著者
清水 一
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.57-70, 2013-05-15 (Released:2018-02-26)
被引用文献数
4

社会科学系学部(約400学部)の偏差値と退学率・就職率をマッチングさせたデータを分析した結果、退学率や就職率は偏差値によってかなりの部分が説明されることが分かった。大学生にとって卒業できるか(退学率が低いか)、就職できるかは、大学生活の満足度を決める主要な要因であるが、偏差値はそれらの指標をかなりの程度代理する。そのため情報の入手しやすさを考慮すると、偏差値による大学選びにはかなりの合理性があると考えられる。だだし、低偏差値の学部では偏差値水準と就職率等の実績が逆転傾向にあるため、低偏差値の学部を選ぶ際には偏差値によらない大学・学部選びにも一定の合理性がある可能性が否定できない。
著者
九鬼 靖太 土橋 康平 竹澤 健介 若吉 浩二
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.119-126, 2021 (Released:2021-09-28)

This study aimed to investigate the acute effects of sprint training on sprint motions evaluated by the observational motion assessment method and sprint velocity in elementary- and middleschool students. 38 elementary- and middle- school students performed 50m sprint tests before and after the 30-min training intervention, consisting of the mini-hurdle sprinting and the rebound jump exercises. The sprint velocity from 20m to 40m was measured as the mean sprint velocity. The sprint motion was captured by video cameras, and it was qualified using the observational motion assessment method. No significant change was found in the mean sprint velocity between pre and post sprint tests(P=0.567, d=0.020). Meanwhile, the scores of the motions, such as the direction of arm swinging(P=0.001, d=0.405), the range of motion of the legs(P=0.031, d=0.191)and the timing of the scissors motion(P=0.029, d=0.304)were significantly improved in the post test. Therefore, our results suggested that acute sprint training did not improve the sprint velocity, but sprint motions.
著者
楠葉 隆徳
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.99-112, 2010-07-15

アラビア語文化圏においてユークリッド『原論』の研究者は翻訳のみならず、解説をした。そのような研究者の一人であるアル=トゥースィーの『原論』のアラビア語注釈書に由来するアラビア語文献とサンスクリット訳を比較検討し、伝承を検討した。また証明において辺の上に作図した正方形の位置関係により生じる場合分けの取り扱いが2つの文献において異なることを明らかにした。
著者
西山 豊
出版者
大阪経大学会
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, 2019

2016年6月18日,広島大学附属三原中学の運動会で組体操の技である「騎馬」を実施していた同中学3年(当時)の男子生徒が小脳出血により,運動会の2日後の6月20日に死亡した。当該校では小学5年生~6年生は通常の騎馬(4人で構成,2段)を,中学1年生~3年生は「3段騎馬」(9人で構成,3段)を実施しているが,まとめて「騎馬」と呼んでいる。事故が起こったのは「3段騎馬」の方である。 2017年11月1日,男子生徒の遺族らは,広島大学に対して約九千万円の損害賠償を求め,広島地方裁判所尾道支部に提訴し,2018年9月現在裁判中である。原告は「騎馬」の崩落が原因で死亡したとしているが,被告は「騎馬」の崩落はなかったとして死亡との因果関係を否定している。ここでは,原告,被告の双方から独立して,科学的な検証を加えてみる。「3段騎馬」は「最下段起立ピラミッド」「肩上ピラミッド」「移動ピラミッド」などの名前で呼ばれているが,非常に危険な技であるので全国の小中学校では実施例がほとんどない。ここでは,当該騎馬の動画およびコマ送り画像を参考にして,3段騎馬の解体が正常に行われたかどうかを考察するとともに,最上段(H君)の膝が2段目(X君)の後頭部にあたったと仮定した場合の2つのケースについて衝撃度を計算した。