著者
Togashi Satoshi Obana Shohei Watanabe Saori Horaguchi Satoshi Yashima Miwa Inubushi Kazuyuki
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.3-9, 2013-04-01

Cyanobacteria were among the pioneer organisms of the early earth. They first colonized bare rock and had a strong ability to proliferate in infertile substrates, such as volcanic ash, desert sand, and rock. Cyanobacteria store enormous amounts of essential nutrients and metabolites within their cytoplasm. Those that grow in arid lands can be a very potent source of organic matter and nutrients that can be used to counteract desertification. In this study, we explored the potentiality of cyanobacterial strains collected from several regions of Asia (7 strains), Africa (3 strains), and Japan (6 strains). Some of the soils had salinity levels greater than 5 dS m-1 and an alkaline pH of 8.3-9.2. Cyanobacterial strains were screened for their potential to survive in such arid soils by quantifying individual salinity tolerance, ability to fix N2 in a medium containing 0.1M NaCl, and rates of photosynthesis and growth. The inoculation effects on the chemical properties of Alashan soils of Inner Mongolia (China) were evaluated using AL-S and Tateyama cyanobacterial strains. The soil pH of the surface and subsurface layers indicated that these strains can decrease pH to levels that are conducive to plant growth. These cyanobacterial strains have potential as anti-desertification agents for the bioreclamation of arid soils.
著者
小林 紀彦
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
no.31, pp.13-28, 1988-03-01
被引用文献数
3

VA菌根菌の一種,Gigaspora margarita胞子の発芽に影響を及ぼす要因について検討した。その要因としては温度,土壌pH,燐酸カリ濃度,農薬(殺菌剤,殺虫剤,除草剤),植物根の有無,胞子の表面殺菌,土壌殺菌等の影響を調べた。また野外における本菌の胞子形成やその発芽等の季節的な変化を観察した。1.本菌の胞子発芽を大きく阻害する要因は温度と農薬であった。胞子は15℃以下の温度では全く発芽せず,最適発芽温度は25-35℃であり,40℃でも35%の胞子が発芽した。また,農薬の影響は殺菌剤の影響が大きく,とくにベンレート,ダコニールはそれぞれ有効成分の0.05, 3.75ppmで20%以下の胞子発芽率となった。これに比べて殺虫剤は同様の発芽阻害率に達するには殺菌剤より10倍程度高い。除草剤は通常の使用濃度で発芽阻害がみられた。2.土壌pH(4-8),燐酸カリ濃度,0-250ppm,植物根の有無,胞子の表面殺菌,土壌の殺菌等の処理は胞子発芽にほとんどあるいは全く影響を及ぼさなかった。3.1986年から1987にかけての野外でのメダケ自生土壌における本胞子の胞子形成や胞子発芽の季節的な変化をみると,5月に採取した胞子は野外で充分熟成していたため6日以内で発芽したが,6-8月に採取した胞子は発芽後の空か内容の貧弱な胞子が多かった。9月末には新しい胞子が採取できたが,全く発芽しなかった。10月も同様であった。11月採取のものは僅かながら発芽し,12,2月となると発芽がさらによくなった。このことから野外でも胞子は休眠期間を有していることが明かとなった。4.上述のメダケ自生土壌にシロクローバ,アルファルファ,キュウリを栽培して,栽培後3,4,6,8,10,12月と定期的に胞子を採取して調べた結果,いずれの時期の胞子も全く発芽しなかった。しかしこれらの胞子も殺菌水中か土壌中である程度の期間保存すると胞子が成熟して発芽が促進された。
著者
伊藤 治 渡辺 厳 PETERS Gerald A.
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物
巻号頁・発行日
vol.25, pp.57-63, 1983

窒素固定生物であるらん藻との共生体であるアカウキクサにおいて,培地中に化合態窒素が存在した場合,窒素固定能ならびに窒素収支がどのような影響を受けるか,また培地窒素は宿主とらん藻との間を行ききするものであるかどうかについて調査を行なった。1.培地窒素の吸収返度の濃度依存性はアンモニアで最も高く,尿素,硝酸の順に低くなった。吸収速度の大きさも同様な順序であった。2.アセチレン還元能が無窒素区の半分となる濃度は,アンモニアと尿素で約10mM,硝酸で25mMであった。3.全体の窒素収支の中で培地窒素の占める割合はアンモニア,尿素,硝酸の順であった。5mMで比較すると,各々約50,40,20%であった。4.アンモニア,尿素添加により全窒素の有意な増加が認められた。特に前者の効果は顕著であった。硝酸では無窒素区とほとんど変わらなかった。5.^<15>Nで標識した無機態窒素を含む培地に一定時間置かれたアカウキクサかららん藻を分離したところ^<15>Nの富化が認められた。このことは窒素の動きが,らん藻から宿主へという一方性のものではなく,宿主かららん藻へというものも含む両方向性のものであることまたは,らん薬において窒素の流出入に関してsourceとなるものとsinkとなるものとに分かれていることを示している。
著者
赫 英紅 佐野 輝男
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.104-108, 2011-11-01
参考文献数
10

リンゴ樹葉圏から高い頻度で分離される非病原性及び病原性の真菌と細菌41種を選定し,真菌はrDNA-ITS,細菌は16S rDNAから各種に特異的な40塩基を抽出し,リンゴ葉圏主要真菌・細菌検出用オリゴDNAマクロアレイを作成した。検出限界は10^2-10^3CFU,培養性・難培養性及び病原性・非病原性を含むリンゴ葉圏に生息する主要な真菌・細菌類を同時に検出可能で,検出シグナルの強度は生息密度を反映していた。青森県弘前市周辺の慣行防除園,特別栽培園,JAS有機栽培園,自然農法実践園の4園地を調査対象として,病害発生状況とリンゴ葉圏に生息する主要な病原性・非病原性真菌・細菌の動態を分析した。慣行防除園と特別栽培園では栽培期間を通じて目立った病害の発生は認められなかった。JAS有機栽培園と自然農法実践園では,開花期にモニリア病,6月上旬から黒星病,6月後半から斑落或は褐斑病斑が発生した。マクロアレイ分析の結果,一般に真菌ではAurerobasidium, Cladosporium, Cryptococcus,細菌ではSphingomonas, Pseudomonas, Bacillusなどが優占していた。慣行栽培園では真菌・細菌の種の多様性に乏しく,生息量も少なかった。自然農法実践園では栽培期間を通じて黒星病菌が優占し,Auyeobasidiumが顕著に少なく,他の園に比べて多様な種が生息していた。