著者
杉山 寿美 原田 良子 平岡 美紀 大重 友佳
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.192-200, 2010 (Released:2014-11-21)
参考文献数
28
被引用文献数
2

コラーゲンに対する生姜プロテアーゼの作用は,酸性条件下でのテロペプタイドに対するものであり,三重らせん部位に対しては作用しない。一方,生姜プロテアーゼはコラーゲンの熱分解物であるゼラチンには作用する。我々は,コラーゲンに対する生姜プロテアーゼの作用に基づき,加熱・温蔵過程における鶏肉のコラーゲンの変化と軟化を検討した。その結果,加熱により,鶏肉の酸可溶性コラーゲン(ASC),ペプシン可溶化コラーゲン(PSC)は減少したが,不溶性コラーゲン量(ISC)は増加した。加熱調理した鶏肉の温蔵は,ゼラチン化を促し,コラーゲン総量を減少させた。生姜搾汁の添加ではコラーゲン総量が減少し,加熱後に生姜搾汁を添加した場合に著しいものだった。これは,加熱調理および温蔵過程で不均一な構造となったコラーゲンの熱変性部位に生姜プロテアーゼが作用したためと考えられた。また,生姜搾汁を添加し温蔵した鶏肉は,生姜搾汁を添加していない鶏肉と比較して剪断強度が低かった。
著者
門 有紀 平岡 美紀 植木 勧嗣 濱崎 貞弘
出版者
奈良県農業総合センター
雑誌
奈良県農業総合センター研究報告 (ISSN:18821944)
巻号頁・発行日
no.40, pp.19-28, 2009-03

奈良県では伝統ある郷土食として「柿の葉寿司」があり、カキ生産者によって「柿の葉寿司」用のカキ葉が生産されている。奈良県の五條・吉野地域のカキ生産者の23%がカキ葉を「柿の葉寿司」用に採取、販売している。年間に30万枚を出荷する経営体もある。経営内での摘み取り者は、60歳以上の男女を含めている経営が多く、また、女性のみが摘み取りに従事している経営もあり、カキ葉の摘み取り作業は、高齢者、女性にも従事しやすい作業と考えられた。生産の課題として以下の4点が抽出された。(1)カキ葉生産への地域人材の活用。(2)関連業者に対する地産地消の連携の要請。(3)カキ葉の安定大量生産技術の確立。(4)有利な販売先の開拓・確保。
著者
門 有紀 平岡 美紀 植木 勧嗣 濱崎 貞弘
出版者
奈良県農業総合センター
巻号頁・発行日
no.40, pp.19-28, 2009 (Released:2011-07-14)

奈良県では伝統ある郷土食として「柿の葉寿司」があり、カキ生産者によって「柿の葉寿司」用のカキ葉が生産されている。奈良県の五條・吉野地域のカキ生産者の23%がカキ葉を「柿の葉寿司」用に採取、販売している。年間に30万枚を出荷する経営体もある。経営内での摘み取り者は、60歳以上の男女を含めている経営が多く、また、女性のみが摘み取りに従事している経営もあり、カキ葉の摘み取り作業は、高齢者、女性にも従事しやすい作業と考えられた。生産の課題として以下の4点が抽出された。(1)カキ葉生産への地域人材の活用。(2)関連業者に対する地産地消の連携の要請。(3)カキ葉の安定大量生産技術の確立。(4)有利な販売先の開拓・確保。
著者
杉山 寿美 平岡 美紀 大重 友佳 石永 正隆
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 結合組織蛋白質コラーゲンは三重らせん部位とテロペプタイド部位で構成,食肉の硬さを決定している。我々は生姜プロテアーゼがコラーゲン繊維の構造が緩む条件下でテロペプタイド部位のみに作用することを報告している。このことは生姜搾汁が生肉の筋繊維を分解する一方でコラーゲン繊維を分解せず「すじ」が残ることを示している。本研究は新調理システムでの食肉蛋白質の変化を把握・利用し,生姜搾汁でコラーゲンを分解,食肉を軟化することを目的とした。 【方法】 鶏もも肉は中心温度75℃までオーブンで加熱した。その後,65℃の温湿蔵庫で保存したもの,急速冷却し再加熱したもの,生姜搾汁を加熱前後で添加したものを試料とした。コラーゲンは酸可溶性コラーゲン:ASC,ペプシン可溶化コラーゲン:PSC,不溶性コラーゲン:ISCとして抽出し,定量した。剪断強度はかみそり刃を装着したレオメーターで筋線維に垂直方向で測定した。 【結果】 加熱により総コラーゲン量は減少しゼラチン化が認められたが,ISC量は増加しコラーゲン繊維の収縮が推察された。加熱肉のISC量は冷却保存・再加熱したもののISC量と同程度であったが,温蔵したものでは著しく減少した。生姜搾汁を加熱後(温蔵前)に添加した場合は,総コラーゲン量,ISC量が著しく減少した。これは収縮したコラーゲン繊維がゼラチン化するとともに,構造弛緩に伴いプロテアーゼが作用した結果であると考えられた。この総コラーゲン量,ISC量の減少と剪断強度の低下,官能評価の結果は一致していた。すなわち,温蔵中のコラーゲンの構造変化とプロテアーゼ作用を利用することで,噛み切りやすい鶏肉が調製されることが示された。
著者
門 有紀 平岡 美紀 植木 勧嗣 濱崎 貞弘
出版者
奈良県農業総合センター
雑誌
奈良県農業総合センター研究報告 (ISSN:18821944)
巻号頁・発行日
no.40, pp.19-28, 2009-03

奈良県では伝統ある郷土食として「柿の葉寿司」があり、カキ生産者によって「柿の葉寿司」用のカキ葉が生産されている。奈良県の五條・吉野地域のカキ生産者の23%がカキ葉を「柿の葉寿司」用に採取、販売している。年間に30万枚を出荷する経営体もある。経営内での摘み取り者は、60歳以上の男女を含めている経営が多く、また、女性のみが摘み取りに従事している経営もあり、カキ葉の摘み取り作業は、高齢者、女性にも従事しやすい作業と考えられた。生産の課題として以下の4点が抽出された。(1)カキ葉生産への地域人材の活用。(2)関連業者に対する地産地消の連携の要請。(3)カキ葉の安定大量生産技術の確立。(4)有利な販売先の開拓・確保。
著者
平岡 美紀
出版者
奈良県農業総合センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

バイオマスの水熱処理による燃料化技術は、現在、化石燃料に比べ高コストとなることが課題である。このコスト負担は、消費者にとっても分担可能なものかを検討した。次の想定でバイオ燃料を活用して製造された食品に対する消費者の購買行動について調査を実施した。豆腐油揚げ製造工程で出る「おから」や廃食油を、バイオ燃料として変換して製造工程で再利用し、化石燃料由来のCO2排出を30%削減する工場において製造される豆腐(CO2排出抑制豆腐)を対象とした。主に奈良県内在住者を対象に調査票配布により実施した(有効回答数228、回収率45.6%)。豆腐の持つ特徴を3属性【原料産地(外国、国内、県内)、CO2排出抑制の有無、価格(100〜160円)】の組み合わせで表現、提示し、購買意思を問う選択型コンジョイント分析により消費者の支払い意思額と購買確率を推定した。結果、バイオ燃料利用によりCO2排出を抑制することに対し、20.1円に相当する価値があると評価された(支払い意思額)。つまり、通常製法の豆腐より20.1円評価が高まり、通常品と同価格であれば購入確率が高まると解釈できた。これは、原料大豆の産地に対する評価(国内産使用なら160,8円等)に比べて小さい額であるが、環境配慮に対して少なからず支払い意思を表明していることになる。なお、性別、年齢、居住地や日頃の環境行動といった個人特性の違いによる価格評価の差については、統計上、次の点のみ関連が見いだせた。日頃の生活で「リサイクル、省資源化、エコドライブ」などの行動頻度が高い人、また、「食品購入時の原産地表示確認や、有機農産物等の購入」頻度の高い人は、CO2排出抑制製品に対し、さらに高い評価を行っていた。反対に、70歳代以上の人は否定的な評価を行っていた。