著者
工藤 めい 下村 匠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.196-207, 2019 (Released:2019-08-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3

コンクリートの吸水・乾燥挙動に及ぼすひび割れの影響を把握するため,一本および複数本の曲げひび割れを有するコンクリート供試体を用いて乾湿繰返し試験を行った.その結果,ひび割れ幅が大きいほど吸水,乾燥が促進されること,ひび割れを有するコンクリート部材の乾湿挙動は,ひび割れ幅とひび割れ間隔の比であるひび割れひずみに依存することを明らかにした.また,実験結果を再現する,ひび割れの影響を考慮したコンクリート中の水分移動解析法を開発した.これを用いて,長期乾湿挙動に及ぼすひび割れの影響,乾湿作用の影響について感度解析を行った結果,ひび割れひずみがひび割れの状態を表す有効な指標であること,長期乾湿挙動予測する場合は月単位の乾湿サイクルの環境作用モデルを用いても十分な結果が得られることを明らかにした.
著者
本田 博幸 下里 哲弘 有住 康則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.44-59, 2019

<p> 沖縄県本島の東海岸の塩害環境にて40年曝され,著しい塩害を受けた鉄筋コンクリート桁を研究対象とし,劣化状態を外観調査と材料調査により分析した上で,切り出した試験体に対して静的載荷試験,繰り返し載荷試験を行い,塩害での鉄筋腐食により材料劣化した鉄筋コンクリート桁のたわみ剛性とひずみ特性などの力学特性を検証した.また,本橋の劣化状況に基づき,劣化進行を模擬した試験桁に対して静的載荷試験と繰り返し載荷試験を破壊まで繰り返し,極限状態下での腐食した鉄筋コンクリート桁の破壊特性について示した.</p>
著者
岩野 聡史 渡部 正 内田 慎哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.207-219, 2017 (Released:2017-05-20)
参考文献数
12

本研究の目的は,部材厚さの大きいコンクリートの基本周波数を特定できる測定方法と,客観的な判断により基本周波数を特定できる周波数解析方法を,2次元弾性体波動方程式に基づく数値解析および実験により確立することである.鋼球打撃により生じる弾性波を打撃面に設置した4つの加速度計で受信する測定方法と,各加速度計で得られた振動波形の相互相関関数を全て加算し,フーリエ変換からパワースペクトルと位相差を算出する解析方法を提案した.その結果,部材厚さ2500mm程度のコンクリート部材であれば,提案した測定方法および周波数解析方法により基本周波数を特定できることが明らかとなった.したがって,本手法は,厚さの大きいコンクリートの部材厚さを基本周波数から推定する方法として有効である.
著者
竹内 大智 小沢 壱生 矢野 亮太 三津谷 有貴 土橋 克広 上坂 充 田中 泰司 高橋 佑弥 草野 譲一 吉田 英二 大島 義信 石田 雅博
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.66-79, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1

社会インフラの老朽化に対し,メンテナンス技術の高度化によって劣化損傷を正確に把握することが求められている.筆者らは橋梁検査技術の合理化にむけ,可搬型ライナックX線源を用いたX線検査システムを開発しており,透過X線検査によってコンクリート橋内部のPC鋼材の状態,およびグラウトの充填状況を検査する技術開発を進めている.これまでの実橋梁検査の結果から,検査対象となるコンクリート構造物のコンクリート厚さとX線の透過量を定量化することが検査精度を担保する上での課題となった.そのため,本研究では厚さの異なるコンクリート構造物に対するX線の応答を精査し,検査精度向上のための基礎的検討を行った.また,各可搬型X線源の適用可能なコンクリート厚さを特定し,可搬型X線源のX線検査技術としての性能を評価した.
著者
中村 繁貴 高谷 哲 前田 良文 山本 貴士 宮川 豊章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.450-461, 2013 (Released:2013-12-20)
被引用文献数
4

近年,多くの構造物が老朽化している中で,効率的な維持管理を実現する手段の一つとして,赤外線サーモグラフィが注目されるようになってきている.土木構造物への適用事例は増加しており,環境要因が測定結果に与える影響に関する研究も多く報告されている.しかし,構造物の維持管理における調査診断でははく離部を検知するだけでなく,はく落の危険性を評価することが,補修工法の選定などのためには重要である.本研究ははく落の危険性を定量評価することを目標とし,鉄筋腐食膨張圧模擬実験による各損傷段階の供試体に対して赤外線サーモグラフィ測定を行った.その結果,かぶりや破壊形態を考慮せずに劣化の程度を評価できる指標としてはく落危険度を提案し,測定温度環境を考慮したはく落予測を行うことが可能であることを明らかにした.