- 著者
-
浅尾 浩史
- 出版者
- 奈良県農業総合センター
- 雑誌
- 奈良県農業総合センター研究報告 (ISSN:18821944)
- 巻号頁・発行日
- no.40, pp.40-43, 2009-03
当センターでは明治時代からスイカの育種が行われ、昭和初期には'大和3号'と'甘露'の交配種'新大和'が育成された。当センター内の種子貯蔵庫には、これら品種・系統や海外から導入された品種が約80種保存されている。このように、当センターはスイカの育種、栽培、保存をはじめ、県内種苗会社への技術的支援を行ってきた。ボツワナ共和国のカラハリ砂漠地帯はスイカの原産地であり、スイカをはじめウリ科植物の遺伝資源の宝庫である。現地のサン族は野生スイカをはじめとする約300種の有用野生植物を数千年にわたり利用してきたが、カラハリ砂漠は氷河期を経験しておらず、個々の野生種は未だに系統化されていない。有用野生植物の分子レベルでの品種系統化や機能性の探索は重要な課題となっている。アジア・アフリカ学術基盤形成事業「ポストゲノミクス研究によるカラハリ砂漠資源野生植物の高度利用基盤の確立」の一環として2007年2月24日から3月5日まで、ボツワナ共和国が有する遺伝子資源を調査する機会を得たので、その概要を報告する。