームレス対策において中心的役割を担っているNPO(Y財団)のハンヌ・プットネン代表からホームレス支援活動(永住のための住宅供給)の実態について,またヘルシンキ郊外にあるケアクリニックのジルキ・ラウスバアラ所長ならびに長期入所している元ホームレスの男性2人からリハビリテーション・プログラムの実際について,インタビューした。
著者
小川 信子
出版者
浅井学園北方圏生活福祉研究所
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-74, 1995

女性の自立,女性の社会進出が世界的先進国であるスウェーデン事情を紹介しながら,母親と子どもの幸福を支える条件として,質の高い住環境の保障が大切であることを論じた。It was pointed out that one of the important factors for the well-being of mothers and children was thearrangement and supply of comfortable housing of good quality, depending on the data of conditions in Sweden.
著者
井口 光雄
出版者
北海道女子大学北方圏生活福祉研究所
雑誌
北方圏生活福祉研究所年報 = Bulletin of Northern Regions Research Center for Human Service Studies (ISSN:1342761X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.15-20, 1997

北欧の小国フィンランドは, 1917年に独立した比較的若い国である。しかし背景には, 7百年以上にもわたる苦難の歴史があり,とりわけ隣国ロシアとの聞では,独立後も言語に絶する厳しい関係が続いた。第2次大戦以降,フィンランドはこうした過去の歴史に区切りをつけようと,国民が心を一つにして国の発展に努めた。そして90年代初頭の景気後退の波も何とか乗り切り,今日では新しく発足したヨーロッパ連合の模範生ともいわれるまでに成長した。北海道とフィンランドは,北国の生活文化や社会福祉の先進国に学べと1970年代以降,急速に交流が深まった。社会福祉をはじめ学術,文化,スポーツそれに自治体聞の交流など非常に幅広い。更に近年は,新たな地域起こしに結び付く産業クラスターや貿易の拡大などへと進展している。本稿は,フィンランドの歴史を皮切りに今日の北海道とフィンランドとの関わりを伝え,社会福祉先進国フィンランドを支えるその素顔を紹介,若干ではあるが将来の問題に言及する。