著者
八百 章嘉
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.379-415, 2014-11

本稿では,Alleyne事件判決を紹介後,Apprendi準則の動向を探るため,当該事件判決に至るまでの系譜,合衆国憲法修正6条が保障する「陪審裁判を受ける権利」を検討する際に連邦最高裁が使用する方法論の特徴,および,そこから明らかになる連邦最高裁判事らの見解の対立を描写する。そして,以上の考察を踏まえて,Apprendi準則の問題点の1つでもある量刑における立法府と司法府の権限対立の問題を取り上げ,量刑裁判官が保持する巨大な裁量権を歴史的側面から照射し,Alleyne事件判決の意義と量刑を争うことの有意性について検討を加える。連邦最高裁が描き続ける物語の現在の到達点を垣間見ることによって,我が国の議論に若干の示唆を提示することが,本稿の目的である。
著者
神山 智美
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.57-73, 2015-07

本件は,亡Aが富山市内の側溝に転落して死亡した事故について,亡Aの相続人である原告ら(妻X1,子X2,X3)が,同側溝の水路部分を管理する被告市に対し,水路の設置又は管理に瑕疵があり,あるいは水路の安全を確保すべき義務に違反したとして,選択的に,国家賠償法2条1項又は同法1条1項に基づき,また,上記水路に隣接する土地を占有し,上記側溝の一方の側壁を構成する同土地の土盛部分を設置又は保存する被告コンビニエンスストアに対し,主位的に民法717条1項に基づき,予備的に同法709条に基づき,原告X1,Ⅹ2及びX3につき損害金及びこれに対する不法行為の日である平成24年3月31日から支払済みまで民法予定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払いを求めた事案である。